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2015年5月20日(水)

主張

農協法「改正」案

協同組合の役割を強めてこそ

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 国会で農協法「改正」案(農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案)の審議が始まりました。安倍晋三首相は、農協「改革」は農家の所得を増大させるためだといいますが、農業協同組合と農地利用のあり方を大きく変え、家族経営を基本にした日本の農業と農村の将来に重大な禍根を残しかねません。日本共産党は、法案の撤回と廃案をもとめます。

協同組合に営利を“強制”

 農協法「改正」案の特徴のひとつは、農協の目的から「営利を目的としてその事業を行ってはならない」との規定を削除し、「事業の的確な遂行により高い収益性を実現」(第7条)すると、営利を強調していることです。農協が農業者の協同組合として、「農業所得の増大に最大限の配慮」「経営の健全性を確保」するなどは当然ですが、農業者の協同・共生より営利を目的にすれば、それが実現するというものではありません。

 むしろ営利の最優先は、農産物を安く買って高く売る、生産資材も安く仕入れて高く売るなど営利企業と同じ行動をとらせ、もうからない、もうけの少ない事業や産地は切り捨てることにもつながります。組合員も、大規模経営や法人などを優遇することにならざるをえません。法案は農協組織が株式会社などになれる条項も設けました。これも農外企業の横暴に協同して立ち向かう農協の目的と性格を変えてしまう規定です。

 さらに法案は、全国組織のJA全中や各都道府県の農協中央会制度を廃止します。全中による系統組織や総合農協に対する指導・監査の機能をなくし、「単協の援助に徹してもらう」(安倍首相)といいますが、農協界の意見集約や全国的に統一した行動がとれなくなります。環太平洋連携協定(TPP)参加反対の司令塔的な役割を果たしているJA全中を敵視する安倍首相の意向があることは、この間の経過からも明らかです。

 農協はもともと農業者の自主的な協同組合であり、農協の改善・改革が必要な場合も、組合員、役職員の意思と討論で行うべきものです。しかし今回の「改革」は規制改革会議など財界主導の政府の方針を、安倍首相と自民党が脅迫的にJA全中にのませたものです。農協法「改正」による強権的な「改革」は、組合員が主体であるべき農協への政権の乱暴な介入です。

 法案には、「農業者の地位の向上」という目的を外して公選制と農民の議会としての性格をなくす農業委員会法の改定、企業の農地所有を大幅に広げる農業生産法人の要件拡大など、自ら耕す者を主体に行ってきた農地の管理・利用に農外からの支配を強める中身も盛り込まれています。安倍首相がめざす「企業がもっとも活躍できる国」づくりの農業版であり、財界の要求に沿ったものです。

家族農業とその共同を

 貧困と格差の拡大や地方の疲弊は、効率と営利追求一辺倒とともに、農林漁業や地場産業などの衰退と一体です。農業の所得増大や農業生産の拡大をめざすなら、農協や地域に定着した家族農業とその共同(農業生産法人含む)の努力こそ大事にすべきです。

 農協「改革」の押し付けでなく、農業者の立場に立った、農協の組合員、役職員の徹底した論議と自主的努力をこそ尊重すべきです。


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