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2016年6月9日(木)

土日どちらか休養日に

子どもの自治にもとづく教育を

中高部活動の指針

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写真

(写真)中学校サッカー部の練習試合風景

 中高の部活動の休養日に関する文部科学省のガイドラインづくりは約20年ぶり。1996年の調査研究報告で▽中学校で週2日以上の休養日を設定▽平日は長くても2、3時間程度以内に―などを提案して以来のことです。

 各地の教育委員会も「週1日は休日に」などの指針を示していますが、現場の対応はまちまちで負担は解消されていません。

 全日本教職員組合(全教)の勤務実態調査(2012年)では、部活動顧問の教員の40・8%が月100時間以上も残業していました。(グラフ1)

長時間労働招く

図

 なかでも、部活動の顧問を断りにくい青年教職員は過酷です。全教青年部の実態調査アンケート(11〜12年)では、約4割の顧問が土日とも活動していました。青年部は文科省交渉を繰り返し、部活動が長時間労働を招く最大の要因だとして改善を求めてきました。

 国際調査(13年)でも中学教員の部活動(課外活動)の指導時間は日本が最長で、参加国平均の3倍以上でした。(グラフ2)

 部活動は学校の教育活動の一環として学習指導要領に位置付けられていますが、教育課程外のため参加を強いるものではありません。ところが、全員入部を強制する学校があるなど生徒の選択の自由が脅かされています。

関係者の意見を

 勝利至上主義に陥った部活動はときに教員による体罰をまねき、過度な練習が成長期の子どもに与える影響も懸念されてきました。

図

 「学校や部活によって二極化していると思う」。息子が中・高とサッカー部に所属していた東京都在住の母親(49)は言います。中学時代は月曜が休み、土日も公式戦直前以外はどちらかは休み。朝練がなく練習時間も適度で「けがもなく楽しめたようだ」と振り返ります。一方で、練習試合で他校の顧問が理不尽に怒鳴る姿を見かけ、「顧問の姿勢でもだいぶ違う。だれもが心からスポーツを楽しめるようにしてほしい」と願っています。

 全教の中村尚史教文局長は「子どもたちの要求に基づく運営が本来の姿です。それなのに競技者育成という役割まで担わせられるなど、矛盾が大きくなった」と話します。

 そのうえで「少なくとも土日のどちらかは完全な休養日にするなど、実効性のあるガイドラインが必要です」と語りました。

 ガイドラインづくりの過程については、教職員組合やスポーツ医科学の専門家、子どもの発達にかかわる研究者など「関係者の意見を十分に聞いて合意づくりをしてほしい」と訴えます。全教も部活動のあり方について議論を始める予定です。

 運動部活動の研究者である神谷拓さんも、今回のとりくみはおおむね妥当としながらも、「過去の同様の施策がなぜ実行に移されなかったのか、検討が欠かせない」と言います。

 対外試合や内申書、競技成績の評価など、子どもや教師を活動に駆り立ててきた要因や制度を直視すべきだと強調。「同時に“ゆとり”をもって指導できるような、子どもの自治にもとづく教育内容がセットで示されないと、ガイドラインが実効性のあるものにならない可能性がある」としています。

(堤由紀子)


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