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2016年2月13日(土)

重力波を初検出 米国チーム発表

新たな宇宙の姿解明へ

アインシュタイン予言から100年

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 米国のカリフォルニア工科大学とマサチューセッツ工科大学を中心とする国際観測チーム「LIGO(ライゴ)」は11日(日本時間、12日未明)、二つのブラックホールが合体することによって生じた「重力波」の直接検出に成功したと発表しました。重力波はアインシュタインが存在を予言していましたが、今まで検出されたことはなく、「ノーベル賞」級の成果といわれていました。新たな宇宙の姿解明へ可能性を広げるものです。


写真

(写真)重力波のイメージ。何もない平たんな空間(左)に、星が存在するとその重さで空間がゆがみます(中央)。重い星が加速度運動すると重力波が発生し光速で広がります。右は、双子の中性子星が互いの周りを回り、合体するときの重力波(東京大学宇宙線研究所のパンフをもとに作成)

(拡大図はこちら)

 ライゴは、長さ4キロメートルの真空のパイプを2本直交させた装置です。パイプ内でレーザー光線を往復させ、両端間の光の到達時間を精密に計っています。質量をもつ物体が運動することによって時空(時間と空間)のゆがみが宇宙空間を波のように伝わる「重力波」がやって来ると、それぞれのパイプ内を往復しているレーザー光線の到達時間が異なるようになります。

 観測チームによると、米国西部ワシントン州と南部ルイジアナ州に二つある装置で昨年9月14日、重力波が到達したとみられる信号を捉えました。二つの装置で、ほぼ同じ時刻に同じ信号を捉えたことから、観測チームは重力波を検出したと判断。信号を解析した結果、13億年前に、太陽の29倍の質量をもつブラックホールと36倍の質量をもつブラックホールが合体したときに生じた重力波だと推定しました。

 ライゴの二つの装置は2002年から観測を開始していましたが、10年から感度を上げるための改造に取り組み、昨年9月から観測を再開していました。日本では、東京大学宇宙線研究所などが岐阜県の神岡鉱山地下に、長さ3キロメートルの真空のパイプを直交させた重力波検出装置「KAGRA(かぐら)」をつくり、観測開始を目指しています。

 米国チームの成果について、かぐらチームは12日に記者会見を開きました。代表を務める梶田隆章・宇宙線研所長は、今回の発見を心から祝福すると述べ、「重力波と一般相対性理論の研究者が待ち望んでいた歴史的快挙だ。エキサイティングな時代に入った」とたたえました。

 さらに梶田氏は、重力波の観測が実証された意義を強調。かぐらを一刻も早く完成させて重力波の国際観測ネットワークに参加し、かぐらの特長を生かして双子の中性子星の合体によるブラックホール誕生の瞬間を検出することにも挑戦したいと意気込みました。


 重力波 質量をもつ物体の運動で、周囲の空間に生じたゆがみが光速で波のように伝わる現象。100年前にアインシュタインが一般相対性理論で存在を予言しましたが、アインシュタイン自身、あまりに微弱なため、観測が困難と考えていたといいます。米国のハルスとテイラーは、双子の中性子星が放つ周期的な電波を観測し、周期の変化が重力波放射から予想される変化と一致することをつきとめました。これは重力波の存在を示す間接的証拠とみなされ、1993年のノーベル物理学賞を受賞しました。


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