2018年1月4日(木)
若者BOX
「未来のための公共」新春座談会
政治は身近 みんなで話そうよ
力をあわせて政治を変えようと、全国各地で世代や立場を超え、さまざまな人が立ちあがっています。昨年に結成され、国会前抗議などを呼びかけた10代・20代中心のグループ、「未来のための公共」(未来公共)もその一つです。メンバー4人に、声をあげるようになった思いや、今年の抱負を語りあってもらいました。(司会は前田智也)
今年やりたいこと
―みなさん、あけましておめでとうございます。さっそくですが、今の政治や社会、安倍政権について感じていること、今年やりたいことも教えてください。
馬場ゆきの 今年は改憲阻止です。日本国憲法のどの条文も大事ですが、戦争をしないと決めた9条はとくに大切だと思っています。年内に改憲発議がねらわれていますが、止めたいです。
奈良みゆき 今の政治のあり方は、安倍政権のための政治になっています。その危険性をみんなに知らせたいです。今あまり政治に関心がない人は、「政治」が生活の外にあるんだと思うんです。私がきっかけになって、その人の生活の中に「政治」があることを感じてもらえたらいいなと思っています。
中山美幸 私の父は、実はあまりデモとかに肯定的ではないんです。ところが、父はいま通信大学に通っていて、そこで憲法についての授業を受けたそうです。「美幸が今の政治に憤ってることは、なにも間違ってなかったんだな」っていってくれました。うれしかった。しっかり伝えられれば、みんな分かってくれると思うんです。今年は、それをどれだけ広げていけるかじゃないかな。
奈良 大学の友人に政治の話をしたら、「そういう話はいや」っていわれました。それでも私、ずっと話し続けたんですよ。そしたらある日、友人が改憲の問題について「これどういうこと?」って聞いてくれて。伝えることは無駄じゃないと実感しています。
浅野恵実里 あと、私は男女平等のことについて発信していきたいな。
中山 わかる。今の政権は、「女性の活躍」とかいってるけど、やろうとしていることは真逆だしね。
奈良 自民党の改憲草案だと、男女の平等や個人の尊厳が謳(うた)われている第24条で、「個人」を否定して「家族」を強調している。ありえない。
中山 女性の権利の向上は、すごく身近な問題なので、そうしたことも切り口にして周りの人と憲法のことや政治のことを話していきたいです。
馬場 未来公共としての具体的なアクションは未定です。それでも、日本の未来にとって大事な年になると思っています。私たちはしっかりと、おかしいと思うことには声をあげ続けていきたいです。
共産党のイメージ
―野党に呼びかけて共同街宣を行うなど、さまざまな行動をしてきました。みなさんは共産党に対するイメージは変わりましたか。
中山 共産党は、ぶれないけど、柔軟だなっていうイメージがあります。
浅野 おじいちゃんがいっぱいいる。
奈良 まじめで堅実、メガネかけた頭いい人がたくさんいるような印象でした。一緒に行動してみると、一人ひとりが問題意識を持っていて、多様性があるし、みんな明るいし、希望があるなと思います。
馬場 私は総選挙のときに、不破哲三さんが胸に“性の多様性”を象徴するレインボーバッジをつけていて「すごい!」と思いました。この間の市民と野党の共闘に対する姿勢も見ているので、応援していきたいです。
声あげるきっかけ
―みなさんが今の政治に対して声をあげるようになったきっかけを教えてください。
馬場 国会前に初めて行ったのは、2017年の2月です。安保法制のときは、政治について自分の意見を発信することに恐れていたし、「きっと可決しない」と思ってもいたので、行動しませんでした。その後悔や、声をあげていた人たちへの尊敬から、次は私が行動する番だと思っていました。
奈良 私は2016年の参院選で、選挙に関わりました。そこで、自分が行動することで、政治や社会のことに関心を持ってくれている人がいて、自分にもできることがあると感じました。それからしばらくは、特に何もしていなかったのですが、自衛隊の南スーダンへの派兵問題が許せなくて。黙っていられない、何かやらなきゃと思いました。
中山 だいたい同じかな。私は、ずっと誰かが行動を呼びかけるのを待っていたけど、それだけじゃよくないなと思うようにもなってきていて。それでも、声をあげるきっかけとして一番大きかったのは、現政権への怒りです。
浅野 私は、高校を卒業するころに先生から「大学生になったらデモに行け」っていわれて、昨年の4月ごろに初めて国会前に行きました。私はシールズのことも知らなかったので、同世代の若い人たちが行動していてすごく驚きました。その場で、みなさんのことを紹介してもらって、未来公共に参加しました。
中山 ということは、安保法制反対のデモには誰も参加してなかったんだっけ?
