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2017年4月22日(土)

主張

政権のモラル崩壊

自ら責任をとらぬ首相が拍車

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 文化財をめぐって「一番のがんは学芸員だ」と学芸員を傷つけた山本幸三地方創生相や沖縄県うるま市長選の候補者を「詐欺」呼ばわりした古屋圭司自民党選対委員長、女性問題で議員の資格が取りざたされる中川俊直経済産業政務官など、安倍晋三政権の閣僚や与党幹部らの暴言や失言、失態が後を絶ちません。「モラル崩壊」は政権の末期症状ともいうべき「たるみ」や「おごり」の表れでもありますが、根本的には、政権の責任者である安倍首相自身が「森友学園」問題で疑惑解明の責任を果たしていないことと無縁ではありません。首相の姿勢は重大です。

暴言、失言の異常な連続

 連日のように新聞やテレビをにぎわす、閣僚や与党幹部の暴言・失言や失態に、国民は眉をひそめ、怒りをつのらせています。

 安倍政権がいまの体制になってからだけでも、環太平洋連携協定(TPP)の承認案をめぐり「強行採決」をけしかけた山本有二農水相、米軍新基地に反対する沖縄県民を「土人」扱いした鶴保庸介沖縄北方担当相、南スーダンに派遣された自衛隊の「日報」などで国会を欺く答弁を重ねた稲田朋美防衛相など、問題になった閣僚は枚挙にいとまがありません。

 つい先日は今村雅弘復興相が東京電力福島原発事故による「自主避難者」を「本人の判断」と発言して、謝罪と発言の一部撤回に追い込まれました。後半国会の焦点となっている「共謀罪」法案をめぐっても金田勝年法相がまともに答弁できず、法案提出前には質問しないよう文書を配ったうえ、審議が始まると官僚答弁に全面的に頼る醜態ぶりをさらしています。

 鶴保氏や、沖縄の市長候補を「詐欺」呼ばわりした古屋自民党選対委員長は開き直っています。台風被災地の視察で長靴をはかず背負われたことを批判され「長靴業界はもうけただろう」と発言した務台俊介内閣府政務官と女性問題が報道された中川氏は政務官を辞任しました。しかし、閣僚では、謝罪や撤回をしても、自ら責任を取って辞めた例はありません。

 暴言や失言、失態を重ねるのは、閣僚などとしての資質が根本的に欠けることを示すものです。山本地方創生相が事実さえわきまえず、「がんは学芸員だ」などと発言したのは、美術館や博物館の関係者だけでなく、がん患者と家族からも批判の声が上がっています。

 閣僚や政務官、自民党役員らの任命責任は首相にあります。閣僚の発言が問題になると首相や官房長官が形ばかり「注意」して見せますが、もともと資質に欠ける人物を任命した責任は免れません。

まず隗より始めよ

 一連の問題が閣僚などの「たるみ」などで済まされないのは、首相自身が任命責任者としての役割を果たさず、それどころか「森友」問題では自らや妻の昭恵氏の疑惑解明に乗り出さず、政府・与党の無責任なふるまいに拍車をかけているからです。国有地を格安で払い下げ、政治家の関与があったのではないかという疑惑をめぐり、首相自身が調査を求めるどころか、首相夫妻は関与していないようにいって疑惑追及の抑え込みに懸命になるようでは、国民に責任を果たす政治も、政権への信頼回復も実現しません。

 隗(かい)より始めよ―首相はまず自らの疑惑を解明すべきです。


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