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2016年1月12日(火)

国立大学の運営費交付金

17年度以降は毎年削減

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図

 政府は2016年度予算案で国立大学の運営費交付金を15年度と同額の1兆945億円とし、17年度以降は毎年削減する算定ルールを決めました。

 文科省の説明によると、16年度から始まる第3期中期目標期間(6年間)は、毎年、人件費など最も基盤的な経費にあてる基幹運営費交付金をいったん約1%にあたる約100億円を削減して財源をつくり、その半分の50億円程度を教育研究活動の「機能強化」のための改革に取り組む大学に再配分する、三つの重点支援区分(別項)を新設します。民間資金の獲得割合を上昇させた大学に対し、より多く重点支援するとしています。

 残りの財源を使って大学の組織改革に必要な設備などにあてる補助金を17年度に新設するとしています。

 私立大学への経常費補助も15年度と同額の3153億円に維持し、国立大学と同様に「経営力の強化」にむけた改革を進める大学に重点的に支援するとしています。

【三つの重点支援区分で異なる削減率】

・重点区分(1)(弘前大学など55大学)=地域のニーズに応える教育研究(削減率0・8%)

・重点区分(2)(東京芸術大学など15大学)=分野ごとの優れた教育研究(削減率1・0%)

・重点区分(3)(東京大学など16大学)=卓越した教育研究(削減率1・6%)


解説

穴埋めに学費値上げも

2016年度の国立大学運営費交付金が前年度と同額となり、04年の国立大学法人化以降に続いてきた交付金の連続削減には歯止めがかかることになりました。国立大学協会をはじめ大学関係者がかつてなく声を上げたことによるものです。

 その一方で、人件費や光熱水費など教育研究を実施するうえで必要とされる最も基盤的な経費に充てる基幹運営費交付金を毎年約1%、100億円を削減するルールを導入したことは重大です。削減額は、学生1人当たり毎年約1万6千400円になります。

 各国立大学は、16年度から6年間の中期目標・計画を作成中ですが、17年度以降の5年間で5百億円、学生1人当たり8万2千円の削減となります。

 毎年削減される100億円の半分を「機能強化経費」に再配分するとし、残りの財源で設備整備むけの補助金を新設するとしていますが、これらは人件費などの基盤的な経費に充てることはできません。ある地方大学の学長は、「これでは教職員数を削減するしかない」と語っています。

 交付金削減の穴埋めのために、民間企業からの研究費獲得に血道を上げざるをえません。しかし、これは容易ではなく、できない大学は学費値上げに踏み切らざるをえなくなります。

 「15年間で学費40万円値上げ」問題の発端となった昨年10月26日の財政制度等審議会で財務省主計官は、「まず先に運営費交付金について1%減額といったような目安を置くことにより」大学に自己収入増のインセンティブ(動機)をあたえるべきだと語っていました。今回決まった算定ルールは、財務省の狙いどおりのものです。

 引き続き「大学予算削減反対、学費値上げ許すな」の世論と運動を広げる必要があります。

 (土井誠・党学術・文化委員会事務局次長)


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