しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年2月8日(木)

「赤旗」創刊90年記念

落語家・立川談四楼さん 紙上独演会

野党共闘進めた覚悟「見返りは民主主義」共産党カッケー

 落語家の立川談四楼さんは、安倍晋三政権を批判、日本共産党にエールを送るメッセージをツイッターでたびたび発信しています。きょうは「しんぶん赤旗」創刊90年を記念して、紙上政談独演会を開いていただきました。一席、お楽しみください。(文・構成 豊田栄光 写真も)


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公然と応援しました

 読者のみなさん、おはようございます。立川談四楼と申します。師匠は、もうあの世に行っていますが、この世では自民党の参院議員をしたことがある立川談志です。そのせいか、私は自民党支持者とみられることがたびたびありました。

 ところが、昨年の総選挙では、比例は日本共産党という心情になったんです。ツイッターで、「突っ走れ共産党!」と、公然と共産党を応援しちゃいました。

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 総選挙のとき、共産党に覚悟を感じましたよ。安倍1強政治に反旗を翻し、1人でも多くの立憲主義を守る野党議席を増やそうと、小選挙区で、党の候補者をおろしたんですから。そこにはかつての共産党のイメージはありませんでした。どんなイメージか? 悪いイメージに決まっているでしょ。

 「できもしない非現実的な政策を掲げ、孤高を守って独自のたたかいをする政党」「政権を取る気が感じられない政党」「理想だけで政治家が務まるか」って感じでしたよ。

 でもね、野党共闘を本気で進める共産党の姿をみていると、現実の政治を大きく動かすにちがいない、志位委員長が閣僚になるのも夢物語じゃない、って思うようになったんです。私はいま66歳ですが、共産党の政権入りが、孫子の代ではなく、私が生きているうちにあるんじゃないかってね。

 寄席の楽屋でも、芸人が共産党のこと話すんですよ。ヒソヒソ、じゃなくて、普通の音量で、周りに聞こえる声で、公然と。「最近の共産党は変わった」って。昔は、共産党を話題にすることすら勇気のいることでした。こんなの初めてです。候補者をおろすことがテレビで報じられ、共産党の覚悟が可視化されたからだと思いますね。

 残念ながら、総選挙では共産党は議席を減らしました。選挙後のテレビ番組で、あっちじゃなくて、良い方の小池さん、小池晃書記局長がテレビ番組で野党共闘についてきかれたとき、「損得で動いてはいない。見返りは民主主義だ」ときっぱり答えたんですよ。カッケー! 本当にかっこよかった。志位さんもぜんぜん愚痴こぼさなかった。これまたカッケー!

安倍さん将棋なら詰み

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 それにしても安倍さんはひどい。森友・加計問題をみていると、政治を完全に私物化しているね。将棋ならつんでいる。王将の逃げ場はないのにね、往生際が悪いね。国会で虚偽答弁をした可能性が高い財務省の役人を国税庁長官にした。「適材適所」と国会で言っちゃうんだから、あきれるよ。安倍さんは自分の「適材適所」がどこかわかっちゃいないから仕方ないかもね。

 そういや、国税庁長官は「佐川」って名前だったね。加計問題では「前川」って名の文部科学次官経験者がいたね。私はツイッターで「佐川になるな。前川になれ」って書いたら、とある政治家から「そのフレーズを使わせてください」って連絡がきたんですよ。議場でヤジでも飛ばす気かな。

 森友の籠池夫妻。まだ拘置所で身柄を拘束されていますよ。あれだけ顔が売れているんだから「逃亡の恐れ」なんかないでしょう。証拠品もみんな検察が持って行った。拘束を続けるのはね、きっと別のねらいがあるんですよ。拘置所を出た籠池さんが、100万円の札束持って、首相官邸前や国会に現れたら困るからですよ。安倍さんならそのうち「籠池夫妻の『適材適所』は拘置所だ」っていうかもしれない。

 東京には白金ってところがあって、そこに集まる人たちを「シロガネーゼ」っていうらしいんです。お金持ちってイメージです。では庶民はなんていうか?「カネがネーゼ」っていうんですよ。これは、とある漫画家がいったダジャレです。落語家も頑張らなくっちゃいけないですね。

 安倍さんは庶民の懐事情にうといから、消費税の10%への増税をやるという。もうかっている大企業や株で大もうけしている富裕層から税金を取ろうとしない。これじゃ一般国民はみんな「カネがネーゼ」になっちまうよ。

相手思いやる噺いい

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 安倍さんは改憲めざしているでしょう。教育勅語を完全否定できない首相ですよ。教育勅語の真髄は「天皇のために国民は死ね」ですよ。明治憲法の復活こそが、安倍さんのねらいですよ。

 沖縄で米軍ヘリが墜落や不時着を繰り返しても、「原因究明まで飛行するな」って自分の言葉で抗議一つできない首相ですよ。こっちが、切れるんじゃないかって心配しちゃうくらい、アメリカにしっぽを振る首相はごめんですよ。

 古典落語に「井戸の茶碗(ちゃわん)」という噺(はなし)があります。正直者のくず屋さん、いまなら不用品回収業が、貧乏な武家から、すすけた仏像を200文で買い取りました。その仏像を金持ちの武家に300文で売ったところ、仏像の中から50両の小判がでてくる。その50両の返却をめぐって金持ちと貧乏の武家の家を行ったり来たりするくず屋がおかしい滑稽噺です。金融関係者にはうけるんですよ。この噺には一人の悪人も登場しません。そしてお金がざっくざっくって話ですから。

 お金があれば幸せってことではありませんが、登場人物がみな、相手を思いやる心を持っている噺っていいですよ。悪い人がいないっていうのもいいね。安倍さん、どうかご退陣ください!

 たてかわ・だんしろう 1951年生まれ 70年に立川談志に入門、83年に真打ちに昇進。著書に『声に出して笑える日本語』ほか多数。


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