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2016年4月12日(火)

第5回中央委員会総会

志位委員長の幹部会報告

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 志位和夫委員長が10日、第5回中央委員会総会でおこなった幹部会報告は次のとおりです。


 みなさん、おはようございます。インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも、心からのあいさつを送ります。

 歴史的な参議院議員選挙が、投票日まで3カ月と目前に迫りました。この参議院選挙は、安倍政権打倒をめざし、野党共闘の成功のために力を尽くしつつ、日本共産党の躍進を勝ち取るという、これまでやったことのない新たなたたかいへの挑戦となります。

 第5回中央委員会総会の任務は、現在の情勢の特徴と参院選の意義、参院選の政治論戦、宣伝・組織活動の方針を明らかにし、参院選の勝利・躍進をめざして全党の意思統一をはかることにあります。

 私は、幹部会を代表して、中央委員会総会への報告を行います。

1、現在の情勢の特徴と参議院選挙の意義について

 報告の第一の主題は、現在の情勢の特徴と参議院選挙の意義についてであります。

戦後かつてない新しい歴史的局面が生まれている

写真

(写真)報告する志位和夫委員長=10日、党本部

 現在の情勢の特徴をどうとらえるか。歴史の本流と逆流が真正面からぶつかりあう、戦後かつてない新しい歴史的局面が生まれています。

権力者による憲法破壊――独裁政治に道を開く非常事態

 安倍政権は、昨年9月19日、多数の国民の強い反対の声を踏みつけにして、安保法制=戦争法強行という暴挙を行いました。

 戦争法は、憲法9条を踏みにじって自衛隊の海外での武力行使を行う仕組みが幾重にも盛り込まれた明白な違憲立法です。それは憲法のもとで、自衛隊創設後も、一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出してこなかった、戦後日本の平和の歩みを根底から覆すものです。それはまた、「憲法9条のもとでは集団的自衛権は行使できない」という戦後60年余にわたる政府の憲法解釈を、一内閣の勝手な判断で百八十度変更するという、立憲主義を乱暴に破壊するものです。安倍政権が、解釈改憲に続いて、憲法9条改定を最大の標的とした明文改憲への野望をむき出しにしていることも、きわめて重大であります。

 日本社会は、戦後最も深刻な、権力者による憲法破壊――独裁政治に道を開く非常事態に直面しています。

日本の歴史で初めての市民革命的な動きの始まり

 同時に、希望ある流れが生まれています。安保法制=戦争法に反対するたたかいを通じて、国民一人ひとりが、主権者として、自由な、自発的な意思で立ち上がり、声をあげる、戦後かつてない新しい市民運動、国民運動がわき起こり、豊かに発展しています。

 多くの人々が主権者としての強い自覚をもって立ち上がっています。「自分たちの政治だから、自分たちで担う」「自分たちの代表だから、自分たちで後押しする」「あなたたちも主権者だ。一緒に声をあげよう」――こうした思いがあふれるように語られています。このたたかいのなかで、学生、高校生をはじめとする若い世代が、素晴らしい役割を果たしているのは、日本の未来にとっての大きな希望であります。

 昨年から今年にかけて日本で起こっているうねりは、日本の歴史でも初めての市民革命的な動きの始まりにほかなりません。それは、前途に紆余(うよ)曲折があったとしても、必ず新しい政治を生みだす力となって働くことは疑いありません。

独裁・戦争への逆流か、立憲・民主・平和の新しい政治か

 こうして今、日本は、戦後最大の歴史的岐路に立っています。独裁政治と戦争国家への逆流を許すのか、立憲主義・民主主義・平和主義を貫く新しい政治を築くのか。二つの道の選択が問われています。きたるべき参議院選挙は、この選択が問われる、最初の一大政治戦となります。

 日本共産党は、「安保法制=戦争法廃止、立憲主義回復」という国民的大義で一致する、すべての政党・団体・個人と力をあわせ、安倍政権を倒し、自民党政治を終わらせて、新しい政治、新しい政府への道を開くために全力をあげて奮闘するものであります。

5野党党首合意と、その画期的な意義について

5野党党首会談での四つの確認事項

 2月19日、5野党党首会談――日本共産党、民主党、維新の党、社会民主党、生活の党の5党による党首会談が行われ、安保法制=戦争法を廃止する法案を共同して提出することを確認するとともに、5野党共同の取り組みの方針として、次の4点を確認しました。

 第一に、安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とする。

 第二に、安倍政権の打倒をめざす。

 第三に、国政選挙で現与党およびその補完勢力を少数に追い込む。

 第四に、国会における対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う。

 これらの目的を達成するために、5野党の幹事長と書記局長間で早急に協議をし、具体化をはかる。

 以上が、5野党党首会談での確認事項であります。

日本の戦後政治史でも初めての野党・市民の共闘を必ず成功させよう

 5野党党首合意は、「野党は共闘」を望む多くの国民の声に応えた、画期的な意義をもつものです。とくに三つの点を強調したいと思います。

 一つは、時の政権を打倒することを正面の目標に掲げて、野党が全国的規模で選挙協力を行って国政選挙にのぞむというのは、日本の戦後政治史でも初めてのたたかいとなるということであります。

 二つ目は、この5野党党首合意を可能にした最大の力は、市民・国民の世論と運動だということです。戦争法反対の国民的運動は、法案強行後も、「9・19を忘れない」と持続的運動となって発展しています。とくに、昨年12月、戦争法に反対してきた諸団体の市民有志のみなさんが、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」を結成し、参議院選挙における野党共闘を強く求めたことは、大きな後押しとなりました。こうして、きたるべき参議院選挙は、広範な市民・国民の運動と、野党との共同の力で、選挙戦をたたかうことになります。これも、日本の戦後政治史で初めてのたたかいであります。

 三つ目に、日本共産党は、9月19日午後、安倍政権が戦争法を強行した直後に、第4回中央委員会総会を開き、「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の「提案」を行い、中央段階でも、全国各地でも、「提案」に基づいて粘り強い努力を重ねてきました。このことは、5野党党首合意の実現への重要な貢献となったと考えます。日本共産党の野党共闘の提案が、現実政治にこれだけ大きな影響を与え、一歩ではありますがそれを動かす力を発揮したのは、党の歴史のなかでも初めてのことであります。

 もとより、5野党党首合意は、野党共闘がようやく出発点に立ったということにほかなりません。合意の具体化をやり抜き、選挙に勝つことは、これからの大仕事であります。日本共産党は、合意を誠実に順守し、日本の戦後政治史でも初めての野党・市民の共闘を必ず成功させるために、ありとあらゆる知恵と力を注いで、頑張りぬく決意であります。

野党共闘の到達点と今後の課題について

 5野党党首合意――民主党と維新の党の合流による民進党発足で現在は4野党となりました――に基づく野党共闘の到達点と今後の課題について報告します。

全国32の1人区のすべてで野党統一候補の実現をめざす

 第一は、参議院選挙の全国32の1人区での選挙協力についてであります。

 わが党は、野党共闘を前進の軌道に乗せるという大局に立って、参院選1人区については、「安保法制=戦争法の廃止、立憲主義回復という大義の実現のために、思い切った対応を行う」ことを表明し、協議を進めてきました。

 現在までのところ、12選挙区――青森、宮城、栃木、山梨、長野、鳥取・島根、山口、徳島・高知、熊本、長崎、宮崎、沖縄で野党統一候補が実現しています。十数選挙区で野党統一候補のための協議が進められています。わが党は、32の1人区のすべてで野党統一候補を実現するために全力をつくすものであります。

中央でも県段階でも政策課題での一致点を豊かに発展させる

 第二は、安保法制=戦争法以外の政策課題でも、中央段階、県段階で協議し、可能な限りの一致点を得ることであります。

 中央段階の書記局長・幹事長会談では、戦争法廃止以外の政策面での共通項についても協議することが確認され、消費税、原発、TPP(環太平洋連携協定)、沖縄、憲法などについて、引き続き協議することとなっています。野党統一候補が実現した宮城県では、「アベノミクスによる国民生活の破壊を許さず、広がった格差を是正する」、「原発に依存しない社会の早期実現」、「不公平税制の抜本是正」、「民意を踏みにじって進められる米軍辺野古新基地建設に反対」などが政策協定に盛り込まれました。

 5野党は「安倍政権打倒をめざす」で一致しており、この立場に立って真剣な協議を行えば、国民の民意に背く暴走を止め、転換を図るという点で、さまざまな分野で前向きの一致を得ることは可能だと考えます。

