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2016年5月30日(月)

主張

経済失政の責任

世界経済持ち出しても消えぬ

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 安倍晋三首相が、27日閉幕した伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)で世界経済の不安に対処するため財政政策を含む対策の強化が合意されたとして、来年4月からの消費税増税を延期する方針を麻生太郎財務相らに伝えました。世界経済を持ち出すまでもなく、日本経済と国民の暮らしを見れば消費税増税は中止以外ないことは明らかです。首相が「リーマン・ショック前に似ている」などと大げさな表現で世界経済の不安を持ち出しているのは、自らの経済運営の失敗の責任を転嫁し、当面する参院選挙などを乗り切ろうという党略的な発想です。

危機的なのは国民生活

 安倍首相はサミット閉幕後の記者会見で、サミットでは株価の下落や新興国経済の「陰り」など世界経済の不安が話し合われたとして、対応を誤れば「危機」に陥る、サミット参加国が協調して金融・財政・構造の「3本の矢」を放っていかなければならないと強調しました。安倍首相はそのため日本としても、消費税増税延期の是非について検討し参院選前に明らかにするとしています。

 来年4月からの消費税増税が問題になっているのは、3年余りにわたった安倍政権の経済政策「アベノミクス」では日本経済の再生や国民の暮らしが良くなる見通しが立たず、なにより一昨年4月の消費税増税の悪影響が残って消費が冷え込んでしまっているからです。安倍首相は「アベノミクス」の破綻を認めず、サミットで世界経済への不安が話し合われその対策が求められたからといって消費税の増税延期に踏み切る魂胆ですが、それこそ責任回避というしかありません。

 安倍首相は一昨年4月と来年4月の、合わせて5%も消費税率を引き上げる増税を推進し、「リーマン・ショックあるいは大震災のような状況が起きない限り、増税は予定通り実施する」と再三発言してきました。サミットでの合意を使って、世界経済が不安だからと増税延期を合理化するのは、全くのつじつま合わせです。

 だいたいサミットの経済討議で「リーマン・ショック前に似ている」と突然言い出した安倍首相の発言は、参加した首脳からも異論が出たといわれるように、議論が尽くされたものでも、国際的に通用するものでもありません。サミットの首脳宣言でも「世界経済の回復は続いている」としており、首脳からは「危機」という表現に反対が相次いだほどです。

 「アベノミクス」の成果が上がらず、安倍政権が消費税の税率を引き上げたため消費が急速に冷え込んでいる日本経済は、国内総生産(GDP)で見ても個人消費が2014、15年度と2年連続で落ち込むかつてない異例な事態です。まさに世界経済の足を引っ張っているのは安倍政権の失政であり、首相の責任転嫁は通用しません。

政権担当の資格がない

 自らの経済運営の破綻の責任を認めず、世界経済に責任を転嫁して、消費税の増税延期を正当化し、それで参院選を乗り切ろうとするなど、安倍首相には国民の暮らしに責任を持つ政権担当者としての自覚も真剣さも見られません。

 消費税の増税を中止するだけでなく、安倍首相は自らの失政を認め、政権を担当してきた者としての責任を明確にすべきです。


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