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2016年8月26日(金)

リニア新幹線に財投1兆5000億円

JR自己調達ほご 国民にツケ

第2次補正予算案

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 安倍晋三政権が24日閣議決定した2016年度第2次補正予算案に、「未来への投資を実現する経済対策」(2日閣議決定)の目玉として掲げるリニア中央新幹線の大阪への延伸工事前倒しのための財政投融資1兆5000億円が含まれています。(川田博子)


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(写真)目前を試験走行するリニアモーターカーを見学する人たち=山梨県都留市、6月15日

 リニア中央新幹線は、東京―名古屋―大阪を結ぶ巨大開発事業です。政府は、事業費全額を自己負担で建設するとしたJR東海を事業主体に指名し、建設を進めさせてきました。JR東海は、少なくとも9兆円とされる高額の建設費を自己調達するため、27年に東京・品川―名古屋間を開業した後、8年間営業して債務額を削減。35年に名古屋から大阪への延伸工事を始め、45年に全線開業するとしてきました。

経済効果なし

 しかし、安倍政権は6月、リニア中央新幹線の名古屋―大阪間の開業期限を早めるために、低利の財政投融資を活用してJR東海に建設資金を貸し付けると表明しました。規模は3兆円。国債の一種である財投債を発行し、有利な利子の分、大阪への延伸工事を最大8年前倒しできるとしています。JR東海の自己資金での建設を方向転換し、政府が公的資金をJR東海に投入するものです。しかし、名古屋―大阪間はルートさえ定まっておらず、工事が始まるのは11年後です。今すぐ景気対策の効果はなく、結局、公的資金投入による国民負担増のリスクが増えるだけです。

環境破壊深刻

 東京、山梨などですでに着工されているリニア中央新幹線は、東京―名古屋間の86%がトンネルで、活断層がいくつもあります。大深度地下での工事、南アルプス山岳地を貫くトンネル掘削など難工事が予想され、建設費が膨れ上がることが必至とみられています。

 建設工事がかつてない環境破壊を広範囲に引き起こすことが、環境影響評価手続きの中で明らかになっています。トンネル掘削が生み出す残土や地下水脈破断による水枯れ、大量の工事車両が起こす騒音や大気汚染など、生態系や自然、生活環境の破壊が懸念されています。

 国土交通省の工事実施計画認可の取り消しを求め、区間沿線1都6県の738人が東京地裁に提訴しており、9月23日に第1回口頭弁論が開かれる予定です。

 国交省による工事認可は、JR東海の自己負担が前提でした。財政投融資の投入は公的資金を入れないという前提をほごにするものです。整備計画や工事認可決定を撤回し、国会での審議や国民的議論をやり直す必要があります。31日には、民進党、日本共産党など超党派の国会議員がつくる「公共事業チェック議員の会」が、山梨県内建設予定地の視察を行います。


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