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2015年11月20日(金)

TPP付属「日米合意」

薬価制度協議を確認

日本の医療保険脅かす危険

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 環太平洋連携協定(TPP)の「大筋合意」に関して、日本がTPP対象から除外している医療機器の規制についてTPPと同程度の水準を維持し、将来の薬価制度について協議することを、日米間の合意文書で確認していることが19日までに明らかになりました。

 政府は「(医療分野などで)国内制度を一つも変えることはない」(甘利明担当相)と説明しますが、日本の医療保険を脅かす危険な火種となるものです。

 問題の文書は、医薬品・医療機器に関する協定付属書の適用について合意したもの。

 そこでは、日米が「医療機器の世界最大級の市場であり、かつ輸出者である」として、医療機器について「(付属書との)適合性の水準を維持する」と明記。TPPより厳しい規制などは認めない考えを打ち出しています。

 また、「付属書に関するあらゆる事項(関連する将来の保健制度を含む)について協議する用意があることを確認」として、付属書に盛り込まれた「医薬品の償還価格(日本では薬価)」の決定ルールについて協議を行うことを確認しています。

高薬価求める米国

 これまでも米国は、高薬価を保障する「新薬創出加算」の維持をはじめ、外国薬価が高くても日本の薬価が高くならないようにする「外国価格調整制度」や、売り上げが増えた場合に薬価を引き下げる「市場拡大再算定制度」の見直しを求めてきました。

 米豪FTA(自由貿易協定)に基づく協議で米国の要求を受け入れたオーストラリアでは、医薬品が急騰し、医療財政に悪影響を与えました。TPPの「大筋合意」で日本でも同じような事態が生まれかねません。

 国会で「米国要求を受け入れれば、薬が高く、治療を受けられない患者が出てくるのではないか」(日本共産党の田村智子議員、2013年3月21日参院厚労委)との指摘に対して、政府側は「向こうの言うとおりでなければTPPを結べないということではない。交渉でしっかり主張する」(田村憲久厚労相・当時)と答えていました。しかし、「大筋合意」は、米国の要求通りになっていることを示しています。

業界の利益確保

 TPP「大筋合意」では医薬品の知的財産権の強化を主張する米国の要求を受けて、データ保護期間の下限などが盛り込まれました。

 医薬品・医療機器付属書では、「償還価格」(薬価)設定に対し、医薬品メーカーの異議申し立てを認めることを義務づけています。

 これによって安価な後発薬の開発の遅れや、医薬品などの価格上昇につながるなど、日本の薬価制度がいっそう脅かされる危険が示されています。


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