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2017年7月11日(火)

加計疑惑深まる

政府の否定 根拠なし

閉会中審査 前川氏証言

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 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題についての閉会中審査が10日、衆参両院の文科・内閣連合審査会で開かれました。日本共産党の宮本岳志衆院議員、田村智子参院議員は、首相官邸の関与や選定プロセスの不透明さを追及。参考人として招致された前川喜平・前文部科学事務次官と政府側の答弁がことごとく食い違い、「加計ありき」で、ことが進められた疑いがますます濃厚になりました。


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(写真)答弁する前川喜平氏=10日、衆院文科・内閣連合審査会

総理は「平成30年4月開学」 ■ 官邸は絶対やる

萩生田副長官「間違った文書」

前川氏「ほぼ信ぴょう性ある」

衆院で宮本氏

 宮本氏は昨年10月に萩生田光一官房副長官と文科省幹部の面会を記録した「萩生田副長官ご発言概要」という二つの内部文書をもとに、首相官邸の関与をただしました。

 「10月7日」と日付が入った文書では、「平成30年(2018年)4月は早い。無理だと思う」「農水省などの協力が必要」「私の方で調整しよう」と発言していた萩生田官房副長官が、「10月21日」付文書では「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」「官邸は絶対やると言っている」などと述べていたことが記述されており、同副長官の態度が変わっています。

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(写真)質問する宮本岳志議員

 宮本氏は「この2週間に何があったのか。(安倍晋三)総理や(菅義偉)官房長官からの指示があったのではないか」とただしました。

 萩生田官房副長官は「10月7日夕刻に、常盤(豊・文科省高等教育)局長と会ったのは事実」と答弁。しかし、「10月21日」文書については、「中身について詳しくわからない」などとしながら、「間違った文書」だと弁明しました。

 一方、前川・前次官は「10月7日」文書について「現職中に、職員から説明を受けた際に、私が受け取って目にした資料」と証言。「10月21日」文書については、「現職中に見たものではない」としながら、「ペーパーを見る限り、その内容については、ほぼ信ぴょう性がある」と答えました。宮本氏は「両者の言い分は食い違っている」として、関係者の証人喚問を改めて求めました。

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(写真)答弁する前川喜平氏(奥)=10日、参院文科・内閣連合審査会

内閣府、開学期限切り文科省に迫る

前川氏「総理のご意向を理由」

山本創生相「具体的にはない」

参院で田村氏

 田村氏は、「平成30年4月開学」と期限が切られ、“加計学園ありき”で獣医学部の選定が進められてきた疑いについて、ただしました。

 「平成30年4月開学」という条件が政府から正式に示されたのは昨年11月18日にもかかわらず、昨年9〜10月に作成された文科省の内部文書では「平成30年4月開学」を前提に対応するよう内閣府が文科省に迫っていたことが複数記されています。一方、加計学園が獣医学部新設を目指す今治市も、内閣府に「H30・4月開学予定」と記載したスケジュール表を送付していました。

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(写真)質問する田村智子議員

 田村氏の追及に、前川・前事務次官は「今治の獣医学部の設置は(平成)30年4月が大前提で動かせないということを確認し、その際、『官邸の最高レベル』『総理のご意向』という理由付けがされている」と答弁。一方、山本幸三地方創生担当相は「『(平成)30年4月』と具体的に出していることはない」と従来の答弁を繰り返しました。

 田村氏は、開学時期を切ったことで政府が閣議決定した獣医学部新設の4条件を満たすかどうかの検討も十分されなかったとして、「疑惑はますます深まっている」と指摘しました。

■文科省の前川前事務次官の主な発言

加計ありきでプロセス進んだ

 ・(戦略特区での)穴の開け方、穴を通ってどの主体が規制緩和の恩恵を受けるかという決定プロセスに非常に不公平、不透明な部分がある。

 ・「広域的に獣医学部の存在しない地域に限り」「平成30年度(2018年度)開設」「1校に限り」という条件が次々付され、今治市の加計学園だけ残った。初めから加計学園に決まるようにプロセスが進んだ。

 ・プロセスは内閣府、内閣官房で進んだ。

「萩生田副長官ご発言概要」を目にした

 ・文科省事務次官の在職中、担当課職員から説明を受けた際に目にした文書に間違いない。

 ・(政府は確認できないというが)探せば出てくる。

 ・昨年9月、内閣府から強く、国家戦略特区での獣医学部新設に文科省として同意するよう要請があった。平成30年4月開設が大前提。萩生田官房副長官に調整をしてもらえないかと考えた。(「ご発言概要」は)その相談の経過を示した資料だ。

首相補佐官から「総理に代わって」との発言

 ・9月上旬に官邸4階の和泉洋人首相補佐官の執務室に呼ばれた。国家戦略特区での獣医学部新設について手続きを早く進めるようにとの話だった。「総理は自分の口からは言えないから、私が代わって言うのだ」との発言があった。

先輩が再就職先のために働きかけ

 ・木曽功内閣官房参与(当時)が8月下旬、私の部屋に来た。(旧)文部省の3年先輩。今治での獣医学部新設の手続きを早くという要望だった。(木曽氏は)加計学園理事だから、先輩が再就職先のために働きかけをしていることは分かった。

首相の「2校目、3校目」発言は無理

 ・今治市での獣医学部新設の成果の評価が必要。来年1年生を入れ、卒業まで6年かかる。研究者の養成は6年では足りない。研究者がどのような分野で活躍するか評価するには少なくとも10年内外は必要。いますぐ2校目、3校目は論理的にできない。


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