「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2017年8月27日(日)

在外米軍 過去60年で最少

昨年9月末 日本駐留 国別で最多

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

グラフ:米軍の国別在外兵力(上位10ヵ国)

 米軍の在外兵力が2016年9月末時点で20万人を割り込み、過去60年間で最低を記録しました。米調査機関ピュー・リサーチ・センターが米国防総省の統計資料を集計し、22日に調査結果を公表しました。

 それによると、16年の米陸海空・海兵隊の現役兵士数は約130万人。うち15%に当たる19万3442人が国外に展開中でした。これは統計データが残っている1957年以降で最低の水準です。第2次世界大戦を前後して米国は地球規模の「基地網」をはりめぐらせましたが、縮小傾向が続いていることが明らかになりました。

 駐留先の国別では日本が3万8818人で最多。「思いやり予算」など日本政府による駐留経費負担や基地の自由使用など、米軍にとって“居心地の良さ”が背景にあるとみられます。次いでドイツ(3万4602人)と韓国(2万4189人)が多く、上位3カ国で在外兵力の半数近くを占めています。

 過去60年間で在外兵力が最も多かったのはベトナム戦争時で、68年には54万人近くがベトナムに展開していました。01年から続く米軍の「対テロ」先制攻撃戦争の主戦場であるアフガニスタンでは11年の約8万人、イラクでは07年の約22万人が最多でした。16年時点でアフガンに9023人、イラクに4626人が依然として駐留しています。


海外基地「もはや資産ではない」

基地強化すすめる日本 世界に逆行

 米軍の在外兵力は縮小の一途をたどって20万人を切り、過去60年間で最少となりました。米軍を海外に常駐・展開させる「前方展開戦略」については、米国内でも「もはや時代遅れ」との見方が相次いでいます。

 米誌『フォーリン・アフェアーズ』電子版7月25日付は、「海外基地はもはや戦略的資産ではない」とする米シンクタンク・ケイトー研究所員の論評を掲載。海外基地を合理化する際、頻繁に持ち出される「抑止力」論について、実際には何の効果もないどころか、敵の近くに基地を置くことで「恐怖を呼び起こし、対抗行動を誘発しかねない」として、不必要な紛争を引き起こす要因になる可能性を指摘しています。さらに、日本を含む北東アジアの航空基地の90%以上が中国の弾道ミサイルの射程内にあるとして、海外基地は「優先度の高い標的になりうる」と述べています。

 また、ランド研究所は、軍事技術の進歩により、「軽度の陸上部隊なら、米国からどの地域へも、地域内から空輸するのと同じ早さで空輸できる」と述べ、軍事戦略上も海外に兵力を張り付ける必要性は低下しているとの見方を示しています。

 沖縄県名護市辺野古での米軍新基地をはじめ3兆円規模の税金を投入しての基地強化や、「思いやり予算」など米軍駐留経費の約7割を負担している日本政府は、こうした流れに完全に逆行しています。周辺国の射程圏内にほぼ収まったことで、軍事戦略上もぜい弱性が強まっている在日米軍を、「抑止力」だと信じて、わざわざ引き留めているのです。

 そもそも、ある国が他の主権国家に軍隊を置き続けること自体が異常な主権侵害です。多くの国の国民がそのことに気づき、米軍撤退を求める声が高まったことが、戦後、米軍の海外兵力が縮小していった最大の要因です。日本政府は、これだけの米軍がいることが「異常」だという認識を持つところから出発する必要があります。(竹下岳)


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって