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2015年11月30日(月)

空爆の強化ではテロなくならない

根本解決へ国際社会の結束した行動を

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 11月13日にパリで起きた同時テロ後、米仏政府などが過激組織ISに対する空爆強化の動きをとっている一方、テロ犠牲者遺族や米の元軍人、各国メディア、専門家などから「空爆でテロはなくならない」「戦争は答えとはならない」という批判が出ています。

■犠牲者遺族は

 「私は君たちに憎しみという贈り物を与えない。君たちはそれを求めていただろうが、憎しみに怒りで応じることは、君たちと同じ無知に屈することになる」

 パリ同時テロで妻を失ったフランス人ジャーナリスト、アントワーヌ・レリスさん(34)がテロ実行犯に向け、フェイスブックに投稿した文章は世界中の共感を呼んでいます。

 妻エレーヌさん(35)が銃撃に巻き込まれたのは、最大の犠牲者を出したバタクラン劇場。レリスさんには1歳5カ月の息子メルビルちゃんが残されました。悲しみを抱えつつ、レリスさんはつづっています。

 「私は息子と2人になった。だが、私たちは世界の全ての軍隊よりも強い」「このかわいい男の子の生涯が幸せで自由であることが君たちを辱めるだろう」

■元米空軍兵士は 

 米空軍の元兵士4人は18日、米国が“テロ対策”と称して世界各地で行っている無人機攻撃は罪のない民間人を多数殺害し、憎しみや怒りを広げるとする公開書簡を米大統領らに送りました。

 書簡では「パリでの攻撃のような悲劇を黙って傍観することはできない」と表明。同時に無人機攻撃などの空爆の強化について、「罪のない民間人を殺害していることは憎しみの気持ちをあおるだけで、その結果、テロリズムや過激組織ISのような集団を奮起させ、(戦闘員)獲得の重要な手段となっている」と指摘しました。

■研究者らは

 米シンクタンク「ブルッキングズ研究所」のジェレミー・シャピロ研究員は17日、「テロ犯罪者が望むのは、暴力をいっそうかきたて、恐怖と分断をもたらす対応」だと軍事攻撃強化によるテロ対策を批判しました。

 同時テロ後、空爆強化に乗り出した仏の対応についても、フランスはイラク戦争をはじめとした「米国の対テロ戦略の誤りと行き過ぎ」を目の当たりにしたはずと、イラク、アフガン戦争から教訓を引き出すべきであると指摘。「過去の経験から言って空爆はISの攻撃能力を弱めず、攻撃の動機を強めるかもしれない」と警告を発しています。

 トルコ紙ヒュリエト・デイリー・ニューズは15日付の論評で、「(フランスへの連帯を)もう一つの戦争に向かう理由にすべきではない」と強調しました。

■国際機関は

 トルコでは、同時テロ直後の15、16の両日、フランスを含む20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれ、「対テロ声明」を採択しました。このなかでは、「テロ行為は宗教や国籍、文明、人種と結びつき得ないし、結びつけるべきではない」「テロリストの資産に関する情報交換や凍結、資金調達の罰則化などにより、資金の経路に対処する」と宣言しました。

 国連安全保障理事会は20日、ISが「国際平和と安全にとって前例のない脅威」になっていると指摘し、「あらゆる手段でたたかう」という内容の決議を全会一致で採択しました。

 同時に、イラクやシリアへの外国人戦闘員の流入を止め、テロ組織の資金源を断つ努力を強めるよう国連加盟国に呼びかけました。

 決議は、ISに対する新しい制裁や軍事行動などの強制措置にはふれませんでした。


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