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2015年2月18日(水)

主張

農協「改革」

合意なき強行は発展阻害する

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 安倍晋三首相は、通常国会の施政方針演説で「戦後以来の大改革」を掲げ、演説冒頭で、農協と農業委員会、農業生産法人の三つの「改革」をあげました。なかでも農協「改革」について、(1)農協法にもとづく中央会制度の廃止、(2)現在の全国農業協同組合中央会(JA全中)の一般社団法人への移行、(3)農協への会計士監査の義務づけ―などに言及しました。

「改革」ありきで異論無視

 安倍首相が持ち出した農協「改革」は全中が立案した自主的改革案の主要部分を否定し、首相の強い意向として全中に強引に受け入れさせたもので、農家組合員や理事者、労働者の意思を無視した強権的介入です。まさに「改革」のための「改革」案の押し付けです。

 安倍首相は、強い農業をつくるため、農家の所得を増やすために「改革」が必要といいますが、どう強い農業をつくり、農家の所得増大につながるのかの説明はありません。それどころか、生産者米価の暴落や円安と消費税増税による生産資材・飼料の値上がりなどで生産を続けられるかどうかの瀬戸際に立たされている、農業者の深刻な事態に背を向けています。

 農協「改革」も、公選制の廃止を柱とする農業委員会「改革」も、農業関係者が求めたものではありません。「改革」案の骨格も政府の規制改革会議で財界代表が持ち出した内容が最優先されています。

 農協「改革」がめざす中央会の法的位置づけの廃止、会計士監査の義務付けは、全中が単位農協の自由を制限しているからだといいますが、現場の農協組合長の大多数が指摘は当たらないと述べています。今日の農業の困難、食料自給率の低下は、歴代自民党農政がすすめた農産物の輸入拡大や価格・所得政策の削減、中小経営の政策対象からの排除などが主な要因で、農協の責任ではありません。

 重大なことは、この「改革」によって戦後農政の民主的なあり方も大本から崩されることです。それは財界が繰り返し要求してきた、地域に定着する家族農業とその共同組織が担ってきた農業生産・農地管理、販売・購買、信用・保険などを、営利企業のあらたなビジネス・チャンスとして提供することになるからです。

 問答無用で農協「改革」を押し付ける強権的なやり方は、安倍首相が強調する「企業がいちばん活躍しやすい国」をつくるため、岩盤規制打破の突破口に農協を位置づけているからです。それは同時に、JA全中が大きな役割をはたしてきた環太平洋連携協定(TPP)反対の国民的な運動を力ずくで押さえ込むためでもあります。

協同・共生を発展させて

 いま必要なことは、家族経営を基本にした多様な農家・生産組織などが農産物の再生産を続け、後継者を確保できる、展望のもてる農政です。TPP交渉からの撤退も決断すべきです。

 そのうえで、農産物の生産・販売、信用・共済、医療など総合的な事業で地域の農業と住民の暮らしを支えてきた総合農協としての役割を生かすことです。東日本大震災で発揮したように、利益一辺倒ではなく協同・共生の立場にたった組合員、理事者、労働者の主体的な努力の保障が重要です。

 そうした方向こそ、国民が求める安全な食料の安定供給と農村社会の維持・発展を保障する道です。


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