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2015年12月28日(月)

主張

ASEAN共同体

東アジア平和体制を築く力に

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 東南アジア諸国連合(ASEAN)が31日にASEAN共同体を発足させます。ASEAN共同体は、政治・安全保障共同体、経済共同体、社会・文化共同体という互いに強化し合う三つの柱で構成されます。ASEAN10カ国の首脳は11月、共同体設立宣言に署名し、ASEANを平和、強靱(きょうじん)で開かれた共同体、国民本位の共同体としていく決意を示しました。

地域統合の重要な節目

 正式発足後もASEANの共同体づくりは継続されます。2025年までのビジョンと行程表も採択されました。共同体発足は、世紀をまたぐ東南アジアの地域統合の重要な節目であり、東南アジアのみならず、東アジア全体の平和と安定、経済的繁栄、社会進歩への積極的な寄与が期待されます。

 東南アジア5カ国がASEANを設立したのはベトナム戦争中の1967年でした。東南アジアは「戦場」で、大国の干渉や紛争に悩まされ、地域の国々は分断されていました。「平和、自由、社会正義、経済的幸福という長年の理想を達成する最良の道は、歴史的・文化的な絆を持つ地域諸国間に、相互理解と善隣関係、有益な協力を育むことだ」(設立宣言)。ASEAN諸国は、こうした理念を胸に対話と協力を進め、地域統合に向かう道を選び歩んできました。

 東南アジアは今日、大きく姿を変えました。加盟国首脳からは「ASEANなしに、今日のように平和な地域に私たちは暮らしていただろうか。同様の生活水準に達していただろうか。答えは間違いなく『ノー』だ」(マレーシアのナジブ首相)と感慨が語られています。

 東南アジアの平和と安全保障に関するASEANの功績は明瞭です。ASEANは76年、東南アジア友好協力条約(TAC)を締結し、相互に主権を尊重すること、武力を行使せず、いかなる紛争も平和的に解決すること、協力を進めることなどを規範としました。

 TACは、厳しい罰則で違反を抑止する条約ではありません。代わりにTACを土台に、平和と安全保障の仕組みを重層的に築きました。政治・安全保障問題を議論し、ルールを共有し、協力を進める多国間会合やメカニズム―南シナ海行動宣言(DOC)、ASEAN地域フォーラム(ARF)、東アジアサミット(EAS)などです。

 この地域には、南シナ海問題や大国の関与の増大など、難しい課題も存在します。しかしそれは外交努力を強める理由にはなっても、やめる理由にはなりません。11月の首脳会議でASEANは、南シナ海問題に関して結束した立場をとりまとめ、中国との南シナ海行動規範の締結などを通じて南シナ海の平和維持と外交解決へ前進を続ける意思を示しました。

軍事に頼らぬ取り組みに

 北東アジアを含む東アジアでも、ASEANが運転手役となり、平和と安全保障のメカニズムを構築する取り組みが続いています。日本、米国、中国、ロシアなどの大国を含む域外国がEASなどに参加し、ASEANの平和原則と中心的役割に同意を表明していることは重要です。共同体発足はASEANの結束を強め、東アジア全体で軍事に頼らない地域的な安全保障体制を築いていく取り組みにも力となります。日本共産党が提唱している「北東アジア平和協力構想」と響き合う道です。


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