2016年6月21日(火)
主張
沖縄県民大会
県民の怒りで「壁」突き崩そう
「怒りは限界を超えた」「海兵隊は撤退を」―元米海兵隊員の軍属による女性暴行・殺人事件を受けて19日沖縄県で開かれた「被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」。炎天下、主催者の予想を上回る約6万5千人が参加し、未来ある命を奪われた20歳の女性を追悼し、日米両政府に改めて謝罪と完全補償を求め、二度と悲劇を繰り返させないため米海兵隊の撤退を迫りました。基地あるが故に絶えまなく引き起こされる米兵による事件や事故に「県民の怒りと悲しみは限界を超え」(大会決議)ています。安倍政権は県民の意思に真剣に応えるべきです。
命守れなかった悲しみ
「無念は計り知れない。次の被害者を出さないためにも全基地撤去、辺野古新基地反対」とメッセージを寄せた被害者の父親。「同世代の女性が命を奪われる。私だったかもしれない。もう絶対に繰り返さない」と涙ながらに決意を語った若い女性。喪服姿も多い異例な集会は、命を守りきれなかった悲しみをもう繰り返させないという決意に包まれました。
沖縄には、日本の国土の約0・6%しかないのに、在日米軍の専用基地が面積で約74%も集中しています。戦後70年を超え、沖縄が日本に復帰してからでも40年以上たつのに、なお基地あるが故の事件・事故が繰り返される背景にはこうした異常な実態があります。
県民大会であいさつした翁長雄志知事は、21年前の少女暴行事件にも触れながら、「政治の仕組みを変えることができなかったことは政治家としての痛恨の極み」と語り、沖縄に基地を押し付けてきた日米両政府の「壁」を突き崩す決意を表明しました。
県民大会の決議は、日米両政府は事件事故が起きるたび、「綱紀粛正」「再発防止」を徹底すると釈明してきたが実行されたためしはないとし、「もはや『基地をなくすべきだ』との県民の怒りの声はおさまらない」と強調します。
現在、沖縄に駐留する米軍の主力は、海兵隊です。沖縄の海兵隊は、「第3海兵遠征軍」という名称が示すように、海外侵攻=“殴り込み”専門部隊であり、「日本防衛」の任務を持っていません。実戦のために激しい訓練を繰り返す海兵隊は、沖縄での米軍犯罪の温床です。大会決議が「県民の人権といのちを守るためには、米軍基地の大幅な整理、縮小、なかでも海兵隊の撤退は急務である」と強調したのはあまりにも当然です。
今回の悲惨な女性殺害・遺体遺棄事件に対しても、安倍首相はアメリカのオバマ大統領との会談でも米軍基地の撤去を求めるどころか、在日米軍の特権的な地位を定めた地位協定の見直しにさえ言及していません。名護市辺野古での米軍の新基地建設をあくまで進める態度です。県民・国民の世論で日米両政府の「壁」を突き崩していくことがいよいよ重要です。
23日は沖縄「慰霊の日」
沖縄は23日に第2次大戦末期の沖縄戦で日本軍の組織的な抵抗が終わった日とされる「慰霊の日」を迎えます。沖縄の米軍基地は沖縄戦とその後、米軍が県民から土地を奪って建設したものです。
沖縄戦で県民の4人に1人が犠牲になった沖縄にこれ以上の基地負担押し付けは許されません。海兵隊を撤退させ、「基地のない平和な沖縄」を目指すのが急務です。