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2017年11月29日(水)

主張

診療報酬の改定

安心支える医療を揺るがすな

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 公的医療保険の医療行為や薬の価格である診療報酬の来年4月からの改定をめぐる議論が活発化しています。社会保障費の大幅削減を狙う安倍晋三政権の下で財務省がマイナス改定を主張しているのに対し、医療関係者からは、安心・安全の医療を国民に保障するためにプラス改定を求める声が上がっています。この間、診療報酬が減らされる中、地方でも都市部でも少なくない医療機関が経営困難になり、医療現場に矛盾とゆがみを広げています。患者の窓口負担を軽減することと合わせ、診療報酬のプラス改定に向け国は責任を果たすべきです。

「マイナス」は許されない

 診療報酬の改定は通常2年に1度行われています。総額の改定率は年末の政府予算案編成の過程で決められ、個々の診療や入院、薬などの単価は、厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)の議論を経て来年初めに決定されます。財務相の諮問機関、財政制度等審議会は10月末、2018年度の診療報酬では「2%半ば以上のマイナス改定が必要」とする考えを示しました。前回(16年)のマイナス0・84%を大きく上回る数字です。財政審は今週にも2018年度予算に向けて「建議」をまとめ財務相に提出するとしており、医療関係者から懸念の声が上がっています。

 医療機関の経営を支える診療報酬がどうなるかは、患者が受ける医療の量と質に直接かかわってきます。例えば02〜08年度に強行された診療報酬の大幅なマイナス改定は多くの医療機関を直撃し、閉鎖せざるをえなくなった診療所や病院が相次ぎました。産科医が不足し、出産する場所がなくなるなど「医療崩壊」とまでいわれる事態が引き起こされました。

 その後も、診療報酬の抑制は基本的に続行され、医療現場は依然苦難を抱えたままです。11月初め、厚労省が発表した実態調査(16年度)では、患者が一般的な治療を受けられる病院での利益率はマイナス4・2%と過去3番目の赤字幅となりました。経営が悪化していることは明らかです。マイナス改定の余地などありません。

 マイナス改定への流れが強まる中、個々の診療行為への報酬を決める中医協の議論も、患者に負担と給付減を迫る内容が示されています。看護師配置が他の病床より手厚い「患者7人に看護職員1人」の病床を減らすことを加速しようとしています。紹介状なしで受診した場合、5000円以上の上乗せ額を支払わなければならない病院を広げることも提案しています。医療の安全を揺るがし、国民が安心して医療にかかりやすい条件を掘り崩すことは願いに反します。

削減から拡充に転じて

 国民の健康を守るために公的医療の果たす役割は高まっています。きめ細かな医療を国民に提供できる体制を強化することは病気の早期発見、早期治療にとって重要です。そのことによって重症化を防げば、長期的に医療費の膨張を抑えることができます。国民を医療機関から遠ざけることにつながる制度改悪は、医療保険財政を圧迫する危険な道です。

 診療報酬など社会保障費の「自然増」を毎年無理やり削りこむ安倍政権のやり方に道理はありません。診療報酬のプラス改定を実現することが求められます。


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