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2016年7月24日(日)

オスプレイ 墜落よぶ重大欠陥

未解決のまま東京・沖縄配備

エンジン・フィルターに問題

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 米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイと、米空軍のCV22オスプレイのエンジンへの異物吸入を防止するためのフィルター(ろ過装置)に重大な欠陥があることを米軍当局が認識していながら、日本国内での運用・配備を進めていることが分かりました。

 米テキサス大学アーリントン校の研究者が昨年4月27日にまとめ、米海軍航空システム司令部(NAVAIR)の承認を得て同年5月に公表した報告書によると、「現在の機体のフィルターは砂やほこりなど大きな粒子を除去できるが、小さな粒子は通過してしまう」と指摘。改良されたフィルターを取り付けて飛行実験を行ったところ、効果があったと述べています。

 昨年5月17日にハワイでMV22が墜落、乗組員2人が死亡した事件に関して、米軍事専門誌などはエンジン・フィルターに金属などが混入して失速したことが原因だと報道。米海兵隊が昨年11月23日に公表した事故の調査概要では、「人為的ミス」だと結論づける一方、「エンジン・フィルター・システムの改良」を提言しています。

 これを受けてNAVAIRは今年5月、新たなエンジン・フィルターの風洞実験を来年7月に行う方針を表明しました。しかし、実用化のめどは明らかにしていません。本紙はNAVAIRと米海兵隊に問い合わせましたが、現時点で回答は得られていません。

 MV22は普天間基地(沖縄県宜野湾市)に24機が配備されており、CV22は横田基地(東京都福生市など)に来年秋以降、10機が配備されます。陸上自衛隊も17機の導入を狙っています。いずれもベル・ボーイング社製の同じ機体です。


フィルター改良間に合わず

エンジン不良に直結

 垂直離着陸機オスプレイは機体の構造上、離着陸時に強い下降気流を発生させ、地面の砂じんなどの粒子を大量に巻き上げ、エンジン内に吸い込んで燃焼不良を起こし、失速するリスクを抱えています。

 2010年4月8日にアフガニスタンでCV22が墜落した事故では、エンジン・フィルターに不具合が発生していたことが米空軍の事故調査報告書に記されています。昨年5月にハワイで発生した墜落事故でも、パイロットが視界不良の中で着陸を試みようとしたところ、エンジン内に鉱物を吸い込んだことが報じられています。

 今年4月に発生した熊本地震で、米海兵隊は沖縄・普天間基地所属のMV22オスプレイを熊本県南阿蘇村に投入。同村の白水運動公園で離着陸を繰り返していましたが、その際も砂じんを巻きあげる映像に加え、自衛隊が着陸前に散水を行う姿が報じられました。砂じんを抑えるためとみられます。

 米海兵隊は当面は視界不良の状態で長い時間をかけて着陸を試みないよう規則を改定してリスクを低減する方針ですが、フィルターの欠陥を残したまま日本国内での飛行を続けることになります。

 さらに、来年10月以降に横田に配備されるCV22も、現時点で改良のめどはありません。加えて、自衛隊は19年度からオスプレイを導入する予定ですが、フィルターの改良が間に合っていない場合の対応が問われることになります。(竹下岳)


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