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2021年6月18日(金)

2021都議選

「共産VS自公都ファ」 公約で鮮明

 東京都議選に向けた各党の公約が出そろいました。五輪、コロナ対策、大型開発―。各党の態度はどうなっているのでしょうか。


写真

(写真)都議選前最後の都議会定例会開会日行動で「五輪を中止してコロナ対策に集中を」とアピールする人たち=1日、都庁前

コロナ禍での五輪

共産 中止決断し命守れ

自公ダンマリ 都ファ陳情に反対

 新型コロナ感染のリスクを高める東京五輪・パラリンピックをどうするのか―。都議選の大争点です。

 日本共産党は東京五輪・パラリンピックについて、志位和夫委員長が1月の国会で今年夏の開催中止をいち早く提起。共産党都議団は繰り返し中止を要求し、大きな国民の世論となりました。公約でも「今夏の東京五輪の中止をただちに決断し、コロナ対策に全力集中を」と正面から争点に突き出しています。

 五輪開催に批判と不安を持ちながらも「中止は難しいのでは」との声も一部にあります。日本共産党は「五輪開催が近づけば近づくほど国民との矛盾は広がり、激化せざるをえない」「五輪は自然現象ではない。政治が中止の決断をすれば、いつであれ中止することができる」と訴えています。

 これに対し自民党は都議選政策パンフレットで五輪について具体的には何も述べていません。8日の政策発表時の会見で自民・山崎一輝都議会幹事長は、五輪に触れなかったことを問われると「都議選の争点にはならない」と苦しい言い訳。一方で「中止、延期は考えていない」と語っており実施ありきの立場です。

 公明党も、発表した重点政策に記述はありません。政策に盛り込まなかった理由は「五輪憲章で政治利用が禁止されている。あえて(公約に)書いていない」(7日、東村邦浩・都議会公明党幹事長)と発言。一方で、山口那津男代表が、五輪中止論は「非現実的」と攻撃を始めるなど、五輪問題をさっそく「政治利用」する支離滅裂ぶりです。

 都民ファーストの会は五輪について、公約では「命と暮らしを守り抜くことを最優先」としつつも「中止」を明記せず。「国が有観客での開催を強行する場合『無観客』での開催を強く求める」として、開催都市でありながら国に責任を押し付ける姿勢です。

 東京維新の会は都議選マニフェストで「(五輪)開催可否についてはワクチン接種や国内感染状況など客観的指標に基づき判断する」としていますが、その「指標」は同マニフェストで示しておらず不明瞭です。

 都議会では7日に本会議で、都民からの五輪中止を求める陳情が採決されましたが、同陳情に賛成の立場は日本共産党と立憲民主党など。自民、公明、都民ファースト、維新は反対し、同陳情を不採択としています。

都立・公社病院の独法化

共産 医療切り捨て反対

自公ダンマリ 都ファ推進

 新型コロナウイルスの感染に歯止めがかからない中、都内のコロナ病床の4割近くを確保するなど対策の先頭に立っている都立8病院・公社6病院を、もうけを優先する独立行政法人(独法化)にしてよいのかが問われています。

 3月の都議会では、独法化中止を求める都民約3万人の請願を自民、公明、都ファなどが不採択にしました。共産党は採択を主張しました。

 共産党は、独法化目的が年間400億円の都から都立病院への財政支出、100億円の都保健医療公社への支出の削減にあると告発。独法化で、行政が責任を果たすべき感染症医療や小児・周産期医療、災害医療など不採算の「行政的医療」が切り捨てられると批判し、独法化中止と都立・公社病院の拡充を訴えています。

 これに対して、都民ファーストの会は「都立・公社病院の独法化を通じた地域医療・災害医療・感染症医療の強化」と政策で明記し、事態をあべこべに描いています。同党都議は都立病院に対する都の財政投入を「一層の経営改善が必要不可欠」(2019年6月の本会議で成清梨沙子都議)と問題視していました。

 自民党と公明党は政策で独法化に触れていません。しかし、自民党は今年3月の予算特別委員会で「独法化後は人材の柔軟な確保などたくさんのメリットがある」(三宅正彦都議)と独法化を賛美。

 公明党も昨年3月の厚生委員会では「都民の理解と納得が得られるよう、引き続き課題について検討を行うこと」(小林健二都議)として独法化を進める立場です。

 自民・公明・都ファはコロナ対策としてワクチン接種加速などに触れていますが、コロナ対策の先頭に立つ都立・公社病院を独法化するという矛盾した態度です。

羽田新ルート・外環道

共産 住民に危険、撤回を

自民推進 都ファ・公明ダンマリ

 都心を旅客機が低空飛行する羽田新飛行ルート、地盤沈下や陥没を引き起こした東京外環道の地下トンネル工事―。小池知事が「稼ぐ東京」の名で進める大型開発が都民の暮らしの安全を脅かしています。

 共産党は、住民から「家の中で窓を閉めていても、響く轟音(ごうおん)で休まらない」「落下物が心配」と怒りが上がっていると告発し、住民とともに羽田新ルートの撤回を要求。事業費が1メートル1・5億円に膨れ上がり、住民に危険をもたらしている外環道計画でも中止を求めて運動、都議会でも追及しています。

 自民党は、都議選公約で「羽田空港の機能強化」「(外環道を含む)三環状などの環状道路の整備促進」を掲げ推進の立場を明瞭に。都議会でも「羽田空港の機能強化は必要不可欠」(19年9月の本会議で菅野弘一都議)としてきました。

 都ファ、公明党は都議選公約では羽田新ルート、外環道に直接触れていませんが、両党とも外環道については推進の立場。羽田新ルートについては、自民党とともに「再検討」を求める都民の請願を不採択にしてきました。

 都ファは公約で「国際ビジネス拠点の形成に資する都市再生の推進」と大型開発をあおり、外環道については都議会で「非常に効果のある事業だ」(昨年11月の環境・建設委員会で村松一希都議)と質問しています。

 公明党は羽田新ルートに「都民の安全・安心に十分な対策を国に求める」(今年3月の都市整備委員会)とするだけ。外環道についても「渋滞解消や防災性の向上、地域の安全性の確保などに資する重要な道路」(昨年11月の環境・建設委員会で野上純子都議)と質問しています。

維新 何でも民営化 都営住宅まで売却

願いに背向ける

 東京維新の会(日本維新の会東京総支部)は都議選マニフェストで「都営住宅は全て民間売却又は民間委託」と書き、都民の願いに背を向けています。

 収入が少ない人のためのセーフティーネットである「都営住宅」は、石原都政以来22年間、新規増設がゼロで応募は高倍率になっており増設こそ求められています。

 維新は公約で「余分な事業は民間に任せてスリム化」と記述し、多くの事業の民営化を掲げています。

 都民の生命にかかわる水道事業も民営化。都営地下鉄や都営バスなどの都営交通も民営化です。民営化すれば、利益が最優先となり、都民の暮らしや権利を守る施策が切り捨てられていく危険があります。

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