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2021年12月31日(金)

コロナ変異株の無料検査

基準より低い補助額も

公費の抑制に懸念

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の市中感染が東京都、大阪府、京都府などで確認されたことを受け、各自治体では、PCR検査や抗原定性検査などの無料検査事業を実施しています。

 無症状感染者の発見につながる無料検査を評価する声があがる一方、政府や自治体による補助金交付の姿勢が検査費用の抑制につながると懸念を持たれています。

 無料検査ではPCR検査の場合、事業者に対する補助額について、検査の基準単価を東京都は国の基準に合わせた上限8500円に設定。大阪府は上限を6500円としました。府の担当者は、国の基準額より低い理由を、「地域の実勢価格に合わせた」と説明します。

 この基準額は妥当な金額なのか。病院や自治体から新型コロナの検査を受託する検査機関に聞くと、諸経費として支払われる1件当たり3000円の補助を加えても「非常に厳しい金額だ」とする声があがりました。

 数件分の検体をまとめて検査するプール法や、検体を大量に集めて全自動機などで行うような方法であれば、1件当たり1000円前後で実施が可能です。ただ、医療機関などでの確定診断に使用されるPCR検査の試薬は、5000~8000円。人件費や設備費などを考えると8500円を上限とする金額での受託は難しいといいます。

 厚生労働省は今月8日、PCR検査に関して、31日から診療報酬を引き下げることで了承しました。医療機関での検査はこれまでの1万3500円から半分近い7000円に。外部委託している場合は、来年4月1日から7000円となります。

 政府は診療報酬の引き下げに伴い31日以降、無料検査の補助費も基準額を8500円から7000円にするとしています。こうした動きに検査機関の担当者は、「無料検査で行われているPCR検査と医療機関での検査を同様のものだとは思ってほしくない」と懸念を示します。

 医療機関など行政検査の場合、偽陰性の可能性を低くするために、ウイルス量が少ない場合でも捕捉できる精度の高さが必要だといいます。

 (田中智己)


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