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2018年2月2日(金)

名護・三セク使途不明金

真相解明に背を向ける渡具知氏

運営会社社長とつきあい

市議会の決議採決を退席

 4日投票の沖縄県名護市長選で、辺野古新基地建設反対を貫く稲嶺ススム市政の転覆を狙い、自民党候補として安倍政権の全面支援を受ける自民系前市議の渡具知武豊氏。第三セクターに約1900万円の使途不明金が発生した問題で、真相解明を求める市議会の決議採決を退席した人物でもあります。


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(写真)渡具知氏(手前左から2人目)の政策発表に同席した荻堂氏(右端)=昨年12月28日、沖縄県名護市

 那覇から沖縄自動車道を北上して約1時間、高速を降りてすぐ「道の駅 許田(きょだ)」が見えてきます。年間150万人が訪れる人気スポットですが、その運営会社「やんばる物産」に1903万5000円もの使途不明金が発覚したと地元紙で報道され、大問題となったのは2014年6月でした。

 同社は、沖縄北部の農業振興や観光、経済の活性化を図るため官民一体で設立された第三セクター。同社の資本金の3分の1を出資する筆頭株主の名護市が調査を実施し、まとめた最終報告書によると07~09年、計299回に及ぶレジの不正操作に基づく「横領」と結論付けられました。レジを担当していた従業員の1人が横領したとされますが、当時の社長の荻堂盛秀氏(市商工会元会長)らは14年、わずか5000円の返金を求めただけで残り1903万円を債権放棄。取締役会の承認も得ない独断で、警察への被害届も取り下げました。

 この荻堂氏が「彼が商工会の青年部(副部長)だった時代からの付き合い」と語るのが渡具知氏です。不明金問題の報道後、渡具知氏は市や議会による追及を阻止しようと動きます。

 報道から12日後、市議会は真相解明を求める特別決議を全会一致で可決しましたが、採決で退席した2人のうちの1人が渡具知氏。決議案審議の中でも同氏は、責任の所在が稲嶺市政にもあるかのような主張を展開しました。

 市の調査は、被害届の取り下げで警察の捜査が不可能になったため、レジ担当者の横領としか事実認定されませんでしたが、不明金の行方は非常に不透明なまま。荻堂氏自身が「(取った人物を)絞り込んだが、本人が認めなかった」(「琉球新報」14年6月14日付)と述べており、本人が否定しているのに5000円だけの回収で済ませるというのは、まず常識的にも考えられない幕引きです。

 荻堂氏は1日、本紙の取材に対し、不明金について「決着がついたこと。納得していないのは僕を(会社から)葬った人間たちだけだ」と述べるにとどめ、退職金の不支給にも不満を訴えながら、車で走り去りました。

市政私物化懸念

 当時、副市長として市の調査にかかわった親川敬県議の話 不明金報道後も当初は、会社の債権放棄は取締役会で議決してやると決まっているのに「許されない」と追及しても、荻堂氏は勝手な言い分で責任を逃れようとしました。取締役会で私が提案した荻堂氏の社長辞任要求も一度は否決された経過があります。

 彼らは自分たちの利益だけを考える人たちです。もし、つながりの深い渡具知氏が市長選で勝ったら、市政も何らかの形で私物化されかねないと危機感を持っています。


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