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2015年7月3日(金)

農協「改革」法案

斉藤議員の反対討論

衆院本会議

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 日本共産党の斉藤和子議員が6月30日、衆院本会議で行った農協「改革」法案への反対討論の要旨は以下の通りです。


 本法案は、安倍総理主導のもと、農業を企業のもうけの場に開放するため、邪魔になる農協や農業委員会の解体に道を開くものです。農協を「岩盤規制」の象徴として描き出し「60年間続いてきた制度に穴をあける」としていることはとんでもありません。政府が本当に農業の再生を願うなら、再生産可能な価格保障を実現し、歯止めなき農産物の輸入拡大路線こそ見直すべきです。

 以下、具体的な反対理由を述べます。

 協同組合は「自主自立」が基本であり、理事の資格の導入などの「改革案」を政府や規制改革会議が押し付けるものではないということです。JA全中が自らまとめた自主改革案を尊重すべきです。参考人質疑などでも本法案への積極的な賛成の声は聞かれず、「現場の意見が反映されていない」「改革の的がずれている」など批判の声が相次ぎました。

 国際協同組合同盟(ICA)理事会は、日本の農協運動の結束を解体する法改定に大きな懸念を表明し「日本の農協が農業者や地域社会に提供しているサービスを縮小し、最終的には国民経済にとって逆効果となるだろう」と厳しく批判しています。この「改革」は農業者を置き去りにしたものであり、認めることはできません。

 また、本法案は、これまで家族農業と地域社会を支えてきた総合農協の役割を否定するものです。

 本法案の特徴の一つは、農協の目的として、営利の追求を強調していることです。株式会社化の導入で、営利が優先され、今赤字となっている営農指導や地域のインフラなど、農家や地域に必要不可欠なものさえ切り捨てられかねません。農外企業の横暴に協同して立ち向かう農協の目的と性格を否定して、どうして農業者を守れるのでしょうか。

 さらにJA全中の監査指導権限を奪うことや、信用・共済事業の分離、準組合員の利用規制などを狙っていることは許されません。

 もう一つ重大な問題は、農業委員会の公選制を廃止し、「農地の番人」としての農業委員会制度を骨抜きにし、農地への企業参入を促進することです。

 農地は、単なる土地ではありません。先祖代々その土地を耕し、土を作り引き継いできたものだからこそ、農民の農地に対する思いは特別なものがあります。農地の権利の移動や転用に関わる農業委員会は、農業者が自ら代表者を選ぶことで農家から信頼され、農地の守り手として役割を発揮することができたのです。それを市町村長の任命制に変え「これで本当に農地が守られるのか」と不安の声が出るのは当然です。

 農業、農村の全般的な問題について意見する権利を奪い、農地利用に関するものに限定することは農業委員会を形骸化するものです。

 加えて、農地法を一部改定し、農地所有の法人の要件緩和を進めることは、企業による農業や農地への参入をさらに進めるものであり許されません。

 今、TPP(環太平洋連携協定)交渉が重大な局面を迎えています。多くの農家が不安を強めている時に、農家の声を束ねTPP反対を訴えてきた農協組織の解体を進めることは重大です。協同組合の自主性を奪い、家族経営を基本にした日本の農業と農村の将来に重大な禍根を残す農業組織の解体ともいうべき本法案を廃案にすることを求めます。


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