2017年6月17日(土)
論戦ハイライト
「加計ありき」明白
副長官関与 否定根拠示せず
参院予算委 小池書記局長の追及
16日の参院予算委員会で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐる疑惑を追及した日本共産党の小池晃書記局長。国家戦略特区諮問会議での決定過程に首相官邸が深く関与し、獣医学部を新設するのは初めから加計学園が当然の前提となっていたことが明らかとなりました。
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安倍首相、反省なし
文部科学省は、加計学園の獣医学部新設計画をめぐる再調査の結果、「総理のご意向」などと記された内部文書が存在していたことを認めました。
小池氏は、安倍晋三首相や菅義偉官房長官が「印象操作だ」「怪文書だ」などといって、まともに取り合おうとしなかった点について、「反省はないのか」と追及。しかし、安倍首相は「対応に時間がかかったこと、対応にさまざまな批判があることは真摯(しんし)に受け止めたい」というだけで、反省や謝罪の言葉は一切ありませんでした。
小池氏はさらに、獣医学部新設の条件を定めた国家戦略特区諮問会議の原案に、「広域的に」獣医師系養成大学等の「存在しない地域に限り」という文言が、内閣府の藤原豊審議官によって書き込まれ、「指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田(光一)副長官からあった」と記された内閣府からのメールが文科省の再調査で新たに発見されているとして、次のようにただしました。
小池 萩生田副長官は、この件についていかなる発言もしていないと断言できるか。
萩生田 文書についてやり取りした場に同席したことは一度もない。
質問にまともに答えず、ごまかそうとする萩生田氏。小池氏は、山本幸三地方創生担当相が「メールを出したのは文科省からの出向者だ」「課内でいろいろ飛び交っている話を聞いて(職員が)確認しないまま(メールに)そういうことを書いた」などと主張していることについて「森友問題でも首相夫人付職員が勝手にやったことだと官房長官が言っていたが、今回は職員をスパイよばわりして間違ったメールを勝手に作ったんだと。そんな卑劣な言い逃れが通用すると思うのか」と厳しく批判しました。
小池 国家戦略特区会議とは、何の関係もない萩生田さんの名前が、なぜ課内で飛び交うのか。
山本地方創生相 必要な時には適宜(萩生田)副長官にも報告している。
萩生田氏の関与を否定する根拠を何一つ示せない政府側の答弁に対し、小池氏は「首相官邸の意向が働いたと国民が疑念を持って当然だ」と指摘しました。
スケジュール 今治市が前提
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今回、文科省が発表した文書のなかには、小池氏が5月22日の参院決算委員会で示した「今後のスケジュール」という内部文書があります。
国家戦略特区諮問会議で52年ぶりに獣医学部新設が決まったのは昨年の11月9日のことです。しかし、文科省が、諮問会議で決める前の9月ころに作成した同文書は、加計学園が獣医学部新設を計画している今治市で2018年4月の開学に向けたスケジュールを詳細に記しています。
小池 諮問会議の決定前から、獣医学部の新設は今治だという前提で検討を進めていたということだ。
松野博一文科相 新設の検討が進んでいる区域は今治市のみと承知していた。そのため、今治市に関して一定のシミュレーションをおこなった。
小池 今治しか想定していなかったことをはっきり認めた。今治ありき、加計ありきじゃないと言ったけど、そうではなかった。
小池氏は、内閣府が文科省に「平成30年4月の開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」と伝えた文書の内容を示し、「結局、内閣府に言われたとおりのスケジュールをつくったということだ」と厳しく追及しました。
小池 総理は、岩盤規制に穴を開けたと言うが、加計学園に合わせた穴をあけたのではないかという国民の疑念に納得のいく説明ができるのか。
地方創生相 前川さん(文科省前事務次官)は(行政が)ゆがめられたなんて言っているが逆だ。本当にそうだったら抵抗して、その証拠を示さなきゃいけなかったがやらなかった。
小池 そこまで言うんだったら前川さんを呼ぶべきだ。前川さんを攻撃するのなら自民党、公明党はなんで証人喚問に反対するんだ。
小池氏は「国民の大多数が納得できないと言っている。(証人喚問は)国会がお決めになることと言う文句では通用しない。総理のイニシアチブで決めるべきだ」と強調。安倍首相は「私は諮問会議の議長ではありますが、具体的なことは山本さんがお決めになっている。(国会のことは)国会で決めていただきたい」などと答弁しました。小池氏は「共謀罪は、勝手に自分で決めるくせに、こういう問題は自分で決めようとしない。あまりに無責任だ」と批判し、閉会中の集中審議を求めました。
質問に反響
「徹底追及して」 「選挙で勝とう」
日本共産党の小池晃書記局長が16日の参院予算委員会で「加計学園」疑惑を追及した質問に対し、「鋭い質問で大変良かった。引き続き、徹底追及してほしい」(東京都板橋区の男性)などの反響が寄せられています。
大阪府の男性は「加計学園も森友学園の疑惑も、うやむやにしてほしくない。これからも追及してください」と激励。岐阜県の男性は「安倍首相や大臣は、国民のことを本当にバカにしている。野党が選挙で勝つしかない」と述べ、共産党への期待を込めました。
「国会中継を見ていたが、ひどいどころじゃない。東京都議選に勝つため、知り合いに声をかけています」(埼玉県の男性)との声も寄せられました。