 また、5野党は、国会で、安保法制廃止法案とともに、介護・福祉職賃上げ法案、児童扶養手当拡充法案、保育士処遇改善法案などを、共同提出していますが、これらの内容は、野党の「共通政策」になりうるものであります。

 野党共闘の中身を、切実な暮らしの問題も含めて豊かなものにしていくために、引き続き力をつくします。

すみやかに衆院選小選挙区での選挙協力の協議に入ることをよびかける

 第三は、衆議院選挙小選挙区での選挙協力を推進することであります。

 5野党党首合意では、「国政選挙」での「協力」を確認しており、「国政選挙」の中には、当然、衆議院選挙も含まれます。わが党は、衆院小選挙区での選挙協力は、直近の国政選挙の比例代表選挙の野党各党の得票を基準に、相互支援を行うことを原則に、推進することを提案しています。そして、どういう原則で選挙協力を行うかも含めて、速やかに衆院選での選挙協力の協議に入ることをよびかけています。

 この点で、日本共産党、旧維新の党、社民党、生活の党の4党では一致が確認されました。しかし、民進党は「協議に入れない」との態度をとっています。

 安倍首相が早期の解散・総選挙を行ったとしても攻勢的な対応ができるよう、衆院小選挙区での選挙協力態勢を構築することは急務であります。ここで野党共闘の本格的な具体化がはかられれば、きたるべき総選挙で、多くの小選挙区で与野党が逆転し、情勢の大激変が生まれることは明らかです。衆院小選挙区での選挙協力の協議に入ることを、重ねて強くよびかけるものであります。

野党連立政権についての前向きの合意をつくるために力をつくす

 第四は、野党連立政権についての前向きの合意をつくることであります。

 私は、2月19日の5野党党首会談のさいに、わが党が提唱している「国民連合政府」について、安保法制=戦争法の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回のためには、「この二つを実行する政府が必要だという立場には変わりがない」とのべつつ、この問題については野党間でも賛否がさまざまであることを考慮し、「政権の問題は、横に置いて選挙協力の協議に入り、今後の協議のなかでわが党の主張をしていきたい」と表明しました。

 5野党党首合意のどの項目をとっても、本気で実行しようとすれば、野党連立政権が必要となります。たとえば本気で、「安倍政権打倒をめざす」ならば、打倒した後にどういう政権をつくるのか、どの野党にも責任ある回答が求められるでしょう。与党との論争でも、政権問題はいやおうなしに問われてくるでしょう。

 この間の書記局長・幹事長会談では、政権の問題についても協議していくことが確認されています。わが党は、「国民連合政府」こそが安倍政権に代わる現実的で合理的な政権構想であると確信しており、この「提案」の方向で野党間の前向きの合意が得られるよう力をつくします。

市民・国民の運動と力を合わせれば、困難は必ず乗り越えられる

 野党共闘はスタートしたばかりであり、その前途にはさまざまな困難もあるでしょう。しかし、私たちは、これまでも市民・国民の運動の後押しによって困難を乗り越えてきました。これからも、市民・国民の運動と手を携え、力を合わせるならば、必ず困難を乗り越えることはできる。これが私たちの確信であります。誠実に、粘り強く、野党・市民の共闘を発展させるために知恵と力をつくそうではありませんか。

参議院選挙の意義と目標について

たたかいの構図は「自公とその補完勢力」対「4野党プラス市民・国民」

 政府・与党は、野党共闘が政権の土台を揺るがす力をもつかもしれないと危機感を持ち始めています。安倍首相は、3月の自民党大会で、「今年のたたかいは、自民党、公明党、連立政権対、民主党、共産党、民共の勢力とのたたかいになる」と、対抗心をむき出しにしました。しかし、たたかいの構図は、「自公対民共」ではなくて、「自公とその補完勢力」対「4野党プラス市民・国民」にほかなりません。

野党共闘の成功と日本共産党の躍進――二つの大目標を必ずやりぬく

 日本共産党は、参議院選挙を、憲法違反の安保法制=戦争法を強行した自民・公明とその補完勢力を少数に追い込み、安倍政権を退陣させ、日本の政治に立憲主義、民主主義、平和主義を取り戻す選挙にしていくために全力をあげて奮闘します。そのために、次の二つの大目標をやりぬきます。

 第一は、野党共闘を必ず成功させることであります。全国32の1人区のすべてで野党共闘を実現し、すべてで自公に打ち勝つために全力をつくします。1人区のすべて、少なくともその多数で、野党の本格的な結束をつくりだすことができるならば、そのプラスの影響は複数区や比例区にも波及するでしょう。たたかいの構図が全国的規模で浮き彫りになり、選挙戦全体の様相が一変することは間違いありません。

 第二は、日本共産党の躍進を必ず勝ち取ることであります。政党を選ぶ比例代表選挙を軸にすえ、「全国は一つ」の立場で大奮闘し、全国で「850万票以上、15%以上」を獲得し、8議席を絶対に確保し、9議席に挑戦します。選挙区では、全国13都道府県の定数2〜6議席の複数区のすべてで議席獲得をはかります。

 自公とその補完勢力を少数に追い込むためにも、日本の政治の根本的転換のためにも、「国民連合政府」を提唱している党としても、日本共産党の躍進は国民への責任と肝に銘じて、頑張りぬこうではありませんか。

衆院北海道5区補選必勝のために全国の支援をよびかける

 4月24日投開票の衆院北海道5区補欠選挙は、一票を争う大激戦となっています。わが党は、野党統一候補の池田まきさんの必勝のために、共闘の一翼を担って最後まであらゆる力をつくします。北海道に全国の支援を集中することを心からよびかけるものです。

衆院小選挙区――野党共闘を追求しつつ、候補者擁立を推進する

 政府・与党の中から衆参同時選挙もありうるとの発言が相次いでいます。

 同時選挙は憲法に照らしても邪道であり、党略的な解散権の乱用であって、許されるものではありません。同時に、いつ解散・総選挙になっても、それを迎え撃つ態勢をつくることが必要であります。

 早期の解散・総選挙にそなえて、わが党は、衆院小選挙区での野党共闘を追求しつつ、候補者擁立を積極的に推進します。衆参の予定候補者が一体となって、国政選挙での勝利・躍進のために奮闘します。

 衆参同時選挙になった場合には、自公とその補完勢力を衆参ともに少数に追い込むという断固たる決意でたたかいにのぞみます。

2、参議院選挙の政治論戦について

 報告の第二の主題は、参議院選挙の政治論戦についてであります。

安保法制(戦争法)廃止、立憲主義を取り戻す――参院選の最大の争点

 日本共産党は、他の野党、市民と力をあわせて、安保法制=戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻すことを、参議院選挙の最大の争点にすえてたたかいます。

 戦争法が3月29日に施行されました。この法律をそのままにしておくと日本はどうなるか。三つの大問題が引き起こされることを指摘しなければなりません。

戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出す危険が現実のものに

 第一は、日本の自衛隊が、戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出すという危険が現実のものとなることであります。

 戦争法には、「戦闘地域」での米軍等への兵站(へいたん)の拡大、戦乱が続いている地域での治安活動、地球のどこでも米軍を守るための武器使用、そして集団的自衛権の行使――自衛隊の海外での武力行使を可能にする四つの仕組みが盛り込まれています。そのどれもが、戦争を放棄し、戦力保持を禁止した憲法9条を乱暴に蹂躙(じゅうりん)するものであることは、国会論戦を通じて、すでに明々白々となっています。

 集団的自衛権は、戦争法のなかでも憲法違反の核心部分ですが、これは、いかなる意味でも、日本の自衛とも、日本国民の命を守ることとも、関係がありません。

 米国が、ベトナム戦争やイラク戦争のような先制攻撃の戦争に乗り出した場合に、言われるままに集団的自衛権を発動し、「自衛隊の全部又は一部」を出動させて、侵略国の仲間入りをする――ここにこそ、その現実の危険があります。

 自民党などは、この間、北朝鮮が、国連決議を無視した核兵器・ミサイル開発の暴挙を行ったことを利用して、「集団的自衛権を備えないと、日米同盟がうまくいかず、北朝鮮の脅威から国を守れない」などと言い募っています。しかし、北朝鮮問題に対応するのに、どうして集団的自衛権が必要なのか。この問題に関連して、大森政輔元内閣法制局長官が、昨年の国会の参考人質疑でつぎのようにのべたことは、注目されます。

