2012年5月31日(木)
迫る水俣病救済申請期限
打ち切りやめ 実態調査を
民医連・保団連 環境省に要請
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政府が水俣病救済特別措置法にもとづく救済策の申請受け付けを7月末で打ち切ろうとしている問題で、全日本民主医療機関連合会と全国保険医団体連合会は30日、環境省に対し、打ち切りは多くの水俣病被害者をとり残すとして、申請期限を延長し、被害調査を行うよう要請しました。
要請では、(1)7月末の申請期限の延長(2)不知火(しらぬい)海沿岸(熊本県、鹿児島県)、阿賀野川流域(新潟県)の水俣病被害の全容を解明するための住民健康調査と環境調査の実施(3)救済の対象地域・年齢の拡大―を求めました。
環境省の担当者は、すみやかな救済実施のために期限を設けることが必要などとのべ、予定通り打ち切る意向を示しました。健康調査については「手法を開発したい」と答えました。
6月24日に1500人規模での住民健康調査を行う「不知火海沿岸住民健康調査実行委員会」委員長の藤野糺(ただし)水俣協立病院名誉院長は、「患者は私たちの検診にも大決心しないと来られない。偏見もあり、(名乗り出るには)時間がかかる。7月末で切らず、法改正してでも救済すべきだ」と迫りました。
保団連理事の野本哲夫医師は「何十年間も実態調査をせず、なぜ今ごろ手法の研究か。7月打ち切りには理由がない」と批判。東京民医連の小嶋博之常駐理事は「東京で私たちが行った検診に来たある患者は『定年になり、娘が結婚してようやく勇気を出して検診に来た』と涙ながらに訴えた。申請期限は再考すべきだ」とのべました。