しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年2月10日(土)

きょうの潮流

 その光景は、18歳の青年の人生を変えました。焼け野原と化した街、がれきに埋もれる人びと。第2次大戦の終結後、ウィリアム・ペリー氏は米陸軍の一員として沖縄の地を踏みました▼のちに国防長官の職につくペリー氏はそこで二つの教訓を得たといいます。死と破壊をもたらす戦争には栄光が存在しないこと。将来、核戦争が起きれば死と破壊にとどまらず、文明の終えんをもたらすことになる―(『核戦争の瀬戸際で』)▼長年、米国の核戦略に携わってきたペリー氏。キューバ危機や北朝鮮の核開発危機に直面しながら、核戦争による想像を絶する結末について深い思索をつづけてきました。たどりついた結論は、人類は二度と核兵器を使ってはならない、そのために自身の経験を語っていくことでした▼トランプ政権下の米国はいま、核兵器を使いやすくする戦略を打ち出しています。小型核兵器の開発や配備をすすめ、状況に応じて使い分ける“多様な核戦略”への転換。世界の核廃絶の流れに逆行する企てです▼被爆者をはじめとする怒りの声。ところが安倍政権は、河野外相が「高く評価する」との談話を出すぶざまさ。これが唯一の戦争被爆国のとる態度かと批判はこちらにも▼本紙にも登場した90歳のペリー氏は、自身の名をつけた教育的な計画を立ち上げています。目的は、核の危険性への理解を向上させる、その危険性を大幅に減らすための行動を促進すること。自分たちが果たせなかった核なき世界を、次の世代に託して。


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