奈良 私は少しだけ行ってたよ。
馬場 そうだったんだ。未来公共は、いろいろな思いで国会前に集まってきた人たちでつくりました。
野党と力あわせて
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―国会前抗議では、特に「共謀罪」法案(当時)に反対していましたね。
馬場 国会での野党議員の追及にも答えず、国民の反対の声も聞かず、採決ありきでどんどん審議が進められていきました。危険な中身はもちろんですが、プロセスも大問題です。参院法務委員会での採決をしないで、「中間報告」というやりかたで強行したことは今でも忘れられないし、許せません。
奈良 与党は本当にひきょうな手をつかってくるなって、みんな思っていたよね。
中山 「共謀罪は絶対反対」と、ずっと国会議事堂を向いてコールをしていました。ある時、参加しているみなさんの方を振り返ったら、みんながマジ怒っていて。一人ひとりの怒りが伝わってきました。
馬場 未来公共を3月につくってから、すぐに抗議をスタートしました。いま振り返ると、正直、大変だった部分もありました。渋谷で街頭宣伝したときも、みんなで1週間前にやろうと決めて、当日ギリギリまで準備してたり…。
中山 毎日のように、各政党の人と連絡してたよね。
奈良 国会前抗議には、いつも野党の議員さんが参加してくれました。印象的だったのは、議員さんがステージの袖で「一緒に頑張りましょう」と話しあって握手していたことです。本気で政治変えようとしてくれているんだと感じました。
SNOW話題に
―昨年の総選挙では、野党統一候補勝利のために各地で行動していましたね。
馬場 立憲民主党の海江田万里さんが野党統一候補となった東京1区では、市民と野党の政策協定をつくる市民連合の会議に呼ばれました。そこで項目のなかに、ヘイトスピーチ(差別扇動行為)反対を入れてもらいました。「差別デモが多い地域なので、絶対必要です」と。共産党の池内さおりさんや、立憲民主党の菅直人さんの応援スピーチもしました。
―なるほど。選挙中、スマートフォンのカメラアプリ「SNOW」(スノー)で共産党の志位和夫さんや不破さんらと一緒に写真を撮って、SNSに投稿したことが話題になりましたね。
浅野 新宿で共産党の街頭宣伝があったときに写真を撮っていたら、志位さんと吉良よし子さんから「一緒に写真を撮ろうよ」っていわれたのがきっかけです。私が志位さんの雰囲気が猫っぽいなって思ったから、「猫好きですか」って聞いたら「大好きです」っていってくれたので、猫耳つけて撮りました。投稿したらすごい反響があってびっくり。
奈良 あの写真、志位さんお気に入りらしいよ。
中山 写真をみた周りのおとなたちが「まさか撮るとは」「次はこの人と一緒に」って盛りあがっていたよね。
―共産党の公式ツイッターのトップ画像も一時、浅野さんと不破さんのツーショット写真になりました。
浅野 こんなに驚かれるなんて思ってなかったんですよ。私より先に、ゆきのさんや美幸さんがデモの後に池内さんと一緒にスノーで撮ってたので。普通のことだと思っていました。
「未来のための公共」って?
2017年3月 10〜20代を中心に「未来のための公共」結成。17日から国会正門前抗議をスタートし、6月まで継続。「森友」学園問題や労働問題など、さまざまな政治課題で声をあげました。とりわけ、与党などが強行採決した「共謀罪」法案(当時)に強く反対し、廃案を求めて行動しました。
5月 「若者憲法集会実行委員会」と共催で新宿デモを実施。
6月 東京・渋谷で街頭宣伝。「共謀罪」法の強行成立、施行後も廃止へ向けた行動を継続。
9月 他団体とも連携し、総がかり行動実行委員会やグリーンピースなど14団体と「共謀罪廃止のための連絡会」を結成。
10月 総選挙に向け、8日に安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合(市民連合)が東京・新橋で行った大街頭宣伝でスピーチ。選挙中は、各地で野党候補の応援スピーチを行いました。
11月 日本国憲法公布から71年となった3日にステートメントを発表。安倍政権がねらう改憲にふれ、未来公共は現行憲法を支持すると表明し、「立憲主義と平和主義を破壊する勢力に対抗すべく、議会に確かに座し、しかし路上に脚(あし)を運ぶことを決して厭(いと)わない立憲野党と手を取り合っていきます」としています。