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2017年7月17日(月)

主張

種子法の廃止

国民の財産“たね”を守ろう

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 主要農作物種子法(種子法)が来年3月末に廃止されることに農業などの現場で不安や危ぐの声が広がっています。種子法は稲、麦、大豆の種子の生産、普及を国が責任をもって都道府県に義務付けてきました。安倍政権は先の通常国会で消費者や農家、研究者などの反対を押し切って廃止を強行しました。しかし廃止方針への批判の広がりに国も都道府県の関与を残すといわざるを得なくなっています。種子は農業や食料生産の基盤であり、国民の共有財産です。種子を守るために国に責任を果たさせていくことが必要です。

農業・食料生産の基盤

 種子法は戦後の食糧増産を目的に1952年につくられました。同法のもと、都道府県はそれぞれの気象や土壌条件に合わせた稲や麦、大豆の奨励品種を決めて、その種子を増やし、農家に安定的に安価な種子として供給してきました。国はそのために農業試験場などに財政支援をしてきました。国内で生産される米の種子は100%自給です。南北に長い日本で、地域の特性にあって栽培しやすく、しかもおいしいお米が時間と労力をかけて開発され、その数は300品種にのぼります。種子はもっとも基礎的な農業生産資材であり、大切な遺伝資源です。安倍政権は、種子法の仕組みを「農業競争力強化プログラム」の一環として解体しようとしています。

 政府は種子法が「民間の品種開発意欲を阻害している」といいますが、制度上、民間参入は可能です。むしろ別の法律で「都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進する」と決めたように、都道府県が積み上げた技術やノウハウを民間企業へ明け渡させることを狙っています。日本は遺伝資源、特に稲の資源で最も豊かな国の一つと言われ、世界の種子を支配するバイオ企業にとっては注目の的です。遺伝子組み換え作物の種子で有名なモンサント、デュポンなど大手8社が世界の商品種子市場の7割以上を占めるなど種子支配を強めています。日本の種子市場が多国籍企業に支配される懸念も指摘されています。

 今でも民間企業の種子の価格は、都道府県の開発品種の5〜10倍の価格です。公共の品種がなくなれば、採算が合わず撤退する農家も生まれます。国会の論戦では、種子生産・普及体制の弱まりや民間企業による種子独占、高価格化などさまざまな問題が浮き彫りになりましたが、政府はまともに答えませんでした。農業競争力強化どころか、日本の農業を弱体化させ、安全・安心な食が失われるなど消費者にとっても大問題です。

公的機関のかかわりを

 廃止が決まった後も、農水省が各地で開いた説明会で「現場が混乱する」「種を確保できるのか」などの声が相次ぎ、中国地方知事会は都道府県の役割・位置付けの明確化や予算確保を求める共同アピールを採択しました。消費者団体や農業団体などが集い、公共品種を守る運動を始めています。

 種子の役割は重要であり、その開発・生産、普及などに公的機関のかかわりが引き続き求められます。各地の農業試験場や奨励品種制度の維持、種取り農家の保護などが必要です。種子を国民の共有財産として守り、残すための運動が重要となっています。


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