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2012年3月20日(火)

生活保護申請に誓約書

“出産したら保護に頼らない”

党市議が追及 副市長謝罪

京都・宇治

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 「約束の時間に来ない」「書類の不備が複数回発生」した場合などは「自己責任なので、廃止を含めた処分は貴職に一任する」―。京都府宇治市でこの3月、生活保護の申請に訪れたAさんに対し、こんな記述をした「誓約書」を約5時間にわたって説明し、署名・押印させていたことがわかりました。


 日本共産党の宮本繁夫市議が12日の市議会で追及し、明らかにしたものです。

3枚にわたり

 「誓約書」はA4用紙3ページにわたり、「保護開始直後の辞職は保護費を目的とした辞職と判断され認められない」ことや、母子世帯には「異性と生活を伴にしない」「妊娠・出産したら保護に頼らず養育する」ことなどを約束させています。外国籍の人には、「日本語を話せないのは自己責任」であり、「日本語が分からないから仕事が見つからないなどの言い訳は認められない」など人権を侵害し、生活保護の廃止を一方的に強いる記述が並んでいます。

 「生活保護費削減のために積極的に就労活動を行い」「生活保護費削減のために…子供の養育費を請求・獲得することを誓う」など生活保護費削減が動機になり、「誓約書」がつくられたことをうかがわせる記載もあります。

 市によると、こうした「誓約書」は同ケースワーカーが1月にも別の高齢者世帯に署名・押印させていました。

 土屋炎副市長は「大変申し訳ない」と謝罪し、「誓約書」に署名・押印させたことの誤りを認めました。一方、西村公男生活支援課長は「ケースワーカー本人の判断で上司との相談もなしにやったことで、課としてやったわけではない」としています。

別の人も実施

 さらに16日の市議会予算委員会では、市が他のケースワーカー2人も「私の生活や個人情報について必要な調査をしてもかまいません」「病院を自由に選ぶことはできない」「勝手に仕事を辞めたり、転職できない」などと記述したA4用紙2ページの「誓約書」を、4人の申請者に署名・押印させていたことを明らかにしました。

 宇治生活と健康を守る会の平本克行会長は「『誓約書』の内容はまったくひどいもので到底許されない。生活保護は最後のセーフティーネットであり、誰もが申請できる制度でなければならない。窓口に到着するまでにも大きな決意が必要であり、『誓約書』によって申請者を萎縮させることになる」と話しています。

 宮本市議は「『誓約書』で同意を求めている内容は、生活保護法やその実施要領をも逸脱した内容だ。一職員の行った行為だと言って看過できない。他にも誓約書を書かされたという話も寄せられている。こうした事態を引き起こした原因はどこにあるのか、市は真摯(しんし)に生活保護行政のすすめ方を見直すべきだ」と語っています。

 宇治生活と健康を守る会は19日、宇治市で複数のケースワーカーが、生活保護の申請者に人権侵害の「誓約書」に署名・押印させていた問題で、市健康福祉部・生活支援課に対し、抗議と再発防止を申し入れました。(京都府・岡本大介)


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