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2013年4月4日(木)

宮城県25万人支援切り捨て

被災者医療費免除 3月まで

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 東日本大震災被災者に対する医療費(窓口負担)の免除措置が宮城県で4月からなくなりました。宮城県が国民健康保険加入者の免除に必要な財源の拠出を3月末で打ち切り。後期高齢者医療制度の被保険者もあわせ、約25万人にのぼる被災者が新たに負担を強いられています。(本田祐典)


 宮城県北端で岩手県に接する気仙沼市。この3月まで仮設団地自治会長をつとめ、お年寄りの見守りに力を入れてきた男性(66)は、「車で10分も走れば、免除継続の岩手県。地域によって、なぜ命の価値が違うのか」と訴えます。

 仮設住宅では、不眠や運動不足など高齢者を中心に健康悪化が進みます。「お年寄りは家族に気兼ねし、少々のことでは医者に行かないと言う。健康も、心も苦しめられている」

前倒し治療増

 仙台市宮城野区の北村神経内科クリニックの北村龍男医師(宮城県保険医協会理事長)も、「負担を心配し、3月中に検査の前倒しや薬を多めにと望む患者が多かった。慢性疾患は我慢で治るものではないので、注意が必要だ」と懸念します。

 これまで宮城県内で免除を受けていた被災者は国保加入者17万9511人、後期高齢者6万7306人の計24万6817人(2012年10月末現在)にのぼります。

 4月1日以降、県内ではいっせいに、被災者の自己負担が震災前の3割負担(70歳以上は所得に応じ1割負担)に戻りました。

隣県では継続

 他方、岩手県は全33市町村で4月以降も免除が継続に。福島県では国が免除する警戒区域などのほかに、3市町で継続しています。

 宮城県石巻市内の医院では、待合室の意見箱に被災者から1通の手紙が寄せられました。「津波で全財産を無くしました。岩手県と福島県で医療負担が延長となりましたが、宮城県は3月で終了となります。宮城県でも医療費負担が免除とならないのでしょうか」

 本紙が3月に実施した被災者300人実態調査でも、▽糖尿病、高血圧、ぜんそくなど治療費を払えない。すぐ命にかかわるもの以外は治療をやめる(石巻市の56歳男性)▽通院を減らす(同、65歳女性)―などの声が寄せられました。

 宮城県で打ち切りに至ったのは、国と県による支援の切り捨てが重なったため。(表)

 まず国が12年9月末に医療・介護の免除にかかる経費の全額補助を打ち切り、被災自治体に免除経費の2割負担を求めました。

 さらに今回、宮城県が「県の判断でやめる」(村井嘉浩知事、3月25日の会見)と免除経費の2割負担を拒否。県と負担を折半してでも継続したいという石巻市などの要望にも背を向けました。岩手県が負担を市町村と折半して継続を守ったのとは対照的です。

 宮城県議会では日本共産党県議団が、寄付などを積み立てた県の基金(残高100億円超)を活用すれば免除を継続できると指摘。県議会も全会一致で「あらゆる手段を講じ免除措置が継続できるよう万全を期すこと」とする付帯意見を確認しました。

 国会でも日本共産党の高橋ちづ子衆院議員と志位和夫委員長が直接、安倍首相に国の全額補助での継続を求めてきました。

 しかし、村井知事は「優先順位の問題」「(県の)事情を酌み取って、一人一人頑張って」とし、安倍首相も全額補助を拒みます。

 冒頭の男性は、国と県は今からでも免除打ち切りを撤回すべきだと求めます。「仮設では、私たちの命は軽いねと話が出ている。あまりにもひどい。政治が決断さえすれば、復活は可能なはずだ」

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