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2016年1月16日(土)

主張

衆院選挙制度答申

道理ない定数削減前提は論外

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 衆議院の選挙制度について、衆院議長の諮問を受けて検討してきた調査会が答申をまとめ、大島理森議長に提出しました。選挙制度の抜本改革には背を向け、現行の小選挙区比例代表並立制を前提に、総定数を過去最低の465に削減するとしています。最大の問題は答申自体が定数を削減する「積極的な理由や理論的根拠は見出し難い」としながら、定数削減を前提にしたことです。定数削減は民意の切り捨てにつながります。定数削減を前提にせず、選挙制度の抜本改革に踏み出すべきです。

議員定数は過去最低に

 現在の衆院の選挙制度は、総定数が475です。20年前に導入された小選挙区比例代表並立制によって295議席は1選挙区で1人しか当選しない小選挙区で、180議席は全国を11ブロックに分けた比例代表選挙で選ばれます。現行制度で民意が議席に正しく反映する唯一の制度が比例代表ですが、小選挙区より選ばれる議席が圧倒的に少なく、しかも発足時より20も削減されたため、民意が届きにくくなっています。

 調査会の答申が議員定数について、「国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い」としながら、小選挙区を6、比例代表を4、全体で総定数を10削減するとしたことは重大です。自ら根拠のなさを認めながら「多くの政党の選挙公約」を理由に削減を認めるというのは支離滅裂であり、調査会としての役割を果たしていません。

 日本国憲法が前文で、「権力は国民の代表者がこれを行使」するとし、第43条で「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」としているように、国民の声が国政に反映され、正しく権力が行使されるには、一定の議員定数が不可欠です。答申が求めた議員定数465は、戦後定数が最も少なかった1946年当時の466さえ下回ります。当時に比べれば有権者の数が3倍近くになっているのに定数が同じというだけでも、国民の権利が正しく保障されていないのは明らかです。

 答申も認めるように、日本の国会議員定数は国際的にみても最も少ない状態です。国会議員1人当たりの人口数では27万人近くで、イギリスやイタリアの9万人台とは約3倍もの開きがあります。国会議員の数が少なければそれだけ国民の声が国政に届きにくくなるのは明らかで、少ない定数をさらに削減すれば、国民の意思を国会から締め出すことにしかなりません。定数削減を前提にした選挙制度改革は直ちにやめるべきです。

民意とのかい離なくせ

 現行の選挙制度の最大の問題は定数が多すぎることではなく、国民の意思と国会の構成がかい離していることです。現行制度は導入当時から国民の意思が正しく反映せず、大政党に有利になると強い批判を浴びてきました。これまでの総選挙をみても、第1党になった政党は小選挙区で4割台の得票で約8割の議席を占めています。

 そのうえ小選挙区の区割りのため地域が細分化され、人口の変動で選挙区ごとの「1票の格差」がなくなりません。定数調整を繰り返しても格差は解消できません。

 現行制度の弊害は放置できない状態です。定数削減を前提とせず制度の改革を進めるべきです。


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