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2016年2月5日(金)

主張

TPPへの署名

危険は明白、批准は中止せよ

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 アメリカ、日本など12カ国が参加し、関税の原則撤廃などを盛り込んだ環太平洋連携協定(TPP)が署名されました。ニュージーランドで行われた署名式には日本から、これまで交渉にあたってきた甘利明前経済再生相が口利き疑惑で突然辞任したため、高鳥修一内閣府副大臣が出席する異例な署名式です。署名された協定は各国で批准の手続きが取られますが、アメリカと日本がともに批准しなければ発効しません。危険なTPPを阻止するため、日本の批准を中止させることが重要です。

秘密交渉の結果押し付け

 TPPは最初ニュージーランドやブルネイなど4カ国で始まり、2010年にアメリカなどが参加して拡大交渉がスタート、昨年秋まで5年がかりで交渉が続けられてきました。日本は民主党政権時代に参加を検討、自民党は12年の総選挙では「反対」を宣伝しますが、安倍晋三首相の政権復帰後わずか3カ月で公約を投げ捨て、交渉に参加してきました。

 TPPは交渉中の内容は秘密で、昨年10月の「大筋合意」後も安倍政権は「概要」などを小出しにするだけで、秘密交渉の結果を国民に押し付けました。ニュージーランド政府などが協定案を発表した後も安倍政権は長らく日本語訳を発表せず、国民が十分検討できないまま、署名を強行したのです。国民無視の姿勢は重大です。

 明らかになっている内容だけでも、TPPが日本経済と国民生活を破壊することは明らかです。国会は交渉参加にあたって、コメ、牛・豚肉など重要5項目を関税撤廃の例外とするよう決議しましたが、5項目のなかでも3割の品目は関税撤廃に追い込まれ、残りも関税の大幅引き下げや特別輸入枠などが押し付けられています。農林水産物全体では8割を超す品目の関税が撤廃され、残りの品目もTPP発効から7年後はアメリカ等が要求すれば関税撤廃の協議などが義務付けられています。

 安倍政権はTPPの交渉参加にあたって、アメリカから「聖域なき関税撤廃は原則ではない」との約束を取り付けたとし、合意によっても国会決議は守られたと宣伝しますが、関税撤廃がTPPの大原則であることは明白です。

 TPPは農産物だけでなく工業製品やサービス、食の安全、投資や金融、政府調達、著作権、労働などあらゆる分野を対象にしています。力が強いアメリカ中心の多国籍企業の都合に合わせ、国の在り方そのものを変えるものです。

 安倍政権は協定の中身は隠したままで、TPPで実質GDP(国内総生産)は約14兆円増え労働供給は約80万人増えると試算しました。農業への影響は約1300億円から2100億円の生産減と全く過小な評価です。アメリカのタフツ大学は日本のGDPは0・12%落ち込み雇用は7・4万人減るとの試算を発表しています。中身を示さず楽観論をあおるのは国民をばかにした態度です。

これからが阻止の正念場

 TPPに対しては昨年「大筋合意」した後も、日本国内でも参加各国でも批判の声が止まりません。TPPは署名されたからそれで終わりではありません。参加各国を含む広範な国民と力を合わせ、批准を中止させ、阻止するかどうか、いよいよこれからが正念場です。


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