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2015年9月28日(月)

通常国会を振り返る

共産党の論戦・共闘 政府追い込む

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 戦後最長の245日間に及んだ第189通常国会が27日、閉会しました。憲法の立憲主義、平和主義、民主主義を踏みにじった戦争法をはじめ悪法の成立をはかった政府・与党に対し、国民の運動と結んで論戦で追いつめた日本共産党のたたかいを振り返ります。


戦争法案審議

新人・ベテラン総力追及

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(写真)質問する仁比聡平議員=2日、参院安保法制特委

 「この資料は爆弾すぎる」

 国会会期末まで3週間余となった9月2日、戦争法案を審議する参院安保法制特別委員会。日本共産党の仁比聡平議員が自衛隊の統合幕僚監部の新たな内部資料を暴露すると、与党理事の一人からこんな言葉が漏れました。内部文書は、河野克俊統幕長が昨年末に訪米した際、米軍幹部に夏までの戦争法成立を“確約”していた事実を明らかにして政府・与党に大きな衝撃を与え、国会の審議日程を大幅に狂わせました。

 お盆前の8月11日には、小池晃議員が、戦争法の成立を前提に自衛隊が実施計画を立てていたことを示した統合幕僚監部の内部資料を参院特別委で追及し、自衛隊中枢の暴走ぶりが明らかになったばかり。他の野党も「国会軽視」「文民統制の形骸化」といっせいに追及し、メディアも大きく報じるなど国会内外に与えた影響は計り知れません。ある閣僚経験者は特別委の質疑後、取材していた本紙記者にこう漏らしました。「(共産党は)がんばりすぎだ」

 参院では与党質問に力を入れると豪語していた自民党は、特別委の委員(20人)のほとんどを来年の参院選で非改選の議員で埋めるなど、世論を恐れて論戦を避けました。一方、日本共産党が求めた統幕長の国会招致には背を向けたまま、「(内部資料を)手に入れた(共産党)側に違法行為がなかったのか調査せよ」(江島潔議員、参院本会議)と誹謗(ひぼう)中傷を行いました(後に自民党が共産党に謝罪)。

 日本共産党の存在感は、5月末に始まった同法案の衆院審議から大いに発揮されました。

 昨年末の総選挙で8議席から21議席へ躍進した日本共産党は、衆院安保法制特別委員会で複数委員を確保し、質問時間は大幅に増えました。党首討論には11年ぶりに志位和夫委員長が立ちました。党の論戦は、戦争法が憲法9条を踏みにじる最悪の違憲立法であり、その推進勢力が異常な対米追随を特徴としていること、過去の日本の戦争を「間違った戦争」といえない安倍政権が推進する危険を国民の前に全面的に明らかにしました。

 志位委員長は、「廃案のために総力をあげる政治的な構えと覚悟を示す」との決意で論戦に臨み、衆院本会議での代表質問に続き、特別委でも2日にわたって安倍晋三首相を追及。「戦闘地域」での兵たん、紛争・戦乱が続く地域での治安活動、日本側から武力行使をする集団的自衛権の行使がすべて憲法を踏み破る海外での武力行使につながる危険があることを解き明かして、政府を追いつめました。

 さらに、1959年の砂川事件最高裁判決を持ち出した政府の「合憲」論に法的根拠がないことを明らかにした宮本徹議員をはじめ新人議員も活躍。ベテラン議員から新人議員まで、文字通り総力戦の論戦を行いました。

野党共闘発展

新しい国民運動に応え

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(写真)5野党党首会談。左から2人目は志位和夫委員長=18日、国会内

 「一国会でこれだけ党首会談がもたれたことは近年にないこと」(日本共産党の志位和夫委員長)。戦争法案が衆院で審議されている段階で2回、参院段階で4回、計6回の野党党首会談が開かれるなか、「戦争法案阻止」の野党共闘が大きく発展したのも、今国会での大きな特徴です。

 「強引な採決に反対し、随時協力し行動する」(7月10日)

 「国民の声に応えて、野党が一致結束して法案阻止のためあらゆる手段を尽くして頑張りぬく」(9月11日)

 「どんな事態になっても、今後とも憲法の平和主義、立憲主義、民主主義をしっかり守っていくために各党が協力する」(9月18日)

 会談での合意事項は、回を重ねるごとに進化していきました。それを後押ししたのが、若者らを先頭に国会前や全国各地でわきおこった新しい国民運動です。

 「憲法守れ」「安倍(首相)はやめろ」―。連日連夜、国会議事堂の中まで聞こえてくる叫びに応え、野党党首らがいく度も集会に足を運び、「一致協力しながら廃案に向けて徹底的に頑張る」(民主・岡田克也代表、14日)と表明。志位委員長や岡田代表らが手を取り合い、参加者の声援に応える光景がたびたび見られました。

