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2017年11月1日(水)

豊洲追加工事 入札不調

5件中4件 移転影響も

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 東京都は10月30日、築地市場(中央区)の移転先としている豊洲新市場(江東区)の土壌汚染対策の追加工事5件の入札を行いましたが、4件が入札不調になりました。小池百合子知事は2018年9〜10月に市場を移転する方針ですが、入札不調の続出で移転計画に影響が出る可能性が生じています。


 都は追加対策工事9件を予定しています。30日は地下水管理システム3件、地下空間の換気設備2件の入札を実施。地下水管理システムは3件とも予定価格を大幅に超えたことなどから、登録した30社がすべて辞退し、入札不調となりました。落札したのは換気設備工事1件だけでした。

 新市場用地の汚染対策の柱にしている地下水位を下げるために揚水ポンプなどを増設する工事入札は、5街区(青果棟)で鹿島建設など10社、7街区(水産卸売場棟)では大成建設など10社が参加しました。いずれも予定価格の1・7倍から約2倍と大幅に超過し、2回目の入札を辞退しました。6街区(水産仲卸売場棟)は登録企業10社がすべて辞退し、入札不調となりました。

 都財務局は、入札不調に終わった4件は中央卸売市場が予定価格を含む見直しを行い、入札参加希望業者募集からやり直すことになるとし、前例を見れば1カ月以上は遅れる可能性があるとしています。都は18年7月末までに9件の追加対策工事を完了し、同年9〜10月に市場移転を目指しています。しかし、今回やり直しとなった4件を含む8件の工事入札はこれから実施するため、移転計画の見直しを迫られる可能性も浮上しています。

解説 対策自体に疑問の声

 東京都が10月30日に行った、豊洲新市場予定地土壌汚染対策の追加工事入札結果に、都の関係者の間に衝撃が走っています。

 2件の工事入札で、鹿島と大成の応札額は都の予定価格(各4億円台)を3億円以上も超過しました。大手ゼネコン関係者は「もうからない仕事はやらない」と強気です。

 都の幹部は「完成工期が定められているので再入札を急ぐ必要がある。しかし工事費を大幅に増やすことには、世論の目が厳しい」と、記者に語りました。

 豊洲新市場予定地は東京ガス工場跡地で、発がん性物質のベンゼンが環境基準の4万3000倍、シアンが同930倍をはじめ、ヒ素、水銀などの有害物質で高濃度汚染されていました。都はこれまで、汚染を環境基準以下に浄化する「無害化」を都議会と市場業者、都民に約束し、専門家会議の提言をもとに860億円を投じて土壌汚染対策工事を実施しましたが失敗。今年8月の調査では、地下水から環境基準の120倍のベンゼンを検出しました。

 しかし、小池百合子知事は6月に豊洲への移転方針を決め、7月には「無害化」の約束を撤回しました。

 追加対策工事は、専門家会議の提言を受けて、地下水管理システムの機能強化や、盛り土をしていない地下空間の底にコンクリートを敷設し、汚染された空気を外に強制換気するものです。

 30日に開札した地下水管理システム工事は、揚水井戸などを増設するものです。

 都はこれまで、地下水位を海抜1・8メートル以下に下げる目標をたてて、既存システムで地下水の揚水をフル稼働してきました。しかし、効果はなく、30日時点では、地下水位の最高は5・6街区が海抜4・9メートル、7街区では5・3メートルに上昇しています。

 地下水管理システムをはじめ、都の追加対策自体を疑問視する声が広がっています。(岡部裕三)


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