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2015年3月3日(火)

TPP、農協つぶしストップ――この願いを日本共産党に

北海道帯広市 志位委員長の演説から

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 日本共産党の志位和夫委員長は1日、北海道帯広市での演説会で、環太平洋連携協定(TPP)と農協つぶしをストップさせるために、いっせい地方選挙での日本共産党の躍進をと訴えました。該当部分の演説は以下の通りです。


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(写真)演説する志位和夫委員長=1日、北海道帯広市

 今日、こちらにうかがったのは、目前に迫ったいっせい地方選挙での日本共産党へのご支援をお訴えするためです。

 日本共産党は、帯広から佐々木とし子さん、十勝から山川秀正さんの2人が、道議会選挙に挑戦することになりました。私は、この選挙は、帯広・十勝、北海道にとってはもとより、全国的にも大事な意味を持つ選挙になると考えています。どうか、2人をそろって必ず道議会に押し上げてください。(拍手)

全国に誇る十勝の農業を守り、発展させることができるかが問われている

 この帯広・十勝から日本共産党の道議会議員を送り出すことがどんなに重要か。

 私が、まず訴えたいのは、TPP推進、農業破壊を進める安倍政権に対する一番の痛打となるということです。

 十勝管内の農業産出額は約2800億円にもなります。全国47都道府県でベスト10クラスの青森県や新潟県に匹敵する農業産出額を誇っています。食料自給率は1100%。文字通り日本の食料基地としてかけがえない役割を担っています。私が驚いたのは、日本の農業全体が厳しい状況におかれるもとでも、この十勝では、耕地面積が、45年間で18万ヘクタールから、24万ヘクタールへと1・3倍に拡大したということです。農業を基幹産業にすえて頑張ってこられた先人たちの努力のたまものだと私は思います。

 この全国に誇る十勝の農業を守り、発展させることができるのか、このことが問われています。この点で、私は、いま、みなさんが営々と取り組んでこられた努力を、土台から覆そうという二つの動きについてお話ししたいと思います。そして、日本共産党の躍進で、二つの暴走をストップしようということをまず訴えたいと思います。

TPP交渉の現状は――国会決議にも反する譲歩につぐ譲歩

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(写真)志位和夫委員長といっせい地方選挙予定候補の訴えを聞く人たち

 一つは、TPPストップの願いを、どうか日本共産党にたくしてほしいということであります。(拍手)

 いまTPP交渉はどうなっているでしょうか。秘密交渉なので定かではありませんが、間違いなく言えることが三つあります。

 第一は、日本政府が、交渉にあたって「聖域」にするといってきたコメ、牛肉・豚肉、乳製品などの農産物重要5品目について、国会決議にも違反した譲歩につぐ譲歩を重ねているということです。

 コメでは、「TPP特別枠」なるものを設定し、年間5万トン規模の輸入拡大をはかろうとしています。牛肉・豚肉、乳製品でも、関税の大幅引き下げ、一部撤廃をすすめようとしています。

 さきほど十勝町村会の高橋正夫会長(本別町長)からもごあいさつをいただきましたが、十勝町村会は2月9日、「『TPP交渉から十勝を守る』緊急決議」を採択しています。「緊急決議」ではつぎのようにのべています。

 「このまま米国主導のTPP交渉を続けたならば、国会決議が反故(ほご)にされ、十勝ばかりでなく、道内・国内の農業・農村の崩壊を招いてしまうことは明らかである」「われわれ十勝町村会は、……国会決議を順守し、それができない場合には速やかに交渉から撤退することを強く求める」。

 TPP交渉の現状が、「重要5品目の聖域確保」を明記した国会決議にも違反する実態であることはいまや明らかです。そうであるならば、速やかな撤退を強く求めていこうではありませんか。(拍手)

交渉は、日米両政府の思惑通りに進んでいない

 第二に、同時に、交渉は、日米両政府の思惑通りに進んでいるわけではありません。

 日本側は、譲歩につぐ譲歩をしています。それでもアメリカ側からすれば、「まだまだ足らない」、こういう状況になっているのです。日本とアメリカの間にはまだ大きな溝があるのです。

 米国議会では、大統領にTPP交渉の権限をゆだねる「大統領貿易促進権限(TPA)法案」の提出ができないでいます。この法案は、通商交渉の権限を大統領に一任するもので、この権限がないと、参加国は米国政府の交渉力を信頼せず、交渉を妥結させることが困難といわれています。この法案が、いまだ提出できず、その成立そのものが予断を許さない状況です。そういう状況がアメリカで起こっている。

 そして、このTPP交渉、いよいよ期限が迫ってまいりました。夏以降になると、米国内では次期大統領選びが本格化し、政権がレームダック化(弱体化)してきます。5月上旬までに大筋合意できなければ、TPP交渉は“漂流”するとみられています。“漂流”してもらおうじゃありませんか(笑い、拍手)。もちろん状況は予断を許しません。ただ、大きく見れば、追い詰められているのは、オバマ政権であり、安倍政権なのだということを、私は言いたいと思います。(拍手)

国民の世論と運動、「オール十勝」のたたかいが相手を追い詰めている

 第三に、それではこうした日米交渉の矛盾をつくっている力はどこにあるのか。

 日米交渉がいまだに妥結に至らず、12カ国の交渉も難航している背景には、異常な秘密交渉や、市場原理一辺倒のアメリカ型ルールの押しつけに対する途上国政府の反発や、アメリカも含めた参加国国民の反対運動の高まりがあります。わけても、安倍政権のTPP暴走に立ちはだかってきた日本国民の世論と運動こそ、交渉に矛盾をつくりだしている大きな力となっていることを、私は、強調したいのであります。

