しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年2月16日(金)

裁量労働拡大やめよ

首相答弁撤回で野党迫る

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(写真)「働き方改革虚偽データ疑惑」合同ヒアリングに参加する野党6党の議員=15日、国会内

 安倍晋三首相が裁量労働制の労働時間が一般労働者より短いとのデータ(厚生労働省、2013年度労働時間等総合実態調査)もあるとの答弁を撤回し陳謝に追い込まれた問題で、野党側は15日の衆院予算委員会でも厳しく追及し、裁量労働制の拡大方針の撤回を迫りました。

 裁量労働制は、いくら働こうが「みなし労働時間」しか労働時間と認めないという制度。長時間・サービス労働の温床になっていると批判されてきました。政府が提出を狙う法案は、裁量労働制の適用範囲を営業職に拡大する内容です。

 立憲民主党の逢坂誠二議員は、裁量制の労働時間が短いとするデータはほかにもあるのかと質問。厚労省の山越敬一労働基準局長は「持ち合わせていない」と述べました。逢坂氏は、厚労省のデータは一般労働者と裁量型労働者の労働時間の算出方法が違うので不適切と指摘。加藤勝信厚労相は「どういう形で調査したのかも含めて精査している。月曜(19日)までに報告したい」と答えました。

 希望の党の白石洋一議員は、裁量制の唯一のデータをどのように集めたのかと質問。加藤厚労相は、事業所への監督・指導の中で聞き取ったものだと答えました。白石氏は調査表も含めて公開すべきだと追及し、加藤厚労相は「最大限努力する」と述べました。

 同データに基づく答弁は過去にも行われています。少なくとも2017年2月17日の衆院予算委員会と15年7月31日の衆院厚労委員会で、塩崎恭久前厚労相が、一般労働者の労働時間の平均が「9時間37分」、裁量型は「9時間16分」と答えていました。

 希望の党の山井和則議員は「裁量労働で過労死が増えるということに反論するデータの切り札が今回のデータだった。しかも調査結果には9時間37分なんて入っていない。後でデータを作ったんじゃないのか」と捏造(ねつぞう)の疑いを指摘。「もし、捏造したデータで3年間やってきて安倍首相に国会答弁させたのなら、労働行政史上始まって以来の大スキャンダルだ」と語気を強めました。

 委員会後、野党6党は合同で厚労省からの聞き取り調査を実施。厚労省は一般労働者の労働時間「9時間37分」は「実労働時間ではない」と認めました。


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