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2017年8月5日(土)

主張

「核のゴミ」

処分場の押し付けに道理なし

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 原発の使用済み燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場について、政府は先月末、国土の約65%が「好ましい」とする「科学的特性マップ」を公表しました。今後、マップを活用した説明会を全国各地で行い、処分場立地に向けた調査を複数の自治体に申し入れたいとしています。

危険な廃棄物生んだ責任

 国と電力会社は、原発利用を推し進め、処理困難な「核のゴミ」を大量に発生させてきました。その責任を棚上げして、処分場を自治体に押しつけようというのです。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分場は2002年から公募してきましたが、住民の反対が強く、受け入れた自治体はありません。

 このため安倍政権は、「科学的有望地」を示して自治体に「申し入れる」など「国が前面にたって取り組む」ことを、エネルギー基本計画(14年)と最終処分基本方針(15年)で決定しました。その第一歩が、「科学的有望地」を示す「科学的特性マップ」(7月28日公表)です。

 高レベル放射性廃棄物は、非常に放射能が強く、原料のウラン鉱石と同程度に下がるまでに数万年もかかります。地下300メートル以深に埋設する「地層処分」を予定していますが、処分場には、万年単位で人間の生活環境から隔離できるような長期の安定性が求められます。

 マップが、火山・活断層の近傍や石油・石炭など鉱物資源がある地域を、地下深部の長期安定性や将来の掘削可能性という観点から「好ましくない」としているのもそのためです。

 しかし、日本列島は四つのプレートがぶつかり合う地殻変動の活発なところです。欧米でも地層処分が想定されていますが、大陸と日本とでは地層の安定性が大きく異なります。見えている火山や活断層さえ避ければよいというのでは、あまりにも安易で無責任です。

 日本学術会議は、地層処分について「万年単位に及ぶ超長期にわたって安定した地層を確認することに対して、現在の科学的知識と技術的能力では限界があることを明確に自覚する必要がある」と警告しています(12年9月)。この警告を真摯(しんし)に受け止めるべきです。

 政府は、最終処分場を決めるのは、核のゴミを「発生させた現世代の責任として将来世代に負担を先送りしない」ためだといいます。しかし、原発を動かせば必ず核のゴミが発生します。再稼働を進めることは、将来世代に負担を押し付けることにほかなりません。

 核のゴミをどうするかは、原発の今後と不可分の問題です。

 学術会議は、原発政策についての社会的合意がないまま最終処分場の選定を進めることは、「手続き的に逆転」しているとし、この問題に対処するには「従来の政策枠組みをいったん白紙に戻す覚悟で見直さなければならない」と指摘しています。

原発ゼロの決断こそ

 国民多数の反対を無視して原発を再稼働させ核のゴミを増やし続けながら、処分場づくりを進めようとしても、国民が納得するはずもありません。

 原発再稼働を直ちに中止し、原発ゼロを決断すべきです。これこそ、福島原発事故を経験した現世代が将来世代のために果たすべき責任です。


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