 審議の最終局面では、共産、民主、維新、生活、社民の5野党が内閣不信任決議案を衆院に共同提出(18日)し、“政権打倒”で結束しました。志位委員長は本会議の賛成討論で、憲法の立憲主義、平和主義、民主主義を破壊する安倍政権の「三つの大罪」を厳しく指弾。他党も「強行採決は戦後民主主義の否定」(岡田代表)、「立憲主義を理解しない者に総理の資格はない」(維新・松野頼久代表)として、憲法をより所に即時退陣を迫りました。

 今国会での野党共闘の到達を踏まえ、戦争法が強行成立された19日、志位委員長は直ちに、新たなたたかいに向けて「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」実現の「提案」を発表しました。「素早い行動だった」「他の野党も連携の輪を広げるように努力すべきではないか」(生活の党・小沢一郎代表、日刊ゲンダイ26日付)など、「提案」に呼応する声もすでに出ています。

改悪派遣法

論拠破綻 施行日延期に

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(写真)質問する小池晃議員=8日、参院厚労委

 戦争法案とともに改悪労働者派遣法をめぐっても、日本共産党の論戦と国民の運動が安倍暴走を追い詰めました。

 日本共産党は、改悪法案は「派遣は臨時的・一時的業務に限る」という大原則を投げ捨て「生涯ハケン」「正社員ゼロ」への道を開く歴史的大改悪だと追及。民主、社民など他の野党も反対の論陣を張るなかで政府はたびたび答弁不能に陥るなど論拠が総崩れとなり、当初の法案にあった施行日の9月1日を過ぎても成立できない異例の事態に追い込まれました。

 「正社員化を希望する方にはその道を開く」といっていた安倍首相は、審議の中で「正社員として雇うかどうかは経営者の判断」と答弁するなど論拠の破綻を認めました。さらに、改悪法が成立しないと「みなし制度が適用されてしまう」と述べ、違法派遣された労働者を救済する「労働契約申し込みみなし制度」を骨抜きにせよと求める財界の要求に応える改悪法の正体がはっきりしました。

 改悪法は与党が野党の反対を押し切って可決・成立させましたが、労働組合、弁護士、学者など幅広い運動と国会論戦に押されて、39項目にのぼる異例の付帯決議が参院厚生労働委員会で可決されました。派遣会社が「信じられない決議」というほど労働者保護に使える内容も多く、省令や指針となって行政指導にも使われ、悪法実施を許さないたたかいにつながるものです。


戦争法・農協「改革」…公聴会を無視

国民の声聞かぬ安倍政権

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(写真)横浜市で開かれた参院安保法制特別委員会の地方公聴会=16日、横浜市港北区

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(写真)参院農林水産委員会が開いた地方公聴会=8月6日、富山市

 国会では、重要法案を審議する場合などに、広く国民の意見を反映させる必要があることから公聴会や参考人質疑が行われます。通常国会で安倍政権と与党は、こうした場で表明された多くの国民の声を無視し、有無を言わさず法案を成立させました。

 象徴的なのは、戦争法案を審議した参院安保法制特別委員会です。9月15日に中央公聴会、16日に横浜市で地方公聴会を開きながら、与党はそれを受けた質疑もしないまま17日に暴力的に採決しました。横浜市の地方公聴会では公述人から「(公聴会は)単なるセレモニーか」との声が上がりましたが、その直後の委員会では同公聴会の記録を残す手続きもされませんでした。前例のないことです。

 こうしたやり方は、戦争法だけにとどまりませんでした。安倍晋三首相が施政方針演説(2月12日)で「改革断行」の冒頭にあげた農協「改革」の法案をめぐり、6月に石川県と山梨県で開かれた衆院農林水産委員会の地方公聴会。安倍首相が「JA全中が単協の自由な活動を阻んでいる」と述べてきたことに対し「そんな実態はない」との意見が出るなど、与党推薦の公述人含め批判が噴出しました。

 参院農水委員会の富山県での地方公聴会でも、政府が狙う准組合員(農業者以外)のJA利用制限に対して「地域経済に大きな影響を及ぼす」など不安や疑問の声が相次ぎ、与党議員から「法案は現場の実態からずれている」との声も上がるほどでした。しかし、安倍政権、与党はその声にも背を向けました。

 8月28日の参院本会議で農協「改革」法案への反対討論に立った日本共産党の紙智子議員は「地方公聴会で出された意見は、不信感、疑問、不安ばかりで賛同する意見は出ませんでした。私は2001年から農水委員会に所属していますが、これほど賛成論が出ない法案は初めてだ」と、国民と現場の声を無視する安倍政権、与党を痛烈に批判しました。


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