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2014年8月24日(日)

主張

消費税増税分転嫁

中小企業の苦境直視すべきだ

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 消費税の税率が5%から8%に引き上げられた4月から4カ月余り―。消費税の負担増は国民の消費を冷え込ませ、4〜6月期の国内総生産(GDP)統計では個人消費が大幅に落ち込み、GDP全体でも年率換算で6・8%もの大幅後退となりました。中小企業・下請け企業にとっては、消費税増税分の販売価格や下請け代金への転嫁に四苦八苦しているのに、景気後退で売り上げも脅かされる、文字通りのダブルパンチです。中小企業の苦境を直視した手厚い対策を強めるとともに、来年10月からの消費税の税率10%への再増税は、直ちに断念すべきです。

下請け企業の弱い立場

 消費税の「円滑かつ適正な転嫁」を掲げる公正取引委員会と中小企業庁は、増税前から買いたたきや値上げ交渉の拒否など「転嫁拒否」の調査を続けていますが、増税から4カ月の7月でも21件で違反した事業者を指導、1件に公取委が是正を勧告し、事業者名を公表しています。昨年10月からの合計では、指導が1287件、勧告が6件にのぼっており、指導したうち「買いたたき」が1003件、勧告はすべて買いたたきです。

 転嫁状況についてのアンケート調査では、事業者間の取引では83・4%、消費者向けの取引では74・5%が「すべて転嫁できている」と答えていますが、「まったく転嫁できていない」という答えも、事業者間取引で4・0%、消費者向け取引で5・2%あります。「転嫁拒否」にたいする指導や勧告があとを絶っていないことに照らしても、公表数字は「氷山の一角」で相当数の事業者が依然として転嫁に苦しんでいるのは明らかです。

 転嫁を困難にしている背景にあるのは、大企業が多い親企業や発注企業と、下請け企業や納入側の中小企業の取引関係が、対等ではないことです。中小企業や下請け企業が増税分の転嫁を強く求めれば、親企業から発注削減などの脅しを受けることもしばしばです。掛け声だけの対策ではなく、大企業や親企業の横暴を許さない実効性ある対策が不可欠です。

 親企業と下請け企業の関係で最近注目を集めたのは、民間の信用調査機関、帝国データバンクが発表したトヨタ自動車グループの下請け企業への調査です。親企業のトヨタはリーマン・ショック前2007年以来の最高益を記録しているのに、下請け企業の約7割はリーマン前の売り上げさえ回復していません。電気料金や原料価格の上昇などで厳しい経営を強いられています。調査は1次、2次の下請けまでで、より零細な3次以下の下請けはさらに厳しい状態に置かれているのは明白です。

景気悪化で売り上げ減も

 消費税増税分の転嫁でさえ難題なのに、景気が悪化すれば、中小企業や下請け企業の経営がさらに厳しくなるのは目に見えます。景気が悪化すれば売り上げが減り、監督官庁の手前いったん消費税分の値上げを認めた親企業でさえ値引きを迫ることが予想されます。

 中小企業が多い日本商工会議所の調査でも、7月以降、コスト増加分の転嫁遅れや人手不足、実質所得の低下、足元の設備投資の鈍さなどから、先行きに慎重な声も聞かれると指摘しています。日本経済で大きな役割を果たす中小企業の経営を安定させる国民本位の経済政策がいよいよ重要です。


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