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2015年11月23日(月)

政権不在続くポルトガル

「反緊縮」政権樹立を

野党・労組が大統領に圧力

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 【パリ=島崎桂】過去5年間の緊縮政策により国民生活が急激に悪化したポルトガルで、政権不在が続いています。議会多数派となった左派系4党が「反緊縮」の新政権樹立を目指す中、首相任命権を持つ「緊縮派」のカバコシルバ大統領が、左派首相の任命を行わないためです。野党や労働組合は“国民の意思や議会多数派を無視するのか”と圧力を強めています。

 10月4日の同国総選挙では、緊縮派の保守与党・社会民主党が第1党を維持したものの、過半数割れに。他方で「反緊縮」で一致する社会党、左翼ブロック、ポルトガル共産党、緑の党が合計で過半数を得ました。

 社会民主党出身のカバコシルバ大統領は選挙後、同党のコエリョ首相に組閣を要請。それを受けて発足した第2次コエリョ政権は今月10日、野党が多数の国会で不信任となり、総辞職に追い込まれました。

 憲法は、大統領が任期の最初と最後の半年間は議会を解散できないと定めており、来年1月に任期切れとなるカバコシルバ氏にとって、「緊縮派」の復権を狙って再選挙することは不可能。来年前半までの間は同国での総選挙はなく、社会党のコスタ党首を首相に任命するか、コエリョ氏を暫定首相とするかの選択が迫られています。

 コスタ氏は、コエリョ氏を再任名するのは「最悪の選択だ」と批判し、自身の首相就任を要求。一方コエリョ氏は、再選挙を可能とする憲法改正を求めていますが、議会通過の見通しは皆無です。

 対欧州連合(EU)などの政策の違いが残る中、社会党政権への閣外協力に踏み切ったポルトガル共産党のソーザ書記長は19日、「左派4党は明確な多数派を握っている。(コスタ氏の首相指名をためらう)大統領の態度を正当化する口実は存在しない」と主張。4党が合意した年金額の凍結解除や最低賃金の増額による国民生活の回復に向け、左派新政権の早期樹立を求めました。

 労働者も圧力を強めています。

 同国最大労組、ポルトガル労働総同盟(CGTP)のカルロス書記長は19日、ロイター通信に対し、「大統領は、国民の意思や議会多数派の上に自らを置くことはできない」と主張。大統領の怠慢は「社会的な怒りを招く」と警告しました。また「緊縮策とのたたかいを約束したのに行動しない政府を国民は許さない」と社会党にもくぎを刺しました。

 同労組は、今月28日に大統領官邸前での大規模デモを予定しています。

 カバコシルバ氏は、各党党首や財界との会談を重ねていますが、「左派政権の樹立はポルトガルの信用や経済にとって悪影響」との考えに固執しており、同氏の姿勢次第では、次期大統領選まで現在のこう着状態が続く可能性もあります。


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