 「わが国が集団的自衛権の行使として、……第三国に武力攻撃の矛先を向けますと、その第三国は、……わが国に対して攻撃の矛先を向けてくることは必定であり、集団的自衛権の抑止力以上に紛争に巻き込まれる危険を覚悟しなければならず、バラ色の局面到来は到底期待できない」。

 集団的自衛権の行使とは、日本に対して武力攻撃をしていない国に対して、日本の側から武力の行使をすることです。それは、相手国から見れば、事実の問題として、日本による先制攻撃となります。それは、相手国に、日本を攻撃する大義名分を与えることになります。国民の命を守るのではなく、国民を進んで危険にさらす――ここにこそ集団的自衛権の本質があるのです。北朝鮮問題を利用して、戦争法を合理化することは、論理上、まったく成り立たないということを強調したいと思います。

 戦争法が施行されたことによって、自衛隊が「殺し、殺される」、差し迫った危険が生まれています。

 わが党は、国会論戦で、激しい内戦状態が続く南スーダンのPKO(国連平和維持活動)に派兵されている自衛隊の任務拡大、過激武装組織ISに対する軍事作戦への自衛隊の参加、アフガニスタンの治安部隊を支援するRS任務(確固たる支援活動)への自衛隊の参加などが、最初の「殺し、殺される」ケースになりかねないことを、強く警告してきました。戦争法は一刻も放置できません。その廃止は急務であることを、強く訴えるものであります。

立憲主義と民主主義を取り戻し、「個人の尊厳」を守り大切にする社会を

 第二は、安倍政権が、戦争法強行にさいして、立憲主義を乱暴に破壊するやり方をとったことが、法治国家としての土台を根底から危うくしていることであります。

 立憲主義とは何か。憲法によって権力を縛るということであります。たとえ国会で多数を持つ政権党であっても、憲法の枠組みに反する政治をしてはならないということであります。権力が憲法を無視して暴走を始めたらどうなるか。「法の支配」が「人の支配」に代わり、独裁政治の始まりになります。

 この間、安倍政権が、憲法に違反することに躊躇(ちゅうちょ)しない姿勢を、さまざまな面であらわにしていることは、きわめて重大であります。

 国権の最高機関である国会がないがしろにされています。野党5党が、昨年10月21日、憲法53条の規定に基づいて臨時国会の召集を要求したにもかかわらず、政府・与党はそれを握りつぶしました。その結果、2015年は、戦後の憲政史において、1年を通じて臨時国会が開かれなかった初めての年となってしまいました。安倍首相が、野党議員の質問の最中に「早く質問しろよ」というやじを飛ばしたことは、首相の品性の水準を示すだけでなく、行政府の長が立法府の議事進行を「指図」し、三権分立の原則を踏みにじるという、きわめて深刻な問題であることを指摘しなければなりません。

 安倍政権による放送の自由、言論の自由への権力的介入もきわめて重大であります。高市総務大臣が、「政治的不公平」と大臣が判断した放送局は電波を停止できると発言し、それを内閣があげて擁護していることが大問題となっています。放送法第4条の「政治的公平」は、あくまでも放送局が自主的に守るべき「倫理規範」だというのが憲法やメディア法の専門家の通説であります。放送局の電波は、国民の共有財産であって、安倍首相のものではありません。特定の政治的立場に立った政治家が「政治的公平」かどうかを判断して、電波停止などという強権的手段をとるのは、電波を党略で私物化し、「表現の自由」を保障した憲法21条を乱暴に蹂躙するものであり、絶対に許すわけにいきません。

 立憲主義によって、権力を縛ることの究極の目的は、日本国憲法13条が保障している、すべての国民を「個人として尊重」することであり、「個人の尊厳」を擁護することにあります。安倍政権による立憲主義破壊の政治は、「国家の暴走で個人の尊厳を踏みつぶす政治」にほかなりません。それは、戦争法、秘密保護法、沖縄、原発、TPP、経済、消費税など、あらゆる問題にあらわれているではありませんか。

 独裁と専制への道を断固として拒否しようではありませんか。

 思想・信条の違い、政治的立場の違いを乗り越えて、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻し、すべての国民の「個人の尊厳」を守り、大切にする社会を築くために、力をあわせようではありませんか。

「自民党改憲案」=安倍改憲を許すか、安保法制=戦争法の廃止か

 第三は、安倍首相が、参議院選挙で、自民・公明や「おおさか維新」など改憲勢力で3分の2以上の議席をめざすとして、明文改憲への執念をむきだしにしていることであります。

 安倍首相が、「憲法を改正していく。自民党は憲法改正草案を決めている」とのべ、「(きたるべき国政選挙で)この草案をお示ししていきたい」と公言するもとで、「自民党改憲案」を許していいのかどうかは、参議院選挙の大争点となっています。

 「自民党改憲案」は、憲法9条2項を削除し、「国防軍」の創設を明記しています。これは、自衛隊の海外での武力行使を、何の制約もなしに行えるようにし、「海外で戦争する国」づくりを完成させようというものにほかなりません。

 「自民党改憲案」は、「緊急事態条項」の創設を明記しています。首相が「緊急事態の宣言」を行えば、内閣が立法権を行使し、国民の基本的人権を停止するなど、事実上の「戒厳令」を可能にするというものであります。

 さらに、根本的な問題は、「自民党改憲案」が、「憲法を憲法でなくしてしまう」ということであります。「自民党改憲案」では、憲法13条の「個人として尊重」を、「人として尊重」という表現に置き換え、「個人の尊重」「個人の尊厳」という立憲主義の根本原理を抹殺してしまっています。「公益及び公の秩序」の名で基本的人権の抑圧ができる仕組みに改変されています。基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」と規定した憲法97条がまるまる削除されてしまっています。これらは、「憲法によって権力を縛る」という立憲主義を全面的に否定し、「憲法によって国民を縛る」ものへと根本的に変質させようというものにほかなりません。

 私たち日本国民が、戦争の惨禍と幾多の人々の犠牲のうえに手にした世界に誇るべき日本国憲法を、およそ憲法とは呼べない戦争と独裁と抑圧の道具へと置き換える、途方もない時代逆行の企てを、絶対に許してはなりません。

 「自民党改憲案」=安倍改憲を許すか、安保法制=戦争法の廃止かは、参議院選挙の大争点であります。

 野党共闘の勝利、日本共産党の躍進で、自民党、公明党と、その補完勢力――「おおさか維新」に厳しい審判を下し、安倍改憲の野望を打ち砕こうではありませんか。

「アベノミクス」ストップ、格差ただし、経済に民主主義を

 ここで国政全体に視野を広げてみたいと思います。

 2014年12月の総選挙で、わが党は、「安倍政権の暴走ストップ、日本の政治の『五つの転換』」を訴えて躍進を果たしました。それから1年4カ月たったいま、安倍政権が進めてきた暴走が、どの分野でも破たんしつつあるのが特徴であります。参議院選挙を、日本共産党の躍進で、破たんしつつある暴走にピリオドを打ち、政治の転換をはかる選挙にしていこうではありませんか。

「アベノミクス」は三つの破たんがはっきりした

 暮らしと経済の問題では、「『アベノミクス』ストップ、格差ただし、経済に民主主義を」と、私たちの改革提案を訴えてたたかいます。

 「アベノミクス」はいまや三つの破たんがはっきりしました。

 第一は、「トリクルダウン」政策の破たんであります。安倍首相は、「世界で一番、企業が活躍しやすい国をめざす」と宣言し、まず大企業を応援し、大企業がもうけをあげれば、いずれは家計に回ってくると言い続けました。しかし、現実は、それが妄想だということを証明しました。大企業は史上最高の利益をあげましたが、労働者の実質賃金は4年連続マイナス、非正規社員は増えましたが正社員は3年間で23万人減りました。経済の6割を占める家計消費はマイナスが続き、ついに頼みの大企業の景況感も悪化し、「アベノミクス不況」に陥っています。

 第二は、消費税大増税路線の破たんであります。わが党は、2014年4月の消費税8%への増税にさいして、「景気悪化の引き金を引く」と強く警告し、中止を求めました。首相は、「影響は一時的」として大増税を強行しました。結果は、増税実施から2年が経過しましたが、深刻な消費の落ち込みが続いています。わが党の追及に、首相も、「予想以上に消費が落ち込み、予想以上に長引いているのは事実」と見通しの誤りを認めました。安倍政権の経済失政によって、深刻な「増税不況」がつくりだされています。

