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2016年12月4日(日)

年金カット法案

田村智子議員の代表質問

参院本会議

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 日本共産党の田村智子議員が2日の参院本会議で行った年金カット法案に対する代表質問(要旨)は次の通りです。

 安倍晋三総理は「将来の年金水準を確保する法案だ」と繰り返してきましたが、世論調査をみても本法案への反対は5〜6割にも上っています。

 基礎年金・国民年金のみの人の平均受給額は月5万円にすぎません。女性は厚生年金でも平均月額10万2000円にとどまり、年金収入が年100万円未満は6割を超えます。

 「下流老人」「老後破産」という言葉が現役世代にも「明日はわが身」と受け止められるほど、高齢世代の貧困は社会問題となっています。年金では医療費や介護の利用料をまかなえない下で、年金削減は高齢者の家族の生活にも悪影響を与えます。

 年金給付は多くの道府県で県民所得の1割以上を占め、高齢者の個人消費が落ち込めば景気低迷をもたらし、賃金の低下で保険料収入にも影響を与える。こうした悪循環の引き金にもなりかねません。

 本法案は「賃金マイナス・スライド」というべき新たな年金削減の仕組みを導入します。物価と賃金がともにマイナスで、賃金の下げ幅の方が大きい場合は、賃金に合わせて年金を下げる。物価が上がっても賃金がマイナスの場合、年金はマイナスとなる。ひたすら低い方に合わせるもので、直近10年間に当てはめると、現在の年金より3%以上、給付水準が引き下がります。

 政府は「年金カット法案ではない」と強弁していますが、賃金が下がる局面では、現在のルールより年金支給額を引き下げることになります。

 政府・与党は「将来の年金水準を確保する」と、現役世代にプラスであるかのような宣伝をしています。ところが総理は「2014年の財政検証での見通し以上に上昇させるものではありません」と答弁しました。ルール改定によって引き下げられた年金が次世代に引き渡され、現役世代にとってもマイナスにしかなりません。

 本法案では「マクロ経済スライド」で削り残しが出た場合、翌年度以降に繰り越し、物価が上がった時にまとめて年金を抑制する「キャリーオーバー」も導入します。消費税増税などで物価が上昇したときに「キャリーオーバー」分をまとめて発動させることで、どんなに物価が上がっても年金は実質減額になります。

 本法案では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に経営委員会を設立するとしていますが、任免権は厚労大臣にあり、年金運用の方針を時の政権が左右する仕組みが温存されるのではありませんか。

 年金水準の切り下げで年金財源を確保するというのは、高齢者の尊厳を踏みにじる、政治の貧困の表れです。

 「応能負担」原則による大企業・大資産家への課税強化で財源を確保し国庫負担を引き上げる、高額所得者の保険料負担を引き上げる、こうした格差の是正によって、安心できる年金制度への転換を図るべきです。


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