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2014年1月26日(日)

にぎわう商店街 立ち退き迫る

東京都 「防災」の名で20メートル道路

「住宅の耐震・不燃化こそ」

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 「防災」の名のもとで東京都が進める「特定整備路線」計画。住民を無理やりに立ち退かせ、商店街をつぶすやり方に各地で批判がわきおこっています。


 東京・品川区の東急戸越公園駅前に広がる「とごし公園通り」。パン屋に和菓子、八百屋に文具店…。戦後の焼け野原から築いてきた商店街は今も買い物客でにぎわいます。

専門家も疑問視

 都はこの通りを含む3・5キロの区間で幅約20メートルの都市計画道路(29号線)をつくろうとしています。道を広げ、震災時の火事が燃え広がらないための「延焼遮断帯」にするといいます。

 これによって商店街の片側にある店はすべて撤去に。計550棟、数千世帯が立ち退きを迫られます。

 長年ここで商売をしてきた商店主は「商売人にとっては死活問題。代替地さえ与えられていない。長年の苦労もすべて水の泡だ」といいます。別の商店主も「行政の説明は一方的。防災対策としても納得できない」と憤ります。

 効果を疑問視する声は専門家からもあがっています。「道路で延焼を防げるとは考えられない」というのは、防災に詳しいNPO「くらしの安全安心サポーター」の中村八郎理事長です。

 焼失面積が3・3ヘクタール以上となる市街地延焼火災(大火)になれば、飛び火によって少なくとも100〜300メートルは燃え移るといいます。

 中村氏は「ぼう大な税金を使ってまでやることなのか。都民の命、財産を守るのであれば、住宅への耐震・不燃化への補助が最優先です」といいます。

大型開発に熱心

 国の中央防災会議は、住宅の耐震化率を100%にすれば、倒壊による死者は1万人減り、1500人になると試算(都心南部直下地震)しています。

 ところが、石原・猪瀬都政は、住宅の耐震化は「自己責任」として、助成される地域や工事の対象をごく一部に限定してきました。木造住宅への耐震助成は、制度開始から6年間で480件だけ。静岡県の約21分の1にすぎません。

 一方で、1メートル1億円の外郭環状道路など不要不急の大型開発には熱心です。

 また地震火災の原因は6〜7割が電気です。中央防災会議は、地震を感知して自動的に電気を落とす「感震ブレーカー」を設置すれば死者は4割以上減らせるとしています。横浜市は「感震ブレーカー」への補助をしていますが、都はおこなっていません。

 この地域を大型道路にする話は戦後すぐからありました。品川区の「住民の暮らしと安全・環境を守る会」の原田泰雄会長は語ります。「都は“命の道”というが、本音はゼネコンのもうけ口をつくるための開発ではないのか。宇都宮さんに知事になってもらい、計画をストップしてほしい」(芦川章子)


 「特定整備路線」 都が大型地震対策として進める「木密地域不燃化10年プロジェクト」の目玉事業。延焼を遮断する都市計画道路として「特定整備路線」を都内28カ所で選定。2020年までの完成を目指しています。総事業費は「算定中。公表時期は未定」(都担当者)です。品川区の29号線計画だけで822億円(日本共産党区議団試算)。費用は国が半分、都が半分を負担します。


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