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2015年11月7日(土)

TPP条文案に各国NGO・研究者批判

“多国籍企業の利益優先”

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 環太平洋連携協定(TPP)に「大筋合意」した日米など12カ国が5日公表したTPP条文案について、各国の非政府組織(NGO)や研究者が同日、見解を発表し、国民を犠牲にして多国籍企業の利益を優先するものだと批判しました。

「改革の手縛る」

 米消費者団体パブリック・シティズンは、「企業利益を代表する500人もの米政府貿易顧問の要求で最終条文案は予想以上に悪いものになった」と指摘。「問題の多い投資家対国家紛争解決(ISDS)の仕組みを拡大し、低価格医薬品利用や環境基準の向上に逆行する一方、雇用の国外流出と国内賃金の低下を進行させた」北米自由貿易協定(NAFTA)など「過去の協定の最も問題の多い取り決めの引き写し」だとしました。

 知的財産の規定については、「がん治療薬を含め、バイオ医薬品の新たな独占権を製薬企業に与え」、「防げる病気や死亡を海外で増やし、国内で米医薬品価格を引き下げるため議会が考える改革の手を縛る」と批判しました。

ごまかしを指摘

 オーストラリア公正貿易投資ネットワーク(AFTINET)は、「消費者と市民の犠牲で企業の権利を強化する」と批判しました。特に、新薬データ保護期間が実質8年とされることについて、「オーストラリアにどう適用されるか不明瞭だ」とし、「(5年間という)国内法は変わらないだろうが、安い医薬品が出回る前に、行政的延長措置か何かで強制して、独占をさらに3年間延長させるのだろう」と述べ、条文案のごまかしを指摘しました。

 外国企業が進出先の政府を訴えることのできる手続きを定めるISDSについて、条文案の濫訴(らんそ)防止条項は、「健康・環境法制に対する訴訟を防止できていない他の協定と似たり寄ったりだ」としました。

 ニュージーランド・オークランド大学のケルシー教授は、投資に関する規定について、「面倒な新しい義務に従わなければならず、将来的に、選挙で選ばれた政府が適切だと考える方法で規制を行おうとしても、その能力を失う」と指摘しました。ISDSについても、濫訴防止条項は、「大方の懸念を解消するものではない」としました。

 国有企業の規定については、「例えば、新たな国有保険会社の設立が提案されても、資本注入、助成、特別措置、保証供与が必要な新たな国有企業の創設には特別の問題を起こす」と憂慮を示しました。


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