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2016年10月18日(火)

米議会のTPP承認阻止へ

「民主主義にとって間違い」

労組・企業団体など徹底抗戦

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(写真)米議会前でTPP批准反対を訴える市民ら=9月7日、ワシントン(島田峰隆撮影)

 来月8日の大統領・連邦議会選を控え、オバマ米政権は選挙後から来年1月の新政権・議会発足までのレームダック(死に体)期間で環太平洋連携協定(TPP)の議会承認を企てています。それを期待し、日本の安倍政権はTPPの国会審議を開始しました。しかし米国内ではTPPに反対し、承認阻止に向けた国民的運動がますます強まっています。(ワシントン=島田峰隆、洞口昇幸)


 「金融や政治の支配層は、われわれの力を過小評価している。だから私は約束する。もし大統領選後にTPP承認という、あしき動きが浮上してきたら、われわれはそれを完全に阻止するだろう」

 米最大の労働組合全国組織、労働総同盟産別会議(AFL・CIO)のトラムカ議長は6日、ネバダ州ラスベガスで演説し、議会承認に徹底抗戦する構えを示しました。

 5日には、勤労世帯の利益を代表する超党派の組織「繁栄する米連合」(CPA)と、全米20万以上の経営者や投資家などが加盟する「米企業評議会」(ASBC)が共同で米議会指導部に文書を提出。レームダック期間にTPP承認の採決を実施しないよう求めました。

 文書は、大統領選で民主・共和両党の候補がTPPに反対し、落選・引退する議員も含まれる同期間の採決は「有権者への説明責任がない」と指摘。新政権の下で新たな貿易政策を検討すべきだと述べています。

 ASBCのデビッド・レビン議長は「われわれは貿易促進の立場だがTPPは支持しない」と発言。CPAのマイケル・ストゥーモ会長は、食品の安全や金融、経済紛争の解決に関する他国・自国の国内政策などがTPPに支配されると指摘。「TPPは民主主義にとって間違った方法だ」と語りました。

 自然保護団体シエラクラブも5日、TPPと米欧版TPPと言われる環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)が承認されると、全米400カ所以上で行われている世界的な石油開発会社などによる化石燃料の採掘事業が「保護」され、温暖化対策を阻むと警告しました。

 ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授など223の経済・法学者らは9月7日、連名で連邦議会議員にTPPに反対するよう求める文書を提出し、TPPの中身について「最大限の失望」を表明。特に企業が国を提訴できる投資家対国家紛争解決(ISDS)条項の危険性を記しています。

 こうした反対の声を背景に、議会の多数を占める野党共和党のライアン下院議長や同党上院のトップ、マコネル院内総務は9月下旬、「賛成票が足りない」(ライアン氏)「今年中に採決しても否決される」(マコネル氏)との考えを示しています。

 TPPに反対する米市民の運動体「民主主義のための同盟」は、「選挙後、オバマ大統領とその側近ら、大企業のロビイストは、(議員に)圧力をかけてTPP承認の賛成票を投じさせるため、議会場に押し寄せるだろう」と訴え、各議員への働きかけや、11月12日から予定される首都ワシントンの行動に参加するよう呼び掛けています。


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