 第三に、「異次元金融緩和」路線の破たんも明白になりました。大量の資金供給に期待した投機的な動きにより、円安と株高が急激に進み、富裕層や大企業には巨額の利益が転がり込みましたが、肝心の実体経済の活性化につながらず、国民には円安による生活必需品や資材の値上げが押し付けられました。苦し紛れに「マイナス金利」という異例の策に踏み出しましたが、内需が冷え込んでいるもとで銀行の貸し出しが増えるはずもなく、金融政策は打つ手なしのどんづまりに落ち込んでいます。

 どんなに安倍首相が都合のよい数字を並べ立てて「うまくいっている」と宣伝しても、もはや「アベノミクス」の失敗を覆い隠すことはできません。この経済政策が大失政であったことは、どんな世論調査でも、国民の8割以上が「アベノミクスで景気が良くなったと思わない」と答えていることにも示されているではありませんか。

巨額の富の集中と独占、格差と貧困の拡大

 この政策のもとでつくられたのは途方もない貧富の格差の拡大であります。「アベノミクス」は、一部の大企業や大株主には巨額の利益をもたらしました。アメリカのフォーブス誌の集計によると、「日本の富裕層」上位40人の資産総額は、この4年間で、7・2兆円から15・4兆円へと2倍以上にも膨れ上がりました。

 その一方で、中間層の疲弊と貧困の新たな広がりが深刻になっています。この3年間で、貯蓄ゼロ世帯(金融資産を保有しない世帯)が470万世帯も増え、1890万世帯と過去最高に達し、全世帯の3分の1以上が貯蓄ゼロ世帯となりました。国民の多くが突然貧困に陥る危険と隣り合わせで暮らしています。

 巨額の富の集中と独占、格差と貧困の拡大は、日本社会にとっても、経済にとっても、良いことは一つもありません。

 格差をただし、貧困をなくしていくことは、すべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障した憲法の要請であるとともに、家計という経済の最大のエンジンを温めて経済の好循環を生み出すカギとなります。

格差をただし、経済に民主主義を確立する「三つの改革」を

 日本共産党は、格差をただし、経済に民主主義を確立するために、次の「三つの改革」を掲げて選挙戦をたたかいぬきます。

 第一は、税金の集め方を変えることであります。「『税金は負担能力に応じて』の原則に立った公正で民主的な税制への改革」を訴えてたたかいます。

 ――消費税は、所得の少ない人に重くのしかかる最悪の不公平税制であり、最悪の景気破壊税です。消費税10%への増税の中止を強く求めます。

 ――富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革を行います。安倍政権による4兆円もの大企業への減税バラマキを中止し、研究開発減税など大企業優遇税制を抜本的に見直します。所得税の最高税率を引き上げ、高額の株取引や配当への適正な課税を行うなど、富裕層への課税を強化します。「消費税に頼らない別の道」で、暮らしを支える財源をつくりだします。

 第二は、税金の使い方を変えることであります。「社会保障、若者、子育てに優先して税金を使え」「軍事費を削って暮らしにあてよ」と訴えてたたかいます。

 ――社会保障の連続改悪をもたらしている社会保障予算の「自然増」削減路線を中止し、拡充へと転換します。年金削減を中止し、国の責任で、高すぎる医療費の窓口負担・国民健康保険料の軽減、特養ホームの入所待ちの解消、介護保険の利用料・保険料の軽減、介護労働者の待遇改善をはかります。

 ――大学の学費(授業料)を段階的に値下げし、10年間で国公立も私学も学費を半減します。月額3万円を70万人に支給する給付型奨学金を創設します。

 ――保育所の待機児童問題は、認可保育所を増やして解決することを国の大原則とします。国が財政支援を行って30万人分(約3000カ所)の認可保育所を緊急に建設します。保育士の賃金と配置基準を引き上げ、深刻な保育士不足を解消します。必要とするすべての子どもが保育園に入れるあたりまえの社会をつくろうではありませんか。

 ――戦争法強行と一体に、軍事費は5兆円を超えて過去最高、米軍への「思いやり予算」・米軍関連経費も過去最高の大盤振る舞いとなりました。海外で戦争をするための大軍拡をやめ、暮らしにまわせ――このことを大いに訴えてたたかおうではありませんか。

 第三は、働き方を変えることであります。「ブラックな働き方をなくし、人間らしく働けるルールを」と訴えてたたかいます。

 ――残業時間の上限を法律で規制し、過労死を生み出す長時間過密労働をなくします。「残業代ゼロ法案」を撤回させ、「サービス残業」を根絶します。ブラック企業、ブラックバイトを根絶しようではありませんか。

 ――雇用のルールを強化し、非正規社員から正社員への流れをつくります。労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は一時的・臨時的なものに厳しく制限します。「同一労働同一賃金」――「均等待遇」を、男女雇用機会均等法、パート労働法、労働者派遣法などに明記する法改正を求めます。

 ――最低賃金は「いますぐ、どこでも時給1000円にし、1500円をめざす」。そのために中小企業の社会保険料負担の減免など、本格的支援を行います。最賃の大幅引き上げで、日本から「働く貧困層」をなくそうではありませんか。

 ――中小企業を日本経済の根幹にふさわしく振興するとともに、大企業と中小企業との公正な取引のルールを確立し、中小企業で働く人の賃金格差をなくします。

 税金の集め方、税金の使い方、働き方――「三つの改革」の全体を貫くのは、経済政策の舵(かじ)を、大企業応援から国民の暮らし最優先へと、大きく切り替えるということであります。企業・団体献金とは一切無縁な日本共産党の躍進こそ、この改革を実現する最大の力になることを、訴えぬこうではありませんか。

TPP協定の国会承認を許さず、経済主権を尊重した平等・互恵の経済関係を

国民を欺く「二つのウソ」でTPP強行を狙う

 TPP協定の国会審議が開始されましたが、安倍政権は、TPP交渉の経過を何一つ明らかにせず、ことごとく答弁を拒否するという、戦後の国会史上でも前例のない異常な秘密主義で批准を強行しようとしています。これは、「国民に十分な情報提供」を求めた「国会決議」を完全に無視する暴挙です。国民と国会にまともに情報公開ができない協定は、撤回するしかありません。

 安倍政権によるTPP協定ごり押しの手法は、二つのウソで国民を欺くというものです。

 一つは、「聖域を守る」とした「国会決議」を、踏みにじったことであります。2013年の「国会決議」では農産物の重要5項目――コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖は、関税撤廃を認めない――「除外」または「再協議」にするとしています。ところがTPP協定では重要5項目のうち3割の品目で関税が撤廃され、コメでも関税ゼロの「特別輸入枠」が設定されました。発効7年後には、日本だけが、残った関税も撤廃に向けた協議が約束させられました。こんな協定に調印して「聖域を守った」などというのは、国民への大ウソではありませんか。

 いま一つは、農業や関連産業、地域経済への深刻な打撃を、「ない」ものと正反対に描きだす、まやかしの「経済効果試算」なるもので、国民を欺こうとしていることです。2013年3月に政府が発表した試算では、TPPによるGDPの押し上げ効果は3・2兆円、農林水産物の生産額は3兆円減少としていました。ところが昨年12月に発表された「試算」では、GDPの押し上げ効果は14兆円と4倍に膨らみ、農林水産物へのマイナス効果は1300億円〜2100億円と25分の1となりました。この「試算」は、TPPが発効しても農産物の国内生産量は一切減少せず、食料自給率も低下しないという驚くべきものとなっています。まやかしの「試算」で国民を欺き、TPP協定を押し通すなど、断じて許せるものではありません。

米国中心の巨大多国籍企業に日本を売り渡す亡国のTPPを阻止しよう

 TPPは、米国を中心とする巨大多国籍企業のあくなき利潤追求のために、関税を撤廃するとともに、食の安全、医療、雇用、保険・共済、政府調達など、あらゆる分野の「非関税障壁」を撤廃し、ISD条項(投資家・国家間の紛争解決条項)によって、多国籍企業が政府や自治体の施策に干渉・介入する「権利」を保障するものとなっています。

 安倍首相が主催した国際経済金融分析会合で、ノーベル経済学賞受賞者で米コロンビア大学のスティグリッツ教授は、「(TPPは)新しい差別をもたらし、より強い成長や環境保護などのための規制手段を制限する」と語りました。アメリカも含め、TPP参加国内で、反対の世論と運動が広がっています。

