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2017年11月23日(木)

憲法ないがしろ政治変えよ

参院本会議 山下副委員長の代表質問

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 森友・加計疑惑、北朝鮮問題、原発、社会保障、働き方改革、改憲…。日本共産党の山下芳生副委員長は22日の参院本会議で、“逃げ”と“居直り”の安倍政権の政治姿勢を真正面からただし、政治の抜本的転換を求めました。安倍晋三首相は、衆院本会議と同じような答弁を繰り返し、国民の声に耳を傾ける姿勢をまったく示しませんでした。


写真

(写真)代表質問に立つ山下芳生副委員長=22日、参院本会議

「森友・加計」

異常な値引き提示

首相責任で究明せよ

 「国政が私物化されたのではないかという重大な疑惑だ」―。山下氏は、森友・加計問題について、安倍首相が「丁寧に説明する」といいながら、所信表明では一言も触れなかったことを厳しく批判。森友学園への国有地払い下げをめぐっては、近畿財務局の職員が「いくらなら買えるのか」と森友学園の籠池泰典理事長(当時)に値引きを提案した事実が音声データで明らかになっていることを示し、「政府の側から値引きを持ちかけたことは異常だ。総理の責任で事実の究明を行うべきだ」と迫りました。

 さらに、山下氏は今年1月に国家戦略特区で加計学園の獣医学部の新設を「認定」した根拠のデタラメさを指摘。今年5月の文科省の大学設置・学校法人審議会が加計学園の計画に(1)新分野の具体的な需要が不明(2)カリキュラムの実現可能性に疑義があると「警告」を発していたことなどをあげ、「(獣医学部新設の)『4条件』についてまともに検証されず、『熟度が高い』どころか設置基準の最低ラインさえ到達していない計画だった」と、安倍首相の責任をただしました。

 しかし、安倍首相は「国会で丁寧な説明を積み重ねてきた」などと強弁。安倍昭恵首相夫人や加計学園の加計孝太郎理事長の国会招致についても、「国会が決めること」と“逃げ”の答弁を繰り返しました。

原発事故

生活・生業の再建 課題山積

再稼働は世論に背く

 山下氏は、2011年に発生した福島第1原発事故からの復興に関して、安倍首相が福島の現状を「帰還困難区域を除き、ほぼすべての避難指示が解除された」などと所信表明で述べたことにふれ「現実は医療・介護をはじめ除染、住宅の整備、雇用など課題が山積みだ」「原発事故は収束していない」と指摘。依然として6万8千人が故郷に帰れない状況の認識をただしました。

 安倍首相は「現状を胸に刻み」「責任を持って(復興に)取り組む」と表明しました。

 山下氏は、安倍政権が自主避難者への住宅提供を3月末で打ち切り、精神的苦痛への賠償を翌年3月末で終了することを批判し「絶対に許されない」と強調。「すべての被害者が生活と生業(なりわい)を再建できるまで、国と東京電力が責任を持つことは当たり前だ」と迫りました。

 山下氏は、政府が全国で約30基もの再稼働を進める方針を示していることにふれ「国民の世論に真っ向から反するものだ」と指摘。「ただちに『原発ゼロ』の政治決断を行い、再稼働を中止、再生可能エネルギーの本格的普及へと道を切り替えるべきだ」と主張しました。安倍首相は「原発ゼロは責任ある政策とは言えない」「再稼働を進めるのが政府の方針」と言い放ちました。

「働き方改革」

5年以内で雇い止め

脱法行為すぐ中止に

 山下氏は、安倍政権が「働き方改革」と称して「残業代ゼロ制度」や月80〜100時間残業の合法化を検討していることを批判。「長時間労働がいっそうはびこることは明らかだ。過労自死した高橋まつりさんの母、幸美さんの『働く人の健康と命を守るために法律改正を』の訴えにどう応えるのか」と迫りました。

 安倍首相は「過労死、過労自殺を二度と繰り返さない強い決意」と述べながら、「働き方改革」法案はそのまま進める考えを示しました。

 雇用期間が5年以上の有期契約労働者が、希望すれば無期契約に転換できる権利が来年4月から生じます。それを前にトヨタやホンダなど大手自動車メーカーは、無期雇用にさせないよう6カ月間の空白期間を設ける契約を結んでいます(図)。山下氏は「“5年たったら無期雇用”でなく、“5年以内で雇い止め”。これでは大量の失業者を生み出すことになる」と批判。国立大でも同様の動きが顕在化しているとして「有期雇用労働者1500万人に関わる重大問題。政府はどのような手だてをとるつもりか。脱法的やり方は今すぐやめるべきだ」と求めました。

