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2016年4月9日(土)

主張

TPPの審議中断

強権・秘密交渉のツケが出た

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 環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案の審議が始まったばかりの衆院特別委員会が、総括審議2日目の8日午前、中断しました。民進党議員がTPPの交渉経過をめぐる石原伸晃経済再生担当相の答弁や西川公也委員長の運営に反発、退席したためですが、安倍晋三政権が強権的に進めてきた秘密交渉のツケが出たのは明らかです。TPPは交渉中も合意してからも交渉内容は秘密で、各国代表が署名した協定も全体の訳文が国会に提出されていません。安倍政権は審議を求めるのなら、必要な情報を公開すべきです。

何が秘密かも“秘密”

 日本やアメリカなど12カ国が参加したTPPの交渉は、主に各国の交渉担当の閣僚や代表者の交渉で進められ、交渉中は一切やりとりが公表されない「秘密交渉」でした。日本側は甘利明・前経済再生担当相と外務官僚の鶴岡公二首席交渉官が交渉にあたってきましたが、交渉中は「外交上の約束」を理由に内容を明らかにせず、昨年秋「大筋合意」した後も「概要」などを小出しにするだけで、交渉経過も協定の全体像もいまだに明らかにされていません。

 しかも甘利氏は「あっせん利得」の疑惑で閣僚を辞任、国会も欠席を続けており、鶴岡氏も外国の大使に転出が決まったことを理由に委員会に出席していません。資料さえも提出されなければ、国会はTPPについての審議を尽くす前提がなくなります。

 安倍政権は特別委審議が始まる直前になって、交渉で取り上げられた論点を整理したという資料を示しましたが、45ページのすべてがタイトルや日付以外墨で消された代物で、とうてい交渉経過を示すものではありません。

 交渉内容を公開しないことは、日本がTPP交渉に参加した際、鶴岡氏が交渉参加国と取り交わした秘密保護に関する「書簡」にもとづくといいますが、「書簡」を公表せよという要求にさえ、政府は応えていません。これでは何が秘密かさえ“秘密”ということになります。「安全保障」を理由に外交、防衛などの情報を秘密にした秘密保護法と同じです。

 安倍首相はTPPについて、国民や国会にていねいに説明するといい、TPP交渉参加にあたっての国会決議は情報の公開を政府に求めています。TPPの審議をめぐる閉鎖的で強権的な安倍政権の態度は、首相の発言も国会決議も踏みにじることになります。

 そのうえ、自民党のTPP対策委員長として交渉にかかわった西川特別委委員長が発売を予定していた著書『TPPの真実』で、交渉経過に触れている疑惑が浮上しました。「情報漏えい」ではないのか、政府の役人が作成に協力したのではないかという疑惑に、西川氏も、石原氏ら政府側も答えていません。解明が不可欠です。

情報公開し徹底審議を

 TPPをめぐっては交渉経過だけでなく、農産物の重要5品目を除外するよう求めた国会決議とのかかわりや、実際TPPが発効した場合の影響の公平な試算など、審議の前提として公開が求められている問題が山積しています。

 政府が必要な情報を国会に提出せず、審議を強行するのは国会軽視の極みです。政府が情報を公開できないような協定なら、いよいよ廃案にするしかありません。


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