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2016年1月29日(金)

女性差別撤廃条約 現状を7年ぶり国連審議へ

進まぬ日本政府の取り組み

婦団連・柴田真佐子会長に聞く

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 日本の女性差別を改善する動きはどこまで進んだでしょうか。この2月、女性差別撤廃条約にもとづいて、日本の現状と政府の取り組みが7年ぶりに国連で審議されます。日本婦人団体連合会(婦団連)の柴田真佐子会長に条約の意義や審議の焦点について聞きました。 (聞き手 玉田文子)


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 日本が女性差別撤廃条約を批准した1985年以来、政府は女性差別撤廃の取り組みについて報告を定期的に国連に提出してきました。(図)

 この報告を審議する国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が、2月にジュネーブで、日本政府の提出した第7回と8回の報告を審議することになっています。

 審議結果は「総括所見」として公表され、ここで指摘された内容が、次の報告までに締約国が取り組む課題になります。

 前回2009年の「総括所見」で日本政府は、多くの分野にわたって48項目の懸念と改善すべき課題について勧告を受けました。(別項)

■民法規定

 そのうち進展した課題は、2013年の婚外子相続分規定の改正など、一部のみです。日本政府による差別是正は進んでいないのが現状です。

 とりわけ前回の「総括所見」で、2年以内の追加報告を求められた課題が二つあります。

 一つは、民法など法律に残された差別規定の撤廃です。二つ目は、雇用および政治的・公的活動、政策決定過程への女性の参加拡大のための積極的改善措置の実施です。

 民法改正について、CEDAWは、▽男性18歳・女性16歳という婚姻年齢を男女ともに18歳にする▽女性のみに課している6カ月の再婚禁止期間の撤廃▽選択的夫婦別姓制度の導入―の3点を求めています。

 日本政府は第7回・8回報告でも「議論の裾野を広げる」という記述にとどまり、改善の具体策を示していません。前々回審議(03年)から勧告されていますが、遅々として進んでいません。

 昨年末、民法の夫婦同姓の強制について最高裁は「違憲」と判断しませんでした。しかし、選択的夫婦別姓にむけた議論をするように国会に要請しています。この実施にむけて、世論を広げる必要があると考えています。

■参加拡大

 次に、あらゆる分野における女性の参加拡大のための積極的改善措置の実施です。国連は2030年までに、あらゆる分野の女性参画割合を50%に引き上げることを求めています。

 日本政府は1999年に、男女共同参画社会基本法を制定しました。第7回・8回報告では、この法律にもとづく基本計画を策定し、各分野に女性参画を働きかけていると強調しています。

 しかし、ここでも実態は大変遅れています。

 政治分野では、国会の女性議員割合が、列国議会同盟の2015年結果報告によると衆議院は9・5%で世界153位の最低クラスです。雇用分野では、非正規雇用化や妊娠・出産を契機にした離職など、女性が働き続けることが困難な状況が深刻化しています。

 「報告制度」は、各国の状況を把握するために重要な制度です。そのために政府だけでなく、NGO(非政府組織)からの報告も広く受け入れています。政府報告とは異なる角度のリポートを審議に生かしています。

 日本には、この条約実施のために専門的に活動するNGOがあります。婦団連や新日本婦人の会なども加わる日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)です。JNNCは、日本国内のさまざまな団体が参加し、リポート作成や審議傍聴、「総括所見」実施状況の監視を行っています。

 婦団連はJNNCの一員として、来月の審議の傍聴・ロビー活動に参加します。婦団連で作成したリポートも提出済みです。

 婦団連リポートでは、政治参画、雇用など10分野にわたる日本の現状を報告しています。

 婦団連は、個人通報による救済を認める選択議定書の批准、民法の差別的規定の撤廃、「慰安婦」問題の解決にむけて署名運動に取り組んできました。

 また、家族従業者の労働に対する報酬を必要経費として認めない所得税法56条の廃止や雇用、医療、教育、農業などあらゆる分野の女性の地位向上を求めています。

 日本の女性差別是正に十分な進展が見られない背景には、条約を軽視し、実施に真剣に取り組まない政府の姿勢があります。

 差別是正は運動がないと前進しません。婦団連は、さまざまな人びとと連帯して女性の人権確立に向けて、今後もさらに運動を強めていきます。

2009年の「総括所見」で受けた主な勧告

 ●民法の差別的な法規定の撤廃

 ●暫定的特別措置

 ●条約選択議定書の批准

 ●「慰安婦」問題の解決

 ●女性に対する暴力

  保護命令の発令迅速化、24時間の無料ホットラインの開設

 ●雇用

  男女の賃金格差をなくすための具体的な措置、妊娠・出産による違法な解雇を防止する措置、セクハラに対する制裁措置


 女性差別撤廃条約 1979年に国連で採択された女性の権利全般を規定した条約です。189カ国が批准。日本は85年に批准しました。条約は、社会、経済、文化、政治の「あらゆる分野」における男女平等達成に必要な措置をとることを締約国に要求。撤廃の対象は、「法律上の差別」だけでなく、慣習・慣行による「事実上の差別」も含まれます。また、条約は「報告制度」を規定し、締約国が取り組む是正措置を定期的に国連に報告する義務を課しています。

図
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