 安倍首相は、自動車会社の雇い止めについて「法の趣旨に照らして望ましいものではない」として実態調査を踏まえて必要な対策をとると述べました。

図

安倍改憲

9条2項を空文化

海外派兵歯止めなく

 山下氏は、日本社会の姿かたちを規定する根幹に憲法9条があったとして、5月3日に「9条を変える」と宣言した安倍首相に見解を問いました。

 山下氏は、多大な犠牲者を出した戦争を日本が起こした深い反省から憲法9条が生まれたと指摘。「戦争はしない」「戦力はもたない」と決意した9条には「内外の犠牲者の無念、残された者の平和への願いが刻まれている」と強調しました。

 山下氏は、9条の歴史的な意義について、軍事面では自衛隊の海外派兵を制限する最大の歯止めになり、経済では軍事費を抑制し国民生活を向上させたと指摘。さらに、学術・文化も戦前の軍事優先との決別により、世界の平和と福祉の増進に貢献したとして安倍首相の認識を問いました。

 首相は憲法9条の生い立ちや役割についてはふれず「平和主義の理念を具体化した規定だ」とだけ答えました。

 また山下氏は、安倍首相が狙う憲法9条への自衛隊明記について「9条2項が空文化し歯止めのない海外派兵に道が開ける」と警告し「日本社会の姿かたちが大きく変わる。断じて認めるわけにはいかない」と強調。「今変えるべきは憲法でなく、憲法をないがしろにする政治だ」と迫りました。安倍首相は自衛隊の任務や権限に変更はないとして「指摘はまったく当たらない」と強弁しました。

北朝鮮問題

軍事衝突は日本に戦禍

対話解決への役割を

 山下氏は、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応について、対話による平和的解決に向けた機運が世界で高まる一方、安倍首相が対話を否定し、米国の軍事的対応を含めた選択肢を支持していることは「異常だと言わねばならない」と批判しました。

 山下氏は、米朝両国の軍事的緊張の高まりが戦争を招く恐れがあり、最大の危機だと指摘。秋山昌廣元防衛事務次官が、軍事衝突が起これば日本にも悲惨な戦禍をもたらすと警告(別項)したことにふれ「『対話による平和的解決』をはかることこそ唯一の解決策だ。日本政府が積極的な役割を果たすべきだ」と主張しました。

 山下氏は、米国による先制攻撃への懸念もあるとして「日本にも大きな被害をもたらす。絶対にやるべきでないと米国に提起すべきだ」と求めました。安倍首相は「非核化に向けた対話を拒否しているのは北朝鮮だ」と前日の志位委員長の衆院代表質問への答弁と同様の発言を繰り返し、まともに答えませんでした。

北朝鮮問題についての秋山昌廣氏の発言

 米朝対立のエスカレーションがこのままさらに進めば、それだけ誤解や誤算による偶発的な軍事衝突の可能性が高まるだろう。

 そうなれば、それは第2次朝鮮戦争に発展し、韓国のみならず日本にも悲惨な戦禍をもたらす。(SSDP 安全保障・外国政策研究会ホームページ・秋山通信から抜粋)

社会保障

在宅介護の保険給付外し

認知症の対応に逆行

 安倍首相は2019年に消費税を10%に引き上げ、「全世代型の社会保障」に改革すると繰り返しています。ところが打ち出されている政策は、医療費の窓口負担引き上げ、介護保険の在宅サービスの保険給付外し、子育て世帯の生活保護費削減などです。山下氏は「『全世代』を対象にした社会保障の切り捨てだ。国民をだまし討ちにするにもほどがある」と批判しました。

 山下氏は、認知症の高齢者が462万人、軽度認知障害のある人が400万人と推計されているとして、高齢者の3〜4人に1人は認知症か軽度認知障害だと指摘。「要介護1、2」の在宅サービスの保険給付外しが行われれば、「政府が提唱している『認知症の早期発見、早期対応』に逆行する。保険給付外しは中止すべきだ」と強調しました。社会保障財源としての消費税増税は中止し、「アベノミクスで大もうけした大企業と富裕層に応分の負担を」と求めました。

 安倍首相は「認知症を含め、高齢者の自立支援の観点から引き続き検討する」と述べ、保険給付外しを“自立支援”と言い換えてごまかしました。


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