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2016年1月13日(水)

主張

マイナンバー始動

不安と懸念は深まるばかりだ

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 日本国内に住民登録している人全員に12桁の番号を割り振り、国が一元管理するマイナンバー制度の運用が、今月から始まりました。市区町村の窓口での社会保障や税の手続きの一部などで番号提示が求められます。本人に番号を知らせる「通知カード」を届ける作業は完了のめどすらありません。自分の番号を知ることが制度運用の大前提だというのに、それすらできない人が膨大に残されていること自体、制度の矛盾です。こんな状態で国民のプライバシーに直結する制度の“見切り発車”は、あまりに危険です。

未通知も解消しておらず

 自治体の窓口では4日から、児童手当申請や国民健康保険の加入手続きなどで、書類に個人番号の記入を求めることを始めました。しかし、それを知らずに手続きにくる人が各地で相次いでいます。周知されてない仕組みに住民は戸惑い、自治体職員は窓口での説明や対応に追われる事態です。

 そもそも全住民を対象にした制度を掲げながら、いまだに全国で約550万世帯に「通知カード」が届いていないことが大問題です。

 自分の番号を手にできないのは、さまざまな事情で住民登録した住所を離れている人たちです。施設に入っている高齢者、家庭内暴力から逃れている人、長期にわたる出張で帰れない人…。東日本大震災による避難者も数多く含まれています。これらの人たちが「通知カード」を受け取ることが困難なことは、政府も当初から分かっていたはずです。それにもかかわらず一方的に「通知カード」を送り付けたことは、暮らしの実態を見ない、乱暴なやり方です。

 未通知問題を解決するめどもないのに、今週から、希望者に個人番号と顔写真などが記載された「個人番号カード」を交付する作業が自治体窓口で本格化します。

 この手続きが混雑と混乱に拍車をかける恐れがあります。申請者が本人かを確認する複数の書類チェックなどが必要で手間がかかります。届け出た写真の本人確認のため画像ソフトを使った「顔認証システム」も導入するとしています。同システムは顔写真がデータに蓄積され、他目的でも利用される危険もあるため、「プライバシーの侵害」との懸念も出ています。

 個人番号カードは、いまのところ身分証明以外にほとんど使い道はありません。多くの個人情報が集積されている個人番号カードを持ち歩く方がよほど危険です。紛失・盗難にあえば、詐欺や「なりすまし」などに悪用されかねません。メリットがないばかりか、持つ方がリスクを高めるカードの普及と活用の拡大ばかりに力を入れる政府の姿勢は、個人情報をリスクにさらすものでしかありません。

必要なのは中止・凍結

 昨年、日本年金機構から膨大な個人情報が漏れ大問題になりました。政府が個人情報を一元管理することにたいする国民の不信と不安はなんら払拭(ふっしょく)されていません。個人情報はいったん流出すれば、被害の回復はきわめて困難です。

 マイナンバーは、徴税強化や社会保障費抑制を狙った政府の動機から出発したもので、国民には不利益ばかりです。矛盾と問題点が次々と浮き彫りになるなか、本格運用を加速するのでなく、マイナンバー制度は中止・凍結し、廃止への検討を行うことが必要です。


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