 このような道に日本の未来はないし、世界の未来もないのであります。米国を中心とする巨大多国籍企業に日本を丸ごと売り渡す、亡国のTPP協定の国会承認を阻止するために、全力をあげようではありませんか。

 日本共産党は、各国の経済主権、食料主権を尊重した、平等・互恵の投資と貿易のルールをつくることを強く求めます。

 農産物の価格保障と所得補償を組み合わせて、安心して再生産できる農業をつくり、先進国で最低レベルの39%にまで落ち込んだ食料自給率を、まず50%に引き上げることを目標にすえることを強く求めて、たたかうものであります。

「原発ゼロの日本」、再生エネルギー先進国を

原発事故を「終わったこと」にする政治は絶対に認められない

 3月6日、福島県二本松市で開催された全国革新懇・福島県革新懇主催の福島復興と原発ゼロを求めるシンポジウムでの楢葉町で障害者施設長をされている女性の訴えは、参加者の心を深く揺さぶるものでありました。

 「海あり、川あり、山ありの自然豊かな楢葉町。原発事故は、その日常生活のすべてを断ち切り、生きがいも、つながりも奪いました。それなのに政府、東電は福島第2原発の廃炉も決めず、再稼働を進める。許せません。楢葉町の現実を見てください。必死で生きている私たちを忘れないでください」。

 原発再稼働を進めるために、賠償の打ち切りなど、原発事故を「終わったこと」にしてしまおう――このような政治を絶対に認めるわけにいきません。すべての被災者が生活と生業(なりわい)を再建できるまで、国と東京電力が責任をもって等しく支援することを強く求めるものであります。

「原発固執政治」は国民的にも技術的にも大きな破たんに陥っている

 安倍政権が、2014年4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、政府が2015年7月に決定した「長期エネルギー需給見通し」は、2030年度の発電電力量のうち20%〜22%を原発で賄うとしています。しかし、こうした「原発固執政治」は、大きな破たんに陥っています。

 どんな世論調査でも、再稼働反対は5割〜6割と、揺るがない多数派です。「原発安全神話」は国民の中では完全に崩壊しました。この世論の圧力のもと、2013年9月から2015年8月にかけて約2年にわたって「稼働原発ゼロ」となりました。日本社会は原発なしでもやっていけることが、国民的体験をつうじてすっかり明らかになりました。3月9日、大津地裁は、高浜原発停止を命じた仮処分を決定し、福島原発事故の原因究明は「今なお道半ば」であり、新規制基準に適合したからといって安全とはいえないと断じました。世論が大きく動くなかで、司法の良識が働きました。安倍政権は、この決定を重く受け止め、全国すべての原発の再稼働を中止すべきであります。

 原発という技術システムの行き詰まりも深刻であります。とりわけ「核のゴミ」=使用済み核燃料の問題は、文字通り八方ふさがりとなっています。原発を再稼働させた場合は、計算上わずか6年で全ての原発の使用済み核燃料貯蔵プールが満杯になります。再処理工場を動かした場合は、年間8トンものプルトニウムが出てきます。すでに日本は国内外に47・5トンものプルトニウムを保有していますが、核拡散防止の観点から利用目的のないプルトニウムは保有できないことになっており、世界からの疑念の目がさらに強まることになるでしょう。

 福島原発事故で猛威をふるった「異質の危険」という点でも、この体験を踏まえた国民世論との決定的矛盾という点でも、「核のゴミ」に象徴される技術的な行き詰まりという点でも、原発を使い続けることはもはや許されるものではありません。「原発ゼロの日本」への決断を、強く求めていこうではありませんか。

2030年までに電力需要の4割を再生可能エネルギーで

 再生可能エネルギーの普及が世界の大きな流れとなっています。福島原発事故後に「原発ゼロ」に踏み出したドイツでは、再生可能エネルギーが2015年に発電量の30%に達しました。EU全体でも2030年までに45%の目標を掲げています。

 その一方で、日本の再生可能エネルギーによる電力供給はわずか2%、大規模ダム水力を入れても10%にすぎません。それにもかかわらず、電力会社は、「電力が不安定になる」などという口実で、再生可能エネルギー接続を制限・拒否し、政府もこうした電力会社の姿勢を容認・支援しています。「原発固執政治」が、再生可能エネルギー普及の最大の障害となっているのであります。

 「原発ゼロ」の決断と一体に、再生可能エネルギーの飛躍的普及をはかるべきです。日本共産党は、2030年までに電力需要の4割を再生可能エネルギーで賄うという目標をもち、それを実行に移す手だてを着実にとることを提唱するものです。この目標は、世界の再生可能エネルギー先進国に追いつくための最低限の目標であります。そのさい、乱開発にならないよう地域環境に配慮しながら推進することが重要であります。この道こそ、地域経済の振興、地域での雇用創出、エネルギー自給率の向上にとっても大きな効果がある、真に未来ある道であることを、強調したいと思います。

基地のない平和な沖縄を――本土と沖縄の連帯の発展をよびかける

「オール沖縄」のたたかいが強権的な新基地押し付けをさらに一歩追い込んだ

 翁長知事を先頭とする「オール沖縄」の粘り強いたたかいは、安倍政権の強権的な新基地建設押し付けを、さらに一歩破たんに追い込む新たな事態をつくりだしています。

 3月4日、国と沖縄県は、福岡高裁那覇支部の「和解案」を受け入れ、辺野古での埋め立て工事は中止されました。安倍首相は、「和解」の日に、「辺野古が唯一の選択肢」とのべ、あくまで新基地建設に固執する態度を取り続けています。たたかいはこれからですが、埋め立て工事の中止は、大局的にみれば、「オール沖縄」の声が、日米両政府を追い詰めたことを意味するものにほかなりません。

 福岡高裁那覇支部の「和解勧告文」は、「沖縄対日本政府という対立の構図」を、地方自治法の「精神にも反する状況」と断じたうえで、つぎのようにのべています。

 「本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである。そうなれば、米国としても、大幅な改革を含めて積極的に協力をしようという契機となりうる」。

 政府は、要求する相手を間違えています。沖縄県民に対して新基地建設を押し付けるのではなく、米国に対して、「オールジャパン」で、普天間基地を無条件に返せと要求すべきではありませんか。

本土のたたかいと、沖縄のたたかいの連帯をさらに発展させよう

 「新基地建設反対」という大義の旗を掲げた「オール沖縄」のたたかいは、基地のない平和で豊かな沖縄の未来を拓(ひら)くものであるとともに、日本国民のたたかいにとっても先駆的意義をもつものであります。

 2014年に、名護市長選、沖縄県知事選、総選挙沖縄1区〜4区と、連続して「オール沖縄」の勝利が記録されました。このたたかいは、2015年の「戦争法案反対」という大義の旗を掲げた国民的たたかいに、そして2016年の「安保法制=戦争法廃止、立憲主義回復」という大義の旗を掲げた野党・市民の共闘につながっていきました。沖縄のたたかいは、保守・革新の垣根を越えて、大義の旗のもとに大同団結するならば、どんなに大きな力を発揮することになるかを、日本国民全体に教えてくれるものとなりました。

 全国で進められている野党・市民の共闘の努力のなかで、宮城県でかわされた政策協定のように、「民意を踏みにじって進められる米軍辺野古新基地建設に反対」が合意となるケースが生まれていることは、きわめて重要であります。

 沖縄のたたかいは本土のたたかいの先駆けとなり、沖縄と本土のたたかいがいま大きく合流しつつあります。沖縄の基地問題で問われているのは、日本という国の民主主義であります。立憲主義・民主主義の回復を求める全国のたたかいが、沖縄のたたかいへの連帯をさらに強めることを、私は、心からよびかけるものであります。

 6月5日投開票でたたかわれる沖縄県議会議員選挙で日本共産党の躍進と翁長知事を支える「オール沖縄」の勝利、引き続く参議院選挙で野党統一候補の勝利を勝ち取ることは、沖縄県民の声を日米両政府に突き付け、「オール沖縄」のたたかいをさらに発展させるうえで決定的に重要です。激戦を必ず勝ち抜こうではありませんか。

憲法9条を生かした平和外交を――三つの国際問題にかかわって

テロ根絶――非軍事の政治的・外交的対応にこそ知恵と力をつくせ

 安保法制=戦争法を廃止するならば、その抜本的対案は何か。憲法9条という世界に比類のない宝を生かした平和外交に徹することこそ、いま日本に求められています。そのことを三つの国際問題にかかわって、報告したいと思います。

