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2016年12月25日(日)

南スーダン制裁 日本棄権

国連安保理 決議は廃案

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 【ワシントン=遠藤誠二】国連安全保障理事会は23日、南スーダンへの武器輸出の禁止や内戦当事者の資産凍結などを定めた制裁決議案を採決しましたが、日本を含む中国、エジプトなどの棄権により採択されず、決議は廃案になりました。日本は現地の平和維持活動(PKO)に陸上自衛隊を派遣しているものの、政府軍、反政府軍の衝突などにより混乱した状況を解決する措置に背をむけた形です。

 米国主導で提案された決議案は、理事国15カ国のうち、米英仏など7カ国が賛成。対して、日本、中国など8カ国が棄権に回りました。採決には9カ国の賛成が必要でした。

 採決後、米国のパワー国連大使は、「棄権した国々の決定にたいして歴史は厳しい判断を下すだろう」と強い口調で批判。今後、決議案を再提案する考えを示しました。

 一方、日本の別所浩郎国連大使は、「より大規模な暴力を防ぐために、こうしたこと(国民対話)を具体的行動に移していくことが必要」と話しました。


解説

不可解な日本の行動に米批判

国連安保理での南スーダン制裁決議は日本の棄権などにより葬りさられました。日本は同国の首都ジュバに、国連平和維持活動(PKO)部隊として陸上自衛隊を派遣。同部隊へは、昨年秋に強行成立された安保法(戦争法)に基づき、「駆け付け警護」の任務が付与されています。

 2011年にスーダンから分離し独立した南スーダンは、キール大統領派とマシャール副大統領派による対立が深刻化し、今年7月には両派がジュバで衝突。民間人に多数の死者が出て、女性に対する集団的な暴行が発生しました。

 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は11月14日、ジュバの治安は不安定であるとした報告書を公表。今月19日には、「行動を起こさなければ、南スーダンは大量虐殺に向かう」と警鐘を鳴らし、武器禁輸を含む対策を講じることを安保理に求めていました。

 米国を拠点に活動する民間の監視団体「ザ・セントリー」は9月、キール派、マシャール派とも、国庫の金に手を付けるなど不正に資金を稼いでおり、それによって得た資金で武器購入をしていると告発。資産凍結など経済制裁を科すべきだと訴えました。

 今回の決議案は、武器輸出禁止とともに、内政当事者の資産凍結措置も含まれ、これら要請にこたえたものでした。

 日本の岡村善文国連次席大使は、今回の決議案について「生産的でない」と指摘しました。かつてのルワンダのように大量虐殺の危険性がある混乱した国家で、武器禁輸や不正を働く当事者の資産凍結が生産的でないなら、一体なにが生産的なのか。

 パワー米国連大使はこうした不可解な日本の行動について「平和維持部隊の安全の維持のため武器禁輸を支持しないという考えは、かなり疑問が生じる論理だ」(19日)と痛烈に批判しています。

(ワシントン=遠藤誠二)


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