 とくに、TPP反対の「オール十勝」のたたかいは、私は、すばらしいと思います。「TPP問題を考える十勝連絡会議」は、保守も革新も、党派を超えて、自治体、議会、農協、労組、医師会、市民団体など30団体が参加し、大きく発展しています。「オール北海道」のたたかい、全国のたたかいの中核となって頑張ってきたのが、「オール十勝」のたたかいではないでしょうか。この力が相手を追い詰めている。ここに自信をもって頑張ろうではないかということを、私は言いたいと思います。(拍手)

 TPP交渉が正念場を迎えるこの春、いっせい地方選挙がたたかわれます。この選挙で、TPP反対を正面から掲げる日本共産党を躍進させることが、TPPストップの大きな力となることは明らかではないでしょうか。

 とくに全国のTPP反対運動の中核となって頑張ってきたこの帯広・十勝から、「オール十勝」の代表として、佐々木さん、山川さんを勝利させることが、安倍政権に痛打をあびせ、TPP交渉をストップさせる大きな力となる。このことを私は心から訴えたいと思います。(「頑張ろう」の声、拍手)

農協「改革」の名で何をやろうとしているのか

 いま一つ、日本の農業を壊すとんでもない動きがあります。安倍政権による乱暴な農協つぶしの動きであります。農協つぶしストップの願いを、日本共産党の佐々木さん、山川さんにどうかたくしていただきたい。このことをお願いしたいのです。

 いったい安倍政権は、農協「改革」の名で、何をやろうとしているのでしょうか。

 まず“第1弾”として進めようとしているのは、JA全中(全国農業協同組合中央会)から指導・監査機能を奪ってしまうことです。そのことによって、JA全中を事実上、つぶしてしまおうというのです。

 これは農協つぶしの“第1弾”であって、ことはそれにとどまりません。安倍政権は“第2弾”として、三つのことをやろうとしています。一つは、これまで農産物の共同販売などを行ってきた全農を株式会社にしてしまうことです。二つ目は、単位農協から信用(金融)と共済事業を分離し、はぎとってしまうということです。JAバンク、JA共済を分離してしまう。そして三つ目は、准組合員の農協事業利用を制限する。この“3点セット”を“第2弾”として押しつけるというのが彼らのくわだてなのです。しかし、そんなことがやられれば農協は存続できなくなります。つぶされてしまう。

TPP反対運動をつぶし、日米大企業が農協の仕事を食い物に――ここに狙いがある

 それでは、何のために、こんなことをやろうというのか。

 安倍政権はこうした農協「改革」を、「日本の農業の発展のためだ」といいますけれども、全国の農協で「これをやってください」ということを要望している農協が一つでもあるでしょうか。そんな農協は一つもないではありませんか。

 何のためにこんなことをやろうとしているのかといえば、みなさんのTPP反対運動が恐ろしくて仕方がない。とくに要となって頑張ってきたJA全中が目障りで仕方がない。だからつぶしてしまえ。さらに、アメリカと日本の銀行、保険業界、大企業が、いま農協が担っている共同販売、金融、共済という三つの大事な仕事を食い物にしていこう。ここに狙いがあるのです。

地域住民の大切なライフラインを壊して、何が「地方創生」か

 日本の農業のことを真剣に考えているわけではさらさらない。農家のみなさんのことを考えているものでも何でもない。日米の大企業のためにTPPを押しつけ、さらに自分たちのもうけ口を増やそう。これが本当の目的なのです。

 こんなことを許せば、ことは農協の問題にとどまりません。全国どこでも農協は地域の助け合いの要として大切な役割を果たしています。ガソリンスタンド、農産物直売所、店舗、共済、信用、医療、介護など、地域住民のみなさんの大切なライフラインとなっているのが農協ではないでしょうか。農協をつぶせば、地域はいよいよ衰退してしまいます。私は、こんなことをやって何が「地方創生」かといいたいと思うのです。(拍手)

「世界でも特に優れている」と評価――農協つぶしの暴走は世界の流れに逆行する

 みなさん。この暴走は、世界の流れに逆行しています。

 いま国連は、協同組合の発展を重視するよう各国政府に働きかけています。国際協同組合同盟(ICA)理事会は声明を出して(2014年6月)、安倍政権の農協制度改変について、「協同組合の特質に対する基本的な無理解について、深く懸念する」と批判したうえで、次のようにのべています。「日本の協同組合運動は世界の協同組合運動のなかでも特に優れたものであり、世界中の協同組合が高く評価し、そこから学んでいる」

 みなさん。TPP押しつけと一体に、「世界でも特に優れている」と評価されている協同組合運動――農協をつぶし、農業と農村をつぶして、日米の大企業の食い物にする。日本共産党は、こんな間違った動きには、断固として反対し、日本農業を守り、再生させるために頑張りぬく決意を申し上げるものです。(「いいぞ」の声、拍手)

 みなさん。TPP、農協つぶしストップ、十勝の農業、北海道の農業、日本の農業を守り発展させよう――この願いをこぞって日本共産党の佐々木さん、山川さんにたくしてください。どうかよろしくお願いいたします。(大きな拍手)


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