 一つは、世界からテロをいかにして根絶するかという問題であります。過激武装組織ISなどによる国際テロをめぐる事態の進展が示しているのは、戦争ではテロはなくせない、テロと戦争の悪循環をつくりだすだけだということであります。

 昨年11月のパリ同時テロの後、米仏英ロなどによる対IS軍事作戦が格段に強化され、イラク・シリア両国内の「ISの拠点」とされるところへの、大規模な空爆が強化されてきました。ところがISなど過激集団によるテロ事件は収まるどころか、中東、欧州、アフリカ、アジアと、ほぼ世界中に拡散する事態となっています。

 歴史的に見ても、ISの台頭は、2001年のアフガニスタン報復戦争、2003年のイラク侵略戦争がつくりだしたものでした。そのことは、当事者のブレア元英国首相、オバマ米大統領も認めていることです。戦争がつくりだした怪物を、戦争によって根絶できる道理はありません。

 わが党は、世界からテロをなくすために、国際社会が一致結束して次の四つの対策に取り組むことを提唱してきました。

 第一は、国連安保理決議に基づき、テロ組織への資金・人・武器の流れを断つ。

 第二は、貧困や格差、民族的・宗教的差別など、テロの土壌になっている問題をなくす。

 第三は、シリアとイラクでの内戦・混乱状態を解決し、地域の平和と安定をはかる。

 第四は、大量のシリア難民・国内避難民のための人道的支援を強化する。

 どれも困難が伴う大仕事ですが、この道しかありません。

 日本政府は、こうした非軍事の政治的・外交的対応にこそ、知恵と力をつくすべきであると、重ねて強調したいと思います。

 安保法制=戦争法との関係で強く危惧されるのは、政府が対IS空爆などへの自衛隊の軍事支援について、「政策判断として考えていない」としつつ、「法律的にはありうる」と答弁していることです。そして「そういう政策判断をしている理由は何か」とただしても、理由を答えることができなかったことです。このような姿勢では、アメリカが対IS軍事作戦を拡大し、自衛隊に支援を要請してきた場合に拒否できず、自衛隊を参加させることになることは明らかであります。この道は、テロと戦争の悪循環に日本自身が入り込み、日本国民をテロの危険にさらす道であり、断じて認めるわけにいきません。

北朝鮮問題――国連安保理決議にもとづき国際社会の一致結束した外交努力を

 二つ目は、北朝鮮問題の解決をいかにしてはかるかということです。この間、北朝鮮によって核実験が行われ、事実上の弾道ミサイル発射が行われました。これらが、国連決議に違反する暴挙であり、世界の平和と安定への重大な脅威であることは明白であり、わが党は強い抗議を表明してきました。

 同時に、解決の方法は対話しかありません。そして、対話の場として最もふさわしいのが6カ国協議であります。北朝鮮を6カ国協議という対話のテーブルにつかせるための国際社会の一致結束した外交努力こそ何よりも大切であることを、わが党は一貫して強調してきました。

 これは国際社会のコンセンサスとなっています。国連安保理が3月3日、全会一致で採択した決議は、北朝鮮へのかつてない厳しい制裁措置を決定する一方、「事態の平和的、外交的かつ政治的解決」、「対話を通じた平和的かつ包括的解決」を強調し、「緊張を悪化させるおそれのあるいかなる行動も差し控える」よう各国に呼びかけ、問題の解決方向を明確に示しました。そのうえで、「6カ国協議への支持を再確認し、その再開を呼びかけ、(朝鮮半島非核化を決めた)2005年9月の共同声明での誓約への支持を再表明する」とのべています。

 いま国際社会に求められているのは、この決議にそって問題をいかに外交的に解決していくかにあり、制裁措置を実効性をもって全面的に実施する目的も、事態の外交的解決に置かれなくてはなりません。

 ここでも安保法制=戦争法は、有害無益であります。北朝鮮問題を利用して、集団的自衛権を合理化することは、論理上、まったく成り立たないことはすでに述べました。それに加えて、現実の問題としても、北朝鮮の軍事挑発に対して、日本が戦争法という軍事で構えたらどうなるか。軍事対軍事の悪循環に陥るだけではありませんか。それが一番危険な道であり、北朝鮮問題を利用して戦争法を合理化することには、一かけらの道理もないことを、重ねて強調しておきたいと思います。

南シナ海問題――一方的な現状変更と軍事的緊張を高める行動の中止を求める

 三つ目は、南シナ海の紛争問題をいかにして解決するかということであります。南シナ海では、2年前、西沙諸島近辺に、中国が石油掘削装置を設置して緊張が高まり、わが党は、談話を発表して、現状を変更する物理的対応・軍事的対応をとらず、あくまでも外交交渉による平和的解決に徹することを求めました。

 その後、中国による南沙諸島での人工島の造成、さらに今年に入ってから、レーダーの設置や、西沙諸島でのミサイルや戦闘機の配備が明らかになりました。中国とASEAN(東南アジア諸国連合)諸国が締結した「南シナ海行動宣言」(DOC)は、「現在無人の島嶼(とうしょ)、岩礁、浅瀬、洲その他のものへの居住を慎む」ことを求め、「紛争を複雑化あるいは激化させ、また平和と安定に影響を与えるような行動を自制する」と規定しており、中国の行動は明らかにこの約束に反します。わが党は、南シナ海での一方的な現状変更と軍事的緊張を高める行動を中止するよう求めるものです。

 同時に、この問題でも、解決の方法は、対話に徹することにあります。ASEAN諸国は「南シナ海行動宣言」(DOC)の順守とともに、それを「南シナ海行動規範」(COC)に発展させることを粘り強く追求してきたし、今も追求しています。日本政府が行うべきは、こうした対話による解決を促すための外交努力であることを強調したいと思います。

 この問題をめぐって、安倍首相は、安保法制=戦争法の成立を受け、昨年11月の日米首脳会談で、南シナ海問題で日米の連携を強化し、自衛隊の派遣について「検討する」と表明しました。この地域での戦争法の発動は、事態の解決に貢献しないだけでなく、軍事的緊張を高める結果にしかならないことを、強く警告しなければなりません。

戦争法への「平和的対案」=「北東アジア平和協力構想」を高く掲げて

 北東アジアの平和と安定をどう築くか。日本共産党は、どんな問題も外交的解決に徹する、そのために憲法9条の精神に立った平和の外交戦略を日本が確立することを訴え、次の内容で、「北東アジア平和協力構想」を提唱してきました。

 (1)北東アジア規模の「友好協力条約」を締結する。(2)北朝鮮問題は、困難はあっても「6カ国協議」の枠組みで解決する。(3)この地域に存在する領土に関する紛争問題をエスカレートさせない行動規範を結ぶ。(4)日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は、地域の友好と協力のうえで不可欠の土台となる。

 これは、ASEAN諸国が東南アジアで現に実践している地域の平和協力の枠組みを北東アジアにも構築しようというものです。この「構想」は、安保法制=戦争法に対する「平和的対案」として、戦争法が施行されたもとで、いよいよ重要となっています。

 私たちは、2年前の「構想」発表以来、その実現のために関係各国との対話を続け、アジア政党国際会議(ICAPP)総会など国際舞台でも紹介し、賛同を広げてきました。私は、一昨年、昨年と、韓国を訪問する機会があり、大学での講演や各界との交流のなかで、「構想」を紹介してきましたが、大きな反響と共感が寄せられました。「この『構想』を実現するために、日本共産党に早く政権与党になってほしい」という期待の声もありました。昨年10月の韓日議員連盟の幹部との会談では、韓国の与党、野党双方の議員から「望ましい方向」「良い考え」との賛意が示されたことを報告しておきたいと思います。

 憲法9条を生かした戦争法への「平和的対案」=「北東アジア平和協力構想」を高く掲げ、日本共産党の躍進を堂々と訴えぬこうではありませんか。

なぜ日本共産党の躍進か――三つの値打ちを語ろう

 参議院選挙で、日本共産党は、野党共闘の成功のために力をつくしながら、党の躍進を必ず勝ち取るために全力をあげて奮闘します。そのさいに日本共産党の値打ちをどう押し出すか。次の三つの観点を重視してたたかいます。

