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2017年10月6日(金)

首相が誇る「求人1倍超え」 失政が要因

介護・保育で人手不足「賃金低い 仕事きつい」

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 安倍晋三首相は「正社員の有効求人倍率が初めて1倍を超えた」(8月=1・01倍)と誇ります。しかし有効求人倍率が急激に高まっている介護・保育・医療の3分野を除くと、倍率が1倍を大きく下回ることは確実です。3分野で倍率が高いのは、低賃金・過重労働が従事者の離職と求職者の不足を招いているからです。これは経済政策アベノミクスの果実などではありません。安倍政権の失政が引き起こした社会的危機です。(杉本恒如)


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 正社員の職業別データはまとめられておらず、正確な数字は不明です。職業別に発表されているのは正社員・非正社員を合わせた常用雇用(4カ月以上・パート除外)のデータです。これを見ると、8月の有効求人倍率は1・28倍です。

 同月の常用雇用の求人のうち、介護・保育・医療3分野は約31万人に上り、全体(149万人)の2割を占めます。他方で3分野の求職は11万人しかなく、倍率は2・71倍と異常な高さになっています。このため3分野を除いた場合、常用雇用全体の倍率は0・16ポイントも低下します。3分野を除いた正社員の倍率も同様に下がり、1倍を大幅に下回るのは確実です。

 3分野の常用雇用の有効求人倍率は12年8月には1・68倍でしたが、安倍政権の5年間で2・71倍に跳ね上がりました。人手不足が一気に悪化したのです。特に深刻なのは介護と保育です。求人数が突出して多いのに求職数は少なく、倍率が2・96倍と2・83倍に達しています。(表)

 介護・保育は公的制度であり、従事者確保の責任は政府にあります。高齢者と働く女性が増える一方、介護・保育の労働条件が悪いため、従事者の不足は10年以上前から政治問題となってきました。しかし安倍政権は処遇を十分に改善せず、介護報酬を2・27%も減額するなど逆行する政策をとりました。

 介護職員と保育士の月給は22万円余。全産業平均33万円を約10万円も下回ります(厚労省「賃金構造基本統計調査」)。16年度に介護職員不足を訴えた事業所は63%。その理由は「採用が困難」73%、「離職率が高い」15%などでした。原因は「賃金が低い」57%、「仕事がきつい」50%。12年度と比べて賃金は1万3千円しか上がっていません。(介護労働安定センター「介護労働実態調査」)

 失政による介護・保育制度の危機が、有効求人倍率を押し上げる大きな要因なのです。そもそも10年前と比べた就業者数の増加はもっぱら医療と福祉(介護・保育)が担っています。その他の業種は08年以降の経済危機の影響を回復した程度であり、製造・建設・農林業は大幅に減っています。(グラフ)

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