しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年2月22日(木)

「働き方改革」実態誤認

中央公聴会 法案提出の動きに批判

 2018年度予算案に関する中央公聴会が21日、衆院予算委員会で開かれ、公述人からは安倍政権が国会提出を狙う「働き方改革」関連法案への批判の声が相次ぎました。

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(写真)公述人の各氏に質問する藤野保史議員(左)=21日、衆院予算委公聴会

 全労連の伊藤圭一雇用・労働法制局長は、政府が「不適切」と認めた裁量労働制の労働時間に関する厚労省調査について「データの推計も比較の仕方もでたらめ。実態を誤認したまま法制度の論議が進められたのではないか」として、「現場で何が起きているかを再度、労働政策審議会のもとで丁寧に把握し、審議する作業から行うべきだ」と述べました。

 法政大学の上西充子教授は、厚労省の不適切な比較データが、裁量労働制が長時間労働を助長するという批判に対する反証データとして使われ、作成に政治的な意図が働いた可能性を指摘。不適切な比較データが法律の立案過程に与えた影響を無視して「(政府・与党が)数の力で法案成立を強行しようというなら、実態調査にもとづく政策立案も、政労使3者構成による政策形成プロセスも、真剣な国会審議も、すべての土台を損なう」と批判しました。

 全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表世話人は、夫を過労死で失った無念を訴え、「今でさえ死者が出ているのに、これ以上裁量労働制を拡大したら、さらに死人が増える」と強調。「人の命が奪われるのが明らかな法律を黙って見過ごすことはできない。家族が過労死して地獄の苦しみをあじわった私たちは、同じような被害者を増やすわけにはいかない」と述べ、法案に反対する決意を述べました。

 日本共産党の藤野保史議員は、裁量労働制では労働者が労働時間を自由に決められるかのように政府が説明していることへの見解をたずねました。伊藤氏は「労働者には業務量や締め切りなどの(決定)権限がなく、仕事だけを押し付けられることになる」と述べ、長時間・不払い労働の温床になる裁量労働制の問題点を指摘しました。


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