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2016年7月6日(水)

過激組織IS2年

政治戦略のない米国

軍事作戦がテロを増長

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 オバマ米政権は、有志連合の軍事作戦がこの2年間に過激組織ISを追い詰めてきたと強調します。イラクとシリアではISの支配地域が縮小しつつあると伝えられます。しかし明確な政治戦略抜きの軍事作戦は逆にテロ組織を強め、欧米でのテロを増長しているという指摘も出ています。

 オバマ大統領は6月14日、「ISを壊滅する作戦は顕著に前進している」と発言。地上からの攻勢や空爆の成果として▽IS指導者120人以上を殺害▽ISがイラクで支配していた領域の半分近くを奪還▽外国人戦闘員の流入が減少―などを強調しました。

地球規模に

 しかし昨年11月のパリ同時テロ、今年3月のブリュッセルでの連続テロなどISの蛮行は止まりません。米南部フロリダ州で6月に起きた銃乱射事件の犯人はISに傾倒していたとされ、米当局が調査中です。

 米中央情報局(CIA)のブレナン長官は6月16日、上院公聴会で「われわれの取り組みはISのテロ能力と世界的な広がりを弱めていない。ISは地球規模でテロを強めるだろう」と語り、作戦の行き詰まりを認めました。

 国連は5月末に出した報告書で「ISの弱体化は戦略的なものとなっておらず、元に戻る可能性もある」「ISは新しい段階に入りつつある。民間人を標的にした、入念に準備され、指示された攻撃が世界でより頻繁に起こる危険が増している」としました。

対立あおる

 米軍の支援のもと、イラク中部ファルージャなどイスラム教スンニ派が多い都市に対する軍事作戦がイラク政府軍や民兵などシーア派主導で行われています。ロンドンの王立国際問題研究所の専門家、ハッサン・ハッサン氏は米誌『フォーリン・ポリシー』で、こうした作戦が宗派間対立をあおり、反発するスンニ派住民がISを支持するなどしていると指摘。「米国の戦争がISを強化している」「軍事的な前進に政治的な方針を追い付かせるべきだ」と強調しました。

 IS指導者を標的にした殺害作戦にも疑問が出ています。米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は6月11日、「戦場で指導者を殺害すると敵はその任務に別の人物を充てる。代役は常に存在し、結局、戦争は続く」という米空軍幹部の発言を紹介しました。

(ワシントン=島田峰隆)


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