安倍政権の暴走に確かな足場を持って対決し、転換の展望を指し示す党

 第一は、「安倍政権の暴走に確かな足場を持って対決し、転換の展望を指し示す党」ということであります。

 たとえば安保法制=戦争法廃止という課題を考えてみますと、この法制の本質は、昨年4月の日米新「ガイドライン」の具体化であり、日米軍事同盟のこれまでとは質的に違う侵略的強化ということにあります。ですから、戦争法を廃止することは、異常な「アメリカいいなり政治」を打破していくきわめて重要な一歩となります。それだけに、この事業を実行するには、日本国民多数の世論と支持を背景に、この法制にしがみつこうとする内外の抵抗を打ち破る、断固たる決意が必要とされるでしょう。異常な「アメリカいいなり政治」の根源――日米安保条約を国民多数の合意で廃棄することを綱領に掲げている日本共産党の躍進は、戦争法を廃止する確かな力となります。

 すでにのべてきたように、暮らしと経済の問題でも、TPP問題でも、原発問題でも、沖縄問題でも、外交問題でも、日本共産党は、安倍政権の暴走政治に正面から対決する確固たる立場をもっています。同時に、「格差をただし、経済に民主主義を確立する『三つの改革』」、「2030年までに再生可能エネルギーを4割に」、「北東アジア平和協力構想」など、暴走政治に代わる抜本的対案を示しています。日本共産党の躍進は、どの分野でも、暴走を止め、転換をはかる確かな力となります。

 異常な「アメリカいいなり」と「財界中心」を特徴とする自民党政治を根本から変える綱領を持つ党、「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」と綱領に明記している党――日本共産党の綱領の値打ちを縦横に訴えぬこうではありませんか。

国民の共同、野党の共同を何よりも大切にし、共同の力で政治を変える党

 第二は、「国民の共同、野党の共同を何よりも大切にし、共同の力で政治を変える党」ということであります。

 社会発展のどんな段階も、一致点にもとづく共同の力――統一戦線の力で政治を変えるというのは、日本共産党の綱領路線の一貫した立場であります。この立場があったからこそ、立憲主義の破壊という非常事態にさいして、「野党は共闘」を求める市民の声にこたえ、「国民連合政府」の「提案」とそれにもとづく野党共闘という新しい方針に踏み出すことができたのであります。

 この方針にもとづいて、わが党が、中央段階でも、地方段階でも、野党・市民の共闘のために、誠実に力をつくしてきたことは、野党共闘の前進に貢献するとともに、国民のわが党を見る目に大きな変化をつくりだしていると思います。「国民の共同で政治を変える党」――この党の値打ちを大いに語ろうではありませんか。

 今回のわが党の野党共闘の方針が力を持ちえたのは、2013年参院選、14年衆院選など、この間の国政選挙での連続躍進のたまものであります。この連続躍進があったからこそ、わが党の提案と方針が、一定の現実性をもって受けとめられているのだと思います。日本共産党が、参院選でさらに躍進を勝ち取ることは、政党間の力関係をさらに前向きに変え、野党共闘を前進させる最大の貢献となるでしょう。

 私たちがいま進めている野党・市民の共闘は、参議院選挙で終わるものではありません。衆参両院の選挙で自公と補完勢力を少数に追い込み、安倍政権を倒し、それに代わる野党連合政府を樹立し、「安保法制=戦争法廃止、立憲主義回復」という大仕事をやりとげるまで、野党・市民の共闘を発展させなければなりません。

 「力あわせ、未来ひらく。」――野党・市民の共闘を何よりも大切にする日本共産党の躍進で、日本の政治を変えようではありませんか。

安倍政権に代わる責任ある政権構想――「国民連合政府」を提唱する党

 第三は、「安倍政権に代わる責任ある政権構想――『国民連合政府』を提唱する党」ということであります。

 4野党間では、安倍政権に代わる野党政権についての合意はまだつくられていません。しかし、情勢の進展のなかで、どの野党にとっても、どういう政権構想をもつかは、いやおうなしに問われてくる問題になるでしょう。

 参議院選挙が単独で行われた場合でも、次の国政選挙は衆議院選挙であり、そこでは野党がどういう政権構想を持つかは、いよいよ避けて通れなくなります。仮に衆参同時選挙となれば、ただちに野党の政権構想が問われることになります。

 日本共産党は、この問題について確かな答えをもっています。私たちは、なぜ「国民連合政府」か、その目的と性格について詳細に明らかにしてきました。

 ――本気で、安保法制=戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を撤回しようとすれば、それを実行する政府が必要であること。

 ――本気で、安倍政権を打倒しようとすれば、それに代わる政権構想を野党が責任をもって示すことが必要であること。

 ――この政府は、「戦争法廃止、立憲主義回復」の一点を基礎にした暫定的性格をもつ政府ですが、他の国政上の課題についても、「相違点は横に置き、一致点で合意形成をはかる」という原則で対応するならば、国民に責任をもった政権運営を行うことは十分に可能であること。

 ――などであります。

 私たちは、「国民連合政府」は「これしかない」という必然性をもった「提案」であり、これこそが、安倍政権に代わる現実的で合理的な政権構想であると確信しています。日本共産党の躍進で「国民連合政府」の扉をこじ開けよう――このことを大いに訴えて選挙戦をたたかおうではありませんか。

野党・市民の共闘を妨害する攻撃を打ち破る

 政府・与党は、野党共闘の前進に深刻な危機感をもち始めており、さまざまな攻撃を開始しています。日本共産党は、他の野党、市民の運動と力をあわせて、不当な攻撃を打ち破るために全力をつくします。

「野合」攻撃に答える――市民の声にこたえ、国民的大義にたった共闘

 攻撃の一つの焦点は、「政策が違うものが協力するのは『野合』だ」という攻撃であります。何の理念もなく権力維持のためにだけ結びついている自民・公明に「野合」という非難をする資格などありません。だいたい野党のこの間の協力の動きは、市民の「野党は共闘」を求める声にこたえたものであります。市民の声にこたえた行動が「野合」であるはずがないではありませんか。

 野党は、「安保法制廃止、立憲主義を取り戻す」という大義のもとに結束しています。「立憲主義を取り戻す」という仕事は、あれこれの政策とは次元が異なる、国の土台を再建する仕事であります。まともな民主政治の土台、まともな政策論争を行う土台を回復しようというものであります。それは、政策の違いを横に置いても追求すべき、国民的大義がある仕事であることは、明瞭ではありませんか。

反共攻撃は、野党・市民の共闘への攻撃――力あわせ打ち破ろう

 攻撃のいま一つの焦点は、野党共闘を推進する日本共産党そのものに対する攻撃であります。この間、安倍政権は、日本共産党を“暴力革命をめざす党”だと攻撃する答弁書を閣議決定しました。これが党の綱領路線を百八十度ねじまげ、歴史の事実を歪曲(わいきょく)した悪質なデマであることは、わが党が発表した論評「『議会の多数を得ての革命』の路線は明瞭――政府の『暴力革命』答弁書は悪質なデマ」(「しんぶん赤旗」3月24日付)ですでに詳細に明らかにしている通りです。

 政府答弁書に対して、識者やメディアからも「古色蒼然(そうぜん)」「時代錯誤」「自民陣営の焦りのあらわれ」「市民への威圧、攻撃」という批判がわき起こったことは重要であります。こうした反共攻撃は、ひとり日本共産党への攻撃にとどまらず、野党・市民の共闘への攻撃、日本の平和と民主主義への攻撃にほかなりません。野党・市民の共同の力で、不当な攻撃を断固として打ち破ろうではありませんか。

 同時に、私たち自身の努力として、党の歴史、路線、理念の全体像を大いに語り、党への理解と支持を広げるために全力をあげて奮闘するものであります。

3、選挙戦の宣伝・組織活動をどうすすめるか

 報告の第三の主題は、選挙戦の宣伝・組織活動をどうすすめるかについてであります。

かつてない情勢のもとで、かつてない挑戦――どういう構えでたたかうか

 きたるべき参議院選挙は、わが党にとっても、かつてない情勢のもとでの、かつてない挑戦の選挙戦となります。

 次の四つの構えを堅持して勝利・躍進のためにたたかいぬきます。

野党共闘の勝利と、「比例を軸」にした日本共産党躍進を一体に追求しよう

 第一は、野党共闘の勝利と、「比例を軸」にした日本共産党の躍進を一体に追求することであります。

 いまわが党が、本気になって、安保法制=戦争法廃止、立憲主義回復のために野党共闘を推進していることに、これまでにない多くの人々からの共感と支持が寄せられています。野党共闘の成功のために最後まで誠実に力をつくすとともに、わが党がこの問題でとっている基本姿勢を国民に広く伝えていくことが重要であります。

 同時に、「全国は一つ」で、「比例を軸」に、「850万票以上、15%以上」の得票を獲得し、8議席絶対確保と9議席への挑戦をやりぬきましょう。「比例代表は日本共産党」と政党名での投票を呼びかけます。第1次比例候補8人に市田忠義副委員長を加えた「ベスト9」のチームを、全国の力を一つに集めて必ず国会に押し上げようではありませんか。この9人の比例候補の当選を保障するために、党員は候補者名で投票します。8人については活動地域ごとに候補者名で投票し、市田副委員長については中央として必要な措置をとることとします。

 比例区と複数定数の選挙区では、「野党は競い合って自民・公明と補完勢力に打ち勝つ」という立場で、大激戦を競り勝ち、日本共産党の躍進を勝ち取るために、全力をあげてたたかいぬきます。

 1人区で野党統一候補が実現した選挙区では、「選挙区は野党統一候補、比例は日本共産党」と訴えてたたかいます。選挙区候補から第2次比例候補となった同志を先頭に、野党共闘の勝利のために誠実かつ献身的に奮闘するとともに、この取り組みのなかで生まれている比例選挙での躍進の新しい条件・可能性をくみつくして奮闘します。

「政治は変えられる」という希望を広げ、空前の規模で働きかけよう

 第二は、「政治は変えられる」という希望を広げ、空前の規模での働きかけを行うということであります。

 今回の選挙は、野党共闘が前進するもとで、「政治は変えられる」「自分の一票で政治を動かせる」という希望が広がり、有権者の投票行動に大きな変化が生まれてくる可能性があります。無党派層、従来の保守層、これまで投票に行かなかった人々が、新しい政治を模索し、新しい政治を求めて、大きく動きだす可能性があります。そうした選挙戦の新しい様相にふさわしく、文字通りすべての有権者を視野に入れ、空前の規模で宣伝・組織活動を展開しようではありませんか。

 これまでにない広範な人々から日本共産党への注目・関心が高まり、わが党に心を開こうとしているとき、私たちがメッセージの伝え方という点でも、自己改革をはかることが大切であります。伝えたい相手への敬意を持ち、主権者が隣の主権者に伝えるような対等な目線で、自分の言葉を大切にして、大いに語り合おうではありませんか。

 スマートフォンの利用率は、全世代で6割を超え、20代では9割を超えています。選挙活動のなかで、ネット・SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での発信をこれまで以上に重視し、従来の宣伝・組織活動とネット・SNSでの発信とが相乗的に効果を発揮するよう力をつくしましょう。

「市民・国民とともにたたかう」、壮大な選挙戦を展開しよう

 第三は、「市民・国民とともにたたかう」、かつてない壮大な選挙戦を展開するという構えで臨むということであります。

 あらゆる分野で市民運動、国民運動を発展させつつ、選挙にのぞむことが大切です。戦争法廃止の2000万人統一署名をやり抜き、この問題を文字通り参議院選挙の大争点に押し上げましょう。消費税、TPP、原発、沖縄など、切実な願いでの「一点共闘」をさらに発展させるために、その一翼を担って奮闘しましょう。

 「市民連合」は、選挙区選挙では1人区で野党統一候補を推薦するとともに、複数区ではその定数の枠内で「市民連合」の目的――「安保法廃止、立憲主義回復、個人の尊厳の擁護」に賛成する候補者を推薦するとしています。「市民連合」、さまざまな市民運動と力をあわせ、野党・市民共同の壮大な選挙戦に挑戦しましょう。

 「比例を軸」にたたかううえで、後援会活動は特別に重要であります。後援会活動を新たな情勢にふさわしく発展させるとともに、全国各地で生まれている日本共産党とその候補を支援する自主的、自発的な動きを大切にし、連携してたたかいましょう。

若い世代への働きかけを思い切って活動全体の柱にすえよう

 第四は、18歳選挙権が施行される初の国政選挙で、若い世代への働きかけを思い切って活動全体の柱にすえることであります。

 昨年来の戦争法反対の国民的運動のなかで、若い世代が素晴らしい役割を果たしています。こうした運動が広がるなかで、NHKが1月に発表した18・19歳の世論調査では、87・3%が「いまの政治が変わってほしい」と答えていることは注目されます。

 世論調査では、若者の多くが支持政党なしと答えていますが、日本共産党に接したところでは、偏見なく、新鮮な注目と評価が寄せられます。党の国会論戦や行動が、SNSで拡散され、それを目にした若者に共感が広がる状況があります。

 若い世代のなかで日本共産党躍進の大きな波をつくりだす条件が広がっています。政治について考え始めつつも、まだ政治との距離を感じているという若者にも、手にとってもらい、読んでもらい、ともに考えることができるよう、若者の言葉で語りかける――こうした立場で、学費・奨学金、ブラック企業、最低賃金、平和と民主主義などでの党の立場を伝える、若者むけのパンフレットを仕上げました。思い切った活用をお願いしたいと思います。

「支部が主役」で五つの活動の具体化・推進をよびかける

 この歴史的政治戦に、「支部が主役」で、文字通りすべての党員が参加することを、心から訴えます。次の五つの活動の具体化・推進をよびかけます。

 1、すべての党支部で、「850万票以上、15%以上」にみあう得票目標、支持拡大目標をもって活動をすすめましょう。全党員に声をかけ、緊急の支部会議を開き、5中総決定を議論し、それを具体化した「政策と計画」をもちましょう。たまり場を決め、臨時電話を設置し、選挙ボランティアをつのり、選挙をたたかう臨戦態勢をつくりましょう。

 2、大量政治宣伝で、日本列島のすみずみに日本共産党の風を吹かせましょう。ポスターを一枚のこらず張り出しましょう。政党ポスター「力あわせ、未来ひらく。」を4月中に一気に張り出しましょう。宣伝カー・ハンドマイクのフル稼働で町の雰囲気を一変させましょう。「しんぶん赤旗」特別号外、全戸号外を一枚残らず配布しましょう。

 3、「全国は一つ」「比例を軸に」を貫いて、ただちに対話と支持拡大の飛躍をつくりましょう。4・5月で得票目標を上回る対話と支持拡大を必ずやり遂げ、天井知らずに広げましょう。「マイ名簿」を生かし、結びつきを生かした運動、「声の全戸訪問」、「折り入って作戦」など、試されずみの活動を、演説会や「集い」を節に大きく発展させましょう。

 4、党勢拡大の上げ潮を必ずつくりだし、新しい活力を党に迎え入れながら選挙戦をたたかいましょう。すべての支部が、「世代的継承」「党勢倍加」という「二大目標」を具体化し、この5中総を起点にして、新しい党員を迎えて参院選をたたかいましょう。「しんぶん赤旗」読者では、前回参院選時の回復・突破に、目標と期日を明確にして挑戦しましょう。すべての有権者を視野に入れた大量宣伝・組織活動に取り組むことと一体に、読者拡大の独自の追求をはかり、歴史的選挙戦を読者拡大でも上げ潮のなかでたたかいましょう。

 5、供託金・選挙募金の一大運動に取り組むことをよびかけます。企業・団体献金も政党助成金も受け取らない党の姿を訴え、広く募金をよびかけましょう。党費納入の向上を軸に、党の質的強化と一体に募金活動を強化しましょう。

やるべきことを、やるべき期日までにやりきって、勝利・躍進の道を開こう

 この間、日本共産党が、安保法制=戦争法廃止、立憲主義回復、安倍政権打倒という大義の旗を掲げて野党共闘前進のために粘り強く努力を重ねるもとで、党と国民との関係が劇的に変化し、参議院選挙で日本共産党が躍進する条件は間違いなく広がっています。

 同時に、いくら条件が広がったとしても、わが党の主体的な働きかけが届かなければ、党の得票と議席には結びつきません。やるべきことを、やるべき期日までにやりきってこそ、勝利と躍進への道が開かれます。

 冒頭に述べたように、きたるべき参議院選挙は、戦後かつてない新しい歴史的局面が生まれるもとで、日本の戦後政治史のなかでも初めて野党と市民が力をあわせてたたかう歴史的選挙となります。

 投票日まで3カ月です。一日一日が歴史を分ける重要な日々となります。力あわせ、選挙に勝ち、安倍政権を倒し、新しい政治、新しい政府への道を開こうではありませんか。全党のみなさんの悔いない奮闘を心から訴えて